初詣で神社やお寺に行くとついつい引いてしまう「おみくじ」。これからの運勢を占うとき、どんな結果が返ってくるのだろうとドキドキする瞬間がとても楽しかったりしますよね。
日本人にとっておみくじは身近な存在ですが、起源や、神社によっては17種類も結果があることはあまり知られていないかもしれません。この記事ではおみくじにまつわるマナーや歴史、豆知識をご紹介したいと思います。
おみくじのマナー
おみくじを引く前に手を清めよう
おみくじを引く前と引き方のマナー
寺社仏閣でおみくじを引く際は、まずは手水舎で手を清めてから参拝をし、心を正して引きましょう。
また「思い通りの結果が引けなかったからもう一回引こう」という気持ちはわかりますが、1日のうちに1回以上引くのはだめ。もし引き直したいのなら少し期間を空けましょう。
初詣以外にもお参りをしたときはいつでもおみくじを引いて良いものです。
おみくじは神社に結ぶ? 持ち帰る?
おみくじは持ち帰るべき?
おみくじを引いたあと、神社に結ぶか、お財布などに入れて持ち帰るか悩みますよね。
おみくじは神様から頂いたありがたいお言葉。自分への戒めとして持ち歩く人もいれば、良くない結果のおみくじが出たからその場に結んで帰るという人も。
実はどちらが正解というのはなく、自分の好きな方を選んでOK。ただしおみくじを捨ててしまうのは避けたい行為です。
年が変わった、新しいおみくじを引いた、など、以前に引いたおみくじが古くなってしまったときは、神様と縁を「結ぶ」ためにも神社に結ぶ、返納する、「どんど焼き」や「左義長」などのお焚き上げ行事で燃やすのがよいとされています。
おみくじを引いた神社が遠い場合は、近くにある別の神社に返納しても構いません。
どうしてもゴミ箱に捨てなければいけないときは、封筒や紙に包み「ありがとうございました」と唱えて捨てる、など感謝の気持ちを込め丁寧に扱うとよいと思います。
おみくじを結ぶときは願いを込めて
おみくじはどういう方法で結ぶ?
おみくじを境内の木々に結びつけるのは木の生命力にあやかるため。結ぶときはしっかりと願いを込めましょう。
ただし場所によっては木が傷むのを防ぐため、専用のおみくじかけが設置されている場所もあります。そういった場所では必ず指定された場所に結び、境内の木には結ばないようにしましょう。
ちなみに「凶」のおみくじは利き手とは反対の手で結ぶと「困難な行いをした」、ということで凶から吉へ転じるという言い伝えもあるそうです。
おみくじの種類
一般的なおみくじの種類=7種類
吉のおみくじ
おみくじの種類で大体「大吉」が一番良くて、「大凶」が一番悪いのだという事は多くの人が知っていると思います。しかしその間の種類はどのようなものがあるのか知っている人は少ないはず。
おみくじの一般的な種類は全7種類あり、「大吉・吉・中吉・小吉・末吉・凶・大凶」という順番です。「吉」「中吉」「小吉」の順番はその神社によって多少の違いはありますが、この7種類が一般的だと言われています。
伏見稲荷大社は17種類もある
伏見稲荷大社のおみくじの順位
伏見稲荷大社のおみくじは全17種類もあり、よい順から並べると次の通り。
1 大大吉
2 大吉
3 凶後大吉(きょうのちだいきち)
4 凶後吉(きょうのちきち)
5 末大吉
6 末吉
7 向大吉(むこうだいきち)
8 吉
9 中吉
10 小吉
11 小凶後吉(しょうきょうのちきち)
12 後吉
13 吉凶未分末大吉(よしあし いまだ わからず すえだいきち)
14 吉凶不分末吉(きちきょう わかたず すえきち)
15 吉凶相半(きちきょう あいなかばす)
16 吉凶相交末吉(きちきょう あいまじわり すえきち)
17 吉凶相央(きちきょう あいなかばす)
ほかでは目にしないような珍しいものばかりなので、抜粋して意味を紹介します。
●凶後大吉(きょうのちだいきち)・凶後吉(きょうのちきち)・小凶後吉(しょうきょうのちきち)
最初は苦労があるが、後によい事がある
●向大吉(むこうだいきち)
大吉に向かうよい運
●吉凶未分末大吉(よしあし いまだ わからず すえだいきち)
吉か凶か今はまだ分からないがいずれ大吉となる、努力次第では大吉になる可能性がある
●吉凶不分末吉(きちきょう わかたず すえきち)
吉か凶か分けることはできないがいずれ吉となる
●吉凶相半(きちきょう あいなかばす)
吉と凶が半々
●吉凶相交末吉(きちきょう あいまじわり すえきち)
吉と凶が今は互いに交わっているがいずれは吉となる
●吉凶相央きちきょう あいなかばす)
吉凶相半と同じ意味で、吉と凶が半々
日本全国の珍しいおみくじ
日本全国のユニークなおみくじ
日本のおみくじには皆さんがよく見るような一般的なものだけでなく、可愛らしい動物のおみくじや扇子の形をした珍しいおみくじなど、色々な種類が存在するんです。
おみくじ目当てに行ってしまうような、ユニークな種類のおみくじを販売している神社を紹介します。
川越氷川神社(埼玉)
川越氷川神社のおみくじ
縁結びで知られている埼玉の「川越氷川神社」には、ピンク色や白色で鯛の形をしたおみくじがあります。この鯛みくじは「あい鯛みくじ」と「一年安鯛みくじ」の2種類。
縁結びで有名なだけあり、「あい鯛みくじ」など恋愛成就のおみくじもあるんです。
実はこれ、鯛ということで釣竿を使って1匹釣り、そこで中身を見るというとてもユニークで遊び心のあるおみくじ。大人も子どもも楽しめる素敵なおみくじですね。
【川越氷川神社】
●アクセス:東武東上線川越駅(本川越駅)からバスで東武バス上尾駅西口行きほか(埼玉医大経由)「宮下町」下車徒歩約1分/川越ICから車で約20分
●住所:埼玉県川越市宮下町2-11-3
●公式サイト:川越氷川神社
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東京大神宮(東京)
東京大神宮のおみくじ
東京のお伊勢さまとして親しまれている「東京大神宮」は、人との縁を結ぶ神様を祀っています。いろいろな種類のおみくじがあり、何とその数9種類。
中でも和紙人形の付いた「恋みくじ」がとてもかわいいと女性を中心に人気となり、このおみくじを引くためにお参りに来る人も多いそうです。
人形の表情や着物の柄が1つ1つ違うため、おみくじを引く際に好きな人形を選べるのも楽しいですね。
【東京大神宮】
●アクセス:JR中央・総武線「飯田橋駅」西口より徒歩約3分
●住所:東京都千代田区富士見2-4-1
●公式サイト:東京大神宮
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春日大社(奈良)
春日大社のおみくじ
ユネスコの世界遺産に登録されている「春日大社」は、日本でもっとも古い「萬葉(まんよう)植物園(万葉集に収録される歌に詠まれている植物の事)」で有名な神社です。
奈良の特産である木彫工芸「一刀彫」で丁寧に作られた「一刀彫鹿みくじ」や、神様の使いである白鹿の「白鹿みくじ」があり、どちらも口におみくじを咥えています。
その愛くるしい姿から大人気となり、おみくじとしてだけではなくお土産として買う人も多いのだとか。おみくじと一緒に部屋に飾っておいてもとてもかわいいですね。
【春日大社】
●アクセス:JR・近鉄「奈良駅」からバスで約8分(市内循環バス)
●住所:奈良県奈良市春日野町160
●公式サイト:春日大社
東天王岡崎神社(京都)
東天王岡崎神社のおみくじ
「うさぎ神社」と呼ばれ、境内のあちこちに色々な可愛らしいうさぎがいる「東天王岡崎神社」。祭神が子宝に恵まれ、うさぎが多産な事から子授けの神として信仰されています。
この神社の名物は「うさぎおみくじお守り」。白とピンクの好きな方から選ぶことができ、その中におみくじが入っているという仕組みです。
おみくじはうさぎのお腹部分から出てくるようになっていて、「細かい工夫やうさぎの愛くるしい表情などがたまらない」と話題沸騰となりました。
このうさぎおみくじお守りはそのまま持ち帰ることもできるため、置物として買う人も多いのだそう。
【東天王岡崎神社】
●アクセス:京阪「神宮丸太町駅」下車徒歩すぐ
●住所:〒606-8332 京都府京都市左京区岡崎東天王町51番地
●公式サイト:東天王岡崎神社
智恩寺(京都)
智恩寺のおみくじ
日本三景・京都の天橋立にある「智恩寺」には、扇子を広げるとおみくじの結果が書かれているという、何とも珍しい「すえひろ扇子おみくじ」があります。
見た目もかわいく珍しいため持ち帰りたくなってしまいますが、境内の松の木に結びつけるのが智恩寺の習わし。そのため松の木にはいくつもの「すえひろ扇子おみくじ」がぶら下がっています。
この光景がとても写真映えするとして話題になり、人気のおみくじとなりました。
【智恩寺】
●アクセス:京都丹後鉄道宮豊線「天橋立」駅下車徒歩約3分
●住所:京都府宮津市文珠466
●公式サイト:智恩寺
伊奴神社(いぬじんじゃ)
伊奴神社のおみくじ
子授け、安産、夫婦円満、家内安全などの神様がいる「伊奴神社」には、境内にある犬の王の石像をモチーフとした「開運いぬみくじ」があります。
1つ1つ犬の顔が違いどれも可愛いため、1つだけ選ぶのが大変なのだとか。このおみくじは犬の入れ物の底に入っていて、読んだ後は置物として飾ることもできます。
またおみくじの紙にも犬の絵が描かれているそう。本当に犬尽くしの神社なんですね。
【伊奴神社】
●アクセス:地下鉄鶴舞線「庄内通」駅下車徒歩約10分
●住所:愛知県名古屋市西区稲生町2-12
●公式サイト:伊奴神社
太宰府天満宮
太宰府天満宮のおみくじ
菅原道真公を祀り、学問の神様として日本でも全国的に有名な「太宰府天満宮」。ここには「鷽鳥(うそどり)みくじ」というおみくじがあります。
鷽(うそ)とは鳥のことで、太宰府天満宮では菅原道真公の守り鳥とされてきました。また昔から人々の運を開き、幸福へと導く鳥として愛されているのだとか。
おみくじは鷽鳥を模した木の筒の中に入っていて、おみくじを読み終わったらストラップとしても使う事ができます。
【太宰府天満宮】
●アクセス:西鉄「太宰府駅」から徒歩約5分
●住所:福岡県太宰府市宰府4丁目7番1号
●公式サイト:太宰府天満宮
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番外編:オンラインでおみくじが引ける神社
パソコンでおみくじが引ける?
これまで日本全国の珍しいおみくじについて紹介してきました。しかし忙しくてなかなか行けない時や、どうしても今日の運勢を占いたいと思っている時、家でおみくじが引けたら、なんて思った事はありませんか?
実はそれ、できちゃうんです!パソコンやスマートフォンからおみくじをいつでもひけるおすすめサイトを紹介します。
愛宕神社
愛宕神社のおみくじ
東京都港区に位置する「愛宕神社」。防火、防災・印刷・コンピュータ関係・商売繁昌などのご利益がある他に、参道にある急な階段は「出世の石段」として知られており、連日多くの人が訪れます。
そんな愛宕神社では、オンラインでおみくじを引くこともできるのです。
●愛宕神社公式HP
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江島神社
江島神社のおみくじ
神奈川県江ノ島に位置し、日本三大弁財天の一つである「江島神社」。境内には3つのお宮「辺津宮」「中津宮」「奥津宮」があり、それぞれが江島大神と称される三姉妹の女神を祀っています。三姉妹は海の神・水の神、また芸術・財宝の神として広く信仰され、江島神社全体で技芸上達・海上安全・金運向上などにご利益があると言われています。
そんな江島神社でも、オンラインでおみくじを引くことができます。
●江島神社公式HP
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おみくじの起源
おみくじのルーツとなった中国
実は神社ではなくお寺で使われていた
歴史は遡ること南北朝時代から室町時代の初頭あたり。
当時中国から「天竺霊籤(てんじくれいせん)」という中国の古い籤(くじ)が日本に入ってきました。
それをベースに、天台宗の僧である元三大師(がんざんだいし。良源、慈恵大師とも)という人が「元三大師百籤(がんざんだいしひゃくせん)」という日本版のくじを作ったのが、現在のおみくじのルーツだと言われています。
それからというもの元三大師百籤は多くのお寺で一般的に使われるようになり、「みくじ本」と呼ばれるおみくじの解説書まで登場したのだとか。当時、お寺のおみくじは武士が戦の行方を占うために引いていたそうです。
昔の人も、事の吉凶を神意(しんい/神様の判断)に委ねる呪術的なおみくじに、運命を占っていたのかもしれませんね。
元三大師というのは平安時代の僧侶「良源(りょうげん)」だとされていて、観音菩薩(かんのんぼさつ)に祈祷した際、観音籤を授かったことから、紙で啓示を受け取る形式が出来上がったのだそう。
比叡山延暦寺にある元三大師堂では、まず元三大師様にお伺いしたい内容を紙に書き、修行を積んだ僧侶から内容について尋ねられた後、僧侶がおみくじを引き内容についてアドバイスをもらう、という伝統的なおみくじのスタイルを今でも体験できるそうです。
おみくじの名前の由来
おみくじができた初期の頃は、巫女やお坊さんしか引くことができませんでした。しかし鎌倉時代になると、おみくじは寺社仏閣に参拝した一般の人々が、金運や商売繁盛などの運勢を占うため引くものに。
「くじ」(籤)に尊敬の「御」(み)をつけて「みくじ」という名詞になり、さらに「お」(御)が加えられて、現在では「御神籤(おみくじ)」と呼ばれるようになりました。
おみくじ豆知識① おみくじ生産量日本一は山口県!
おみくじは多くが山口県で作られている
おみくじって各神社やお寺で作られているのでは?と思ったそこのあなた。実はおみくじを作る場所は決められていて、日本のおみくじ製造・出荷数の60〜70%シェアを誇る製造会社が山口県にあるのです。
その会社は「女子道社(じょしどうしゃ)」といい、なんとこの会社と日本全国のおみくじには深い関連性や歴史が。こちらではそのドラマに満ちたおみくじと会社の歴史について紹介します。
女子道社の歴史とおみくじの関係とは?
おみくじと宮司の関係
明治時代、山口県の二所山田神社(にしょやまだじんじゃ)に宮本重胤(みやもとしげたね)という21代宮司がいました。
当時はまだ男尊女卑の概念がとても強く、女性が神や仏に奉仕するとされる職に就く事はタブーとされていたそうです。
しかし神道には女性をけがれとみなす思想は無かったことから、宮本重胤は女性神主の登用や参政権を求め1905年に「日本敬神婦人会」を結成。
これはあの有名は「青踏社(せいとうしゃ)」よりも早く、女性の自立を求める組織としては日本で最初の団体だと言われています。
「日本敬神婦人会」は日本全国に支部を広げ、さらにはアメリカのロサンゼルスやハワイ、朝鮮にまで。その後機関紙「女子道」が発行されました。
また、その機関紙の発行を支える資金を確保するため設立されたのが、おみくじの製造・販売を行う「女子道社」なのです。
実は1906年に、日本で初めておみくじの自動販売機を開発したり、「神前(しんぜん)結婚式(神の前で結婚を誓うという、日本の伝統的な挙式スタイルのこと)」を普及させたのも女子道社なのだとか。
おみくじってどうやって作られてるの?
おみくじの作られ方
女子道社が製造・販売するおみくじは昔から変わらず、地域の女性たちの手作り。年末年始が近づく繁忙期には、約100名ほどの主婦たちが交代で作っています。
印刷以外の紙を折ったり切ったりする作業や、おみくじの箱詰めは全て手作業。ベテランになると1日6,000〜7,000枚ものおみくじを折れるそうですが、これが慣れていないと折り目が合わなかったりとても難しいのだそうです。
現在、女子道社で主に製造されているおみくじは18種類。他にも訪日外国人向けの和英文おみくじや、イベント用のおみくじも作られています。
おみくじ豆知識② 「初詣」「おみくじ」は英語でどう表現する?
おみくじは英語で何て言う?
「初詣に行く」は「pay a visit to a shrine」と言い、「おみくじを引く」は「receive a fortune」と表現します。
それぞれのおみくじの結果については次のように表現します。
●大吉 ……… great luck
●中吉 ……… middle luck
●小吉 ……… small luck
●吉 ………… good luck
●末吉 ……… uncertain luck
●凶 ………… bad luck
●大凶 ……… worse luck
おわりに:おみくじを引きに行こう!
今回はおみくじの歴史や由来、マナーや種類について紹介しました。おみくじの誕生や作り方、種類など、おみくじの奥深さを感じられたのではないでしょうか。
また日本全国にこれほど多くの珍しいおみくじがあるのなら、お気に入りのおみくじを見つけるのも楽しいかもしれませんね。ぜひ参拝する際には参考にしてみてください。
Text:編集部 Edit:Erika Nagumo
Photo(特記ないもの):PIXTA