Ⅰ. 釧路ってどんな場所?
Ⅱ. <夏・冬>釧路観光のモデルコース
Ⅲ. 釧路で夏にしたいこと
カヌー体験:釧路マーシュ&リバー
列車で湿原をゆく:くしろ湿原ノロッコ号
国立公園の散策:阿寒湖畔エコミュージアムセンター
Ⅳ. 釧路で冬にしたいこと
列車で雪原をゆく:SL冬の湿原号
タンチョウを見る:阿寒国際ツルセンター・グルス
Ⅴ. 季節を問わずしたいこと
勝手丼を食べる:釧路和商市場
ザンギを食べる:鳥松
スパカツを食べる:レストラン泉屋 総本店
ひたすら食べる・買う:釧路フィッシャーマンズワーフMOO
アイヌ文化に触れる:阿寒湖アイヌコタン
シマフクロウに会う:釧路市動物園
マリモを学ぶ:マリモ展示観察センター
湿原を見渡す:釧路市湿原展望台
橋から夕日を見る:幣舞橋
海から夕日を見る:釧路観光クルーズ船 SEA CRANE
まとめ

北海道東部の港町・釧路は、湿原ツアーや海の幸が楽しめる、観光に人気のエリアです。この記事では、夏・冬それぞれで釧路観光におすすめのスポット、モデルコースをご紹介。

港町ならではのグルメ、地元の人にも愛される名店、湿原をめいいっぱい楽しめる体験など、釧路の観光で外せないことをまとめました。

TOP画像:釧路・幣舞橋の夕日
※掲載の情報2023年7月時点のものです。諸事情により変更となる場合があります。

Ⅰ. 釧路ってどんな場所?

ラムサール条約の登録湿地である釧路湿

ラムサール条約の登録湿地である釧路湿原

北海道の東部に位置する釧路は、太平洋に面した港町です。1899(明治32)年に釧路港が開港されて以降、漁業や交通、交流の拠点として発展してきました。北洋漁業が盛んだった頃には、釧路港は日本一の水揚げを誇る漁業基地でした。

現在でも日本三大漁港のひとつに数えられる釧路港には、サケやカニ、サンマなど北海道を代表する魚介類がたくさん水揚げされていて、水産業は釧路の主要な産業です。釧路の新鮮な海鮮は、北海道三大市場に数えられる「和商市場」の名物「勝手丼」や、釧路発祥の「炉端焼き」などで楽しめます。

釧路は釧路湿原国立公園と阿寒摩周国立公園の2つの国立公園がある道東を代表する観光地です。手つかずの自然が多く残されていて、国の特別天然記念物に指定されているタンチョウや阿寒湖のマリモなど、貴重な動植物が多数生息しています。

また、釧路の夕日は、世界三大夕日に数えられていて、「幣舞橋(ぬさまいばし)」から眺める釧路港を真っ赤に染めながら沈む夕日は感動的です。

Ⅱ. <夏・冬>釧路観光のモデルコース

夏なら……

●釧路湿原でカヌー体験コース(レンタカー利用)
【昼】釧路着→【13:00】「釧路和商市場」で勝手丼のランチ→【14:50】「釧路マーシュ&リバー」のカヌーツアーに参加→【17:00頃】ツアー終了→【17:30〜18:00頃】幣舞橋で夕日を眺める→【18:00】鳥松でざんぎをいただく

●阿寒湖コース(レンタカー利用)
【昼】釧路着→【12:00】釧路駅周辺でランチ→【14:00】「阿寒観光汽船」の遊覧船に乗船→チュウルイ島「マリモ展示観察センター」でマリモ観察→【15:30】遊覧船下船→【15:45】「阿寒湖畔エコミュージアムセンター」の展示を見て遊歩道散策→【16:30】阿寒湖温泉の宿にチェックイン。温泉と夕食を楽しむ→【20:00】「阿寒湖アイヌコタン」で古式舞踊の鑑賞

冬なら……

●タンチョウコース(レンタカー利用)
【昼】釧路着→【12:00】「レストラン泉屋 総本店」スパカツのランチ→【13:30】「阿寒国際ツルセンター グルス」でタンチョウを見る→【14:30】「釧路市動物園」でシマフクロウに会う→【15:40】「釧路市湿原展望台」で冬の湿原を見る→【16:30】「釧路フィッシャーマンズワーフMOO」でお土産探し・海鮮グルメを堪能

Ⅲ. 釧路で夏にしたいこと

○カヌー体験:釧路マーシュ&リバー
○列車で湿原をゆく:くしろ湿原ノロッコ号
○国立公園の散策:阿寒湖畔エコミュージアムセンター

Ⅲ-1. カヌー体験:釧路マーシュ&リバー

釧路マーシュ&リバーの夏カヌー

釧路マーシュ&リバーの夏カヌーの期間は2023年5月8日〜12月。朝・昼・午後と出発時間を変えて3コースから選べます ※昼・午後は10月31日まで(写真提供:釧路マーシュ&リバー)

釧路で人気のアクティビティは、釧路湿原や釧路川をフィールドに楽しむカヌー体験です。釧路川には、人工的なダムや堰(せき)がないため、屈斜路湖(くっしゃろこ)周辺の源流エリアから、釧路湿原の中を流れる下流エリアまで、カヌーで下ることができます。

カヌー体験は年間を通じて楽しむことができますが、おすすめなのは夏。北海道の爽やかな暑さの中、日差しを浴びてキラキラ輝く水面をカヌーで下りながら、釧路湿原の自然を楽しんでみてはいかがでしょうか。

●所在地:北海道釧路町トリトウシ88-5
●公式サイト:Marsh & River

Ⅲ-2. 列車で湿原をゆく:くしろ湿原ノロッコ号

釧路湿原をゆくノロッコ号

ノロッコ号は展望車3両+普通車1両で運行。展望車は座席指定が必要です。切符は駅の窓口で購入できますが、発車前は混雑するため「えきねっとチケットレス座席指定券」での事前予約がおすすめ

「くしろ湿原ノロッコ号」は、例年4月29日から10月上旬の期間、JR釧路駅からJR塘路駅(とうろえき)の間を運行する観光列車です。トロッコ風の展望客車を連結して、ゆっくりと釧路湿原の中を走るため、車窓からはエゾシカやキタキツネ、タンチョウなどの野生動物の姿を見られることもあります。

車内販売では、「ノロッコ号チョロQ」や「ノロッコ号プリン」といったオリジナル商品などを購入できます。

●所在地:北海道釧路市北大通14丁目(釧路駅)
●公式サイト:JR北海道/くしろ湿原ノロッコ号

Ⅲ-3. 国立公園の散策:阿寒湖畔エコミュージアムセンター

阿寒湖畔エコミュージアムセンターの裏の遊歩道にある「ボッケ」

阿寒湖畔エコミュージアムセンターの裏の遊歩道にある「ボッケ」

阿寒湖温泉街にある「阿寒湖畔エコミュージアムセンター」は、阿寒湖周辺の自然について展示している施設です。館内には特別天然記念物「阿寒湖のマリモ」も展示されています。

また、センターの建物裏から続く木々に囲まれた遊歩道を15分ほど歩くと「ボッケ」に到着。火山ガスと共に地下から泥が吹き出して、あぶくの膜を破裂させる現象を見ることができます。

●所在地:北海道釧路市阿寒町阿寒湖温泉1-1-1
●公式サイト:阿寒湖畔エコミュージアムセンター

Ⅳ. 釧路で冬にしたいこと

○列車で雪原をゆく:SL冬の湿原号
○タンチョウを見る:阿寒国際ツルセンター・グルス

Ⅳ-1. 列車で雪原をゆく:SL冬の湿原号

雪原をゆくSL冬の湿原号

SL冬の湿原号は全車指定席です。「えきねっと」や「みどりの窓口」で切符を購入できます

「SL冬の湿原号」は、JR釧路駅とJR標茶駅(しべちゃえき)の間を走る冬限定の観光列車です。SLが引くのはタンチョウやエゾシカの装飾された「たんんちょうカー」、車内販売がある「ストーブカー(カフェカー)」、だるまストーブが設置された「ストーブカー」の3種類の車両です。

車窓からは、白銀に輝く釧路湿原と釧路川の雄大な景色が楽しめます。エゾシカやタンチョウ、キタキツネなどの野生動物が現れたら、車内アナウンスで教えてくれます。

●所在地:北海道釧路市北大通14丁目(釧路駅)
●公式サイト:JR北海道/SL冬の湿原号

Ⅳ-2. タンチョウを見る:阿寒国際ツルセンター・グルス

阿寒国際ツルセンターに集まったタンチョウたち

阿寒国際ツルセンターに集まったタンチョウたち

「阿寒国際ツルセンター・グルス」は、研究員がタンチョウの生態や行動を研究して、情報発信する国内唯一のタンチョウのための施設です。館内には、タンチョウに関する解説や映像などが展示されています。

11月から3月の間は、給餌場で人工給餌を行っていて、多い時には150羽もの野生のタンチョウが飛来し、間近で観察できます。

●所在地:北海道釧路市阿寒町上阿寒23線40
●公式サイト:阿寒国際ツルセンター【グルス】

Ⅴ. 季節を問わずしたいこと

○勝手丼を食べる:釧路和商市場
○ザンギを食べる:鳥松
○スパカツを食べる:レストラン泉屋 総本店
○ひたすら食べる・買う:釧路フィッシャーマンズワーフMOO
○アイヌ文化に触れる:阿寒湖アイヌコタン
○シマフクロウに会う:釧路市動物園
○マリモを学ぶ:マリモ展示観察センター
○ 湿原を見渡す:釧路市湿原展望台
○橋から夕日を見る:幣舞橋
○海から夕日を見る:釧路観光クルーズ船 SEA CRANE

Ⅴ-1. 勝手丼を食べる:釧路和商市場

好きなネタを好きなだけのせた「勝手

好きなネタを好きなだけのせた「勝手丼」

「釧路和商市場」は1954(昭和29)年に開設された釧路で最も歴史がある市場です。鮮魚店や青果店、精肉店など50店舗以上が軒を連ねていて、釧路市民の台所として長年親しまれています。

この「釧路和商市場」の名物グルメが、好きなネタをその場で選んで自分だけの海鮮丼を作る「勝手丼」です。場内の総菜屋でごはんを購入したら、釧路ならではの新鮮な海鮮を探しましょう。

●所在地:北海道釧路市黒金町13-25(釧路和商市場)
●公式サイト:釧路和商市場

Ⅴ-2. ザンギを食べる:鳥松

釧路の名店・鳥松のザンギ

釧路の名店・鳥松のザンギ。サクサクの衣・ジューシーな鶏肉はお酒とも相性抜群

「ザンギ」とは、醤油やニンニク、しょうがのタレに漬け込んだ鶏肉を揚げた唐揚げで、北海道の名物グルメです。ザンギ発祥の店といわれるのが、釧路の繁華街にある1961(昭和36)年創業の老舗「鳥松」です。ザンギには、骨付きザンギと骨なしザンギがありますが、「鳥松」の元祖ザンギは骨付き。

ザンギは北海道各地で食べられていますが、独自のタレをつけて食べるのが釧路ザンギの特徴です。

●所在地:北海道釧路市栄町3-1
●参考サイト:食べログ/鳥松

Ⅴ-3. スパカツを食べる:レストラン泉屋 総本店

泉屋のスパカツ

泉屋のスパカツのミートソースは北海道産豚牛挽肉を使用

「スパカツ」は、熱々の鉄板皿に盛り付けたスパゲティの上にトンカツをのせ、たっぷりのミートソースをかけたボリューム満点の料理です。

そのスパカツ発祥のお店が老舗の洋食屋さん「レストラン泉屋」で、1960(昭和35)年頃に考案されたそうです。今では釧路のレストランや喫茶店の定番メニューになっていて、釧路市民が愛するソウルフードとなっています。

●所在地:北海道釧路市末広町2-28
●公式サイト:(株)泉屋

Ⅴ-4. ひたすら食べる・買う:釧路フィッシャーマンズワーフMOO

釧路フィッシャーマンズワーフMOOの岸壁炉ばた

「釧路フィッシャーマンズワーフMOO」には、お好みの魚介を選んで炭火焼きで楽しめる「岸壁炉ばた」もあります(写真提供:釧路フィッシャーマンズワーフMOO)

「釧路フィッシャーマンズワーフMOO」は、釧路のシンボル「幣舞橋(ぬさまいばし)」の近くにある複合商業施設です。1階から5階まで吹き抜けになった広い建物の中には、「釧路MOO市場」のほか、飲食店・お土産品などたくさんのお店が並びます。

2階の「港の屋台」は、釧路ならではの海鮮や名物のザンギなどが味わえるお店がおよそ10店並ぶ屋台村です。フロアの真ん中にはテーブルが設置されていて、全てのお店から出前が頼めます。

●所在地:北海道釧路市錦町2-4
●公式サイト:釧路フィッシャーマンズワーフMOO

Ⅴ-5. アイヌ文化に触れる:阿寒湖アイヌコタン

「阿寒湖アイヌシアター〈イコロ〉」で見ることができる「鶴の舞」

「阿寒湖アイヌシアター〈イコロ〉」で見ることができる「鶴の舞」(写真提供:阿寒湖アイヌコタン)

阿寒湖温泉街にある「阿寒湖アイヌコタン」は、アイヌの人たちおよそ120人が生活している道内最大級のアイヌの集落(コタン)です。アイヌの伝統工芸である木彫りの民芸品のお店など30軒ほどが通りの両側に並んでいます。

アイヌの文化の発信拠点「阿寒湖アイヌシアター〈イコロ〉」では、ユネスコ世界無形文化遺産登録・国の重要無形民俗文化財に指定されているアイヌ古式舞踊を観ることができます。

●所在地:北海道釧路市阿寒町阿寒湖温泉4-7-19
●公式サイト:阿寒湖アイヌコタン

Ⅴ-6. シマフクロウに会う:釧路市動物園

左:天然記念物・シマフクロウの幼鳥、右:シロフクロウ

左:天然記念物・シマフクロウの幼鳥、右:シロフクロウ。釧路市動物園では多数の鳥類に会えます(写真:[右]釧路・阿寒湖観光公式サイトより)

釧路動物園は、日本でもっとも東に位置する動物園です。約48万ヘクタールもの広大な敷地の中では、およそ50種類以上の動物や鳥類が飼育されています。

中でも注目したいのが、絶滅危惧種で国の天然記念物に指定されている「シマフクロウ」です。国内では釧路動物園のみで飼育されています。1995(平成7)年に世界で初めて繫殖に成功しました。

●所在地:北海道釧路市阿寒町下仁々志別11
●公式サイト:釧路市動物園

Ⅴ-7. マリモを学ぶ:マリモ展示観察センター

マリモ展示観察センターの大きなマリモ

ときには大きななマリモを見ることもできるマリモ展示観察センター(写真:釧路・阿寒湖観光公式サイトより)

阿寒湖に浮かぶチュウルイ島にある「マリモ展示観察センター」には、阿寒湖の湖底を再現した水槽があり、国の特別天然記念物に指定されているマリモの生態を観察することができます。また、屋外には幻の巨大魚イトウを観察できるコーナーもあります。

「マリモ展示観察センター」があるチュウルイ島には、阿寒湖の遊覧船モーターボートを利用して渡ります。

●所在地:北海道釧路市阿寒町舌辛 阿寒湖 チュウルイ島
●参考サイト:阿寒観光汽船/マリモ展示観察センター

Ⅴ-8. 湿原を見渡す:釧路市湿原展望台

釧路市湿原展望台

釧路市湿原展望台。建物の3階や屋上のほか、遊歩道内にある「サテライト展望台」からも湿原の景色を望めます

「釧路市湿原展望台」は、釧路湿原観光の代表的なスポットです。ヤチボウズを湿原で観られる「やちぼうず」をイメージした建物で、1階にはレストランやショップ、2階には釧路湿原を再現した展示室があります。3階の展望室と屋上からは釧路湿原をパノラマで見渡せます。

また周囲には1周約2.5kmの遊歩道が整備されていて、散策しながら釧路湿原の自然に触れることができます。

●所在地:北海道釧路市北斗6-11
●参考サイト:釧路・阿寒湖観光公式サイト/釧路市湿原展望台

Ⅴ-9. 橋から夕日を見る:幣舞橋

幣舞橋と夕焼け

幣舞橋と夕焼け

釧路のシンボル「幣舞橋(ぬさまいばし)」は、札幌の豊平橋、旭川の旭橋と並んで「北海道三大名橋」と言われています。

初代の幣舞橋が架けられたのは1900(明治33)年、その後何度か架け替えられ、現在の5代目幣舞橋には、日本を代表する彫刻家4人が制作した「四季像」が設置されています。幣舞橋の橋影や街路灯が釧路名物の霧に浮かぶ姿はとても幻想的です。

●所在地:北海道釧路市北大通
●参考サイト:釧路・阿寒湖観光公式サイト/幣舞橋

Ⅴ-10. 海から夕日を見る:釧路観光クルーズ船 SEA CRANE

オレンジ色に染まる空と海の中ゆく釧路観光クルーズ船 SEA CRANE

オレンジ色に染まる空と海の中ゆく釧路観光クルーズ船 SEA CRANE(写真提供:釧路観光クルーズ船 SEA CRANE)

「釧路観光クルーズ船SEA CRANE(シークレイン)」は、海から夕日や夜景を楽しめる釧路の新たな観光スポットです。

世界三大夕日のひとつ「釧路の夕日」が沈む釧路港を観光船に乗ってクルーズする「サンセットクルーズ」は、専属ガイドの説明を聞きながらライトアップされた幣舞橋などの景色やカモメのエサやり体験を楽しめます。

予約は前日の19時までに公式サイトからどうぞ。当日予約なしでも乗船可能です。その日の出航1時間前まで受け付けています(2023年の出航時間目安)。

●所在地:北海道釧路市大町1-1-11 ベイサイドビル1F(BAY LOUNGE)
●公式サイト:釧路観光クルーズ船 SEA CRANE

まとめ

釧路湿原国立公園と阿寒摩周国立公園の2つの国立公園がある釧路は、ほかでは体験できないような雄大な自然や美しい景色、貴重な動物たちと出会える魅力的なエリアです。

また、和商市場の勝手丼やスパカツ、ザンギ、炉端焼き、釧路ラーメンなど、釧路ならではのグルメもたくさんあります。自然とグルメの両方を一度に満喫できるのが釧路観光の魅力です。

Text:都良/Erika Nagumo
Edit:Erika Nagumo
Photo(特記ないもの):PIXTA