日本を代表する温泉大国・群馬。県内には特徴の異なる96カ所の温泉地があり、日帰りでの入浴から温泉旅館での宿泊まで、様々な楽しみ方ができるのが魅力です。
この記事では、特に有名な群馬の三大温泉地を、各温泉の歴史や魅力をまじえて詳しく紹介します。
合わせて、冬に楽しめる群馬の温泉地でのイベントや伝統行事も掲載。ぜひ、この冬の温泉旅行の参考にしてみてください。
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【群馬の三大温泉】(中之条町)四万温泉
数多くある群馬県の温泉地で、特に有名なのが、草津温泉、四万温泉、伊香保温泉の三大温泉地。
「上毛三名湯」とも呼ばれるこれらの温泉地はいずれも名湯として知られ、県内はもとより全国から多くの湯治客や観光客が訪れる人気スポットです。
まずは四万(しま)温泉の特徴や見どころを紹介します。
冬の四万温泉
特徴と泉質
上信越高原国立公園内に位置する四万温泉は、四万川に沿いに広がる静かな温泉街。
「四万(よんまん)の病を癒す霊泉」という伝説に由来するこちらの温泉街では、戦国時代末期に初めて湯宿が開かれて以降、県内各地からはもちろん、江戸からも多くの湯治客が訪れたといわれています。
四万温泉にある無料共同浴場「御夢想の湯」
ナトリウムとカルシウムを含む柔らかな泉質が特徴で、美肌の湯として知られる四万温泉。
草津から江戸への帰り道にあることから、草津の強酸性の湯に入浴したあと、肌の手入れに訪れる「仕上げの湯」として親しまれていました。
旅情ある温泉街
落ち着いた風情が魅力の四万温泉では、30軒以上の温泉宿が営業しています。
特に、現存する日本最古の温泉宿建築といわれる積善館(せきぜんかん)は、ジブリ映画「千と千尋の神隠し」の湯宿のモデルとなったと言われており、そのレトロなたたずまいが近年人気を集めています。
雪の中の積善館
四万温泉に滞在するのであれば、四万川上流に位置する奥四万湖への立ち寄りもおすすめです。
「四万ブルー」として知られるコバルトブルーの水をたたえる湖では、カヌーやSUP(スタンドアップパドル)のツアーが催されており、美しい自然のなかでのアクティビティーが楽しめます。
冬の澄んだ奥四万湖
四万温泉
住所:群馬県吾妻郡中之条町四万
公式サイト:四万温泉
アクセス:
JR[上野駅]から特急草津・四万号でJR[中之条駅]まで約105分
関越交通バス[中之条駅バス停]から四万温泉線で約45分
【群馬の三大温泉】(草津町)草津温泉
続いて、「上毛三名湯」の一つ、草津温泉の特徴や見どころを紹介します。
子供から大人まで、幅広い世代に愛される草津温泉の魅力を探りましょう。
特徴と泉質
白根山の東麓に位置する草津温泉。豊富な湯量と高い効能で知られるこちらの温泉街は、江戸時代以降、岐阜の下呂温泉、兵庫の有馬温泉と並び、「日本三名泉」の一つに位置づけられ、古くから多くの湯治客を集めてきました。
草津温泉の最西端に位置する「西の河原公園」内の西の河原露天風呂(写真:群馬県)
日本一の自然湧出量を誇る草津温泉では毎分32,300リットル以上の温泉が湧き出ており、温泉街にある旅館や温泉施設の多くで源泉かけ流しの湯が楽しめるのも魅力の一つ。
泉質は酸性度が非常に高いのが特徴で、細菌が原因の病気や、炎症などに効果があると言われています。
観光スポットとしても人気
草津温泉街の中心に位置するのが、町のシンボルである湯畑。
高温で湧出される源泉を木製の湯桶(ゆとう)に通すことで温度を調整して各宿に運ぶほか、湯桶に沈殿する湯の花の採取場所としても機能しています。
ライトアップされた湯畑は草津温泉の名物(写真:群馬県)
草津温泉に滞在するのであれば、ぜひ、夜の温泉街を散策してみましょう。
日没後には湯畑のイルミネーションが点灯され、多彩な色で照らし出されます。立ち上がる湯気や硫黄の匂いも相まって、昼間とは異なる幻想的な光景が見られますよ。
湯畑の散策のあとはスマートボールや射的といったレトロな遊びの体験のほか、毎晩開催される落語の鑑賞もおすすめです。
草津「温泉らくご」の様子(写真:群馬県)
草津温泉
住所:群馬県吾妻郡草津町草津
公式サイト:草津温泉
アクセス:
JR[上野駅]から特急草津・四万号で長野原草津口まで約145分
JRバス[長野原草津口バス停]から志賀草津高原線で約25分
【群馬の三大温泉】(渋川市)伊香保温泉
群馬の三大温泉地、最後に紹介するのは渋川市の伊香保温泉。
文学や歴史にまつわるエピソードの多い温泉地でもあるので、興味がある方はぜひ訪れてみてくださいね。
特徴と泉質
榛名山の東麓に位置する伊香保温泉は、万葉集にもその名前が確認できる歴史ある温泉地。
その温泉街は明治以降、夏目漱石や竹久夢二、与謝野晶子など著名人が訪れたことでも知られており、文学や映画の舞台として登場することもしばしば。
白銀の湯が楽しめる露天風呂
伊香保温泉は茶褐色の「黄金(こがね)の湯」と無色透明の「白銀(しろがね)の湯」の2種類の湯で知られています。
いずれも刺激が少なく肌にやさしい泉質であることから、病気やケガの予防のほか、「子宝の湯」としても古くから知られてきました。
観光スポットとしても人気
伊香保温泉のシンボルとして親しまれているのが「石段街」。約400年前に初めて作られた歴史ある石段は、現在では365段が設置され、「温泉街が1年365日、にぎわうようになってほしい」という繁栄の願いが込められています。
石段と周囲の街並み
石段の両側には無数の土産物屋や饅頭屋、遊技場などが軒を連ねており、他の温泉街にはない風情ある光景を作り上げています。
温泉街で人気のスポットのひとつが湯元付近にある「河鹿橋(かじかばし)」。周囲を美しい自然に囲まれた鮮やかな朱色の橋は映画「千と千尋の神隠し」のモデルになったとも言われています。
紅葉の名所としても知られており、秋には多くの観光客が訪れるスポットです。
紅葉と河鹿橋
伊香保温泉
住所:群馬県渋川市伊香保町伊香保
公式サイト:伊香保温泉
アクセス:
JR[上野駅]から特急草津・四万号でJR渋川駅まで約95分
関越交通バス[渋川駅バス停]から渋川伊香保温泉線で約25分
【群馬の温泉】伝統行事やイベントに参加しよう
旅館やホテルでゆっくりとするのも温泉地ならではの過ごし方ですが、せっかくなら地域の伝統行事やイベントにも参加してみませんか?
ここからは、群馬の温泉地で冬に楽しめる伝統行事やイベントを4つ紹介します。
家族で楽しめるものからユニークな祭りまで、地域ならではのイベントに参加することで、旅先でしか味わえない特別な時間を過ごしましょう。
(長野原町)川原湯温泉|湯かけ祭り
源頼朝が狩をしている最中に発見したとされる川原湯温泉。かつては吾妻川の谷間の道路沿いに数軒の旅館と日帰り湯がありましたが、八ッ場ダムの建設に伴い現在の場所に移転しました。
移転後の川原湯温泉の風景。(左)共同浴場「王湯」、(右上)川原湯温泉駅前キャンプ場、(右下)冬の吾妻川から川原湯温泉を望む
湧出する温泉は無色透明・無味無臭のアルカリ性単純温泉で、肌にやさしいのが特徴。神経痛やリウマチによく効くといわれています。
毎年1月20日の未明から催される川原湯温泉の湯かけ祭りは、ふんどし姿の若者たちがお湯のかけ合いをするユニークな行事。
源頼朝が温泉を発見してから約400年後、温泉が枯渇してしまったため、ニワトリを生贄として捧げたところ再びお湯が湧き出し、そのお祝いをしたことがこの祭りの始まりと言われています。
湯かけ祭りの様子(写真:群馬県)
紅白のふんどしをはいた若者たちが二手に分かれ、「お祝いだ、お祝いだ」と叫びながら、お湯をかけあいます。
祭りのクライマックスではくす玉の中から飛び出した4羽のニワトリをつかまえて祭壇に奉納。その年の無病息災と平穏無事を祈ります。
若者たちのかけあうお湯は見物客にも容赦なくかかるので要注意。しっかり対策をしたうえで楽しみましょう。
湯かけ祭り
期間:2024年1月20日
会場:共同浴場「王湯」 前(川原湯温泉内)
公式サイト:川原湯温泉|湯かけ祭り
川原湯温泉
住所: 群馬県吾妻郡長野原町川原湯234
公式サイト:川原湯温泉
(中之条町)四万温泉|鳥追い祭り
四万川沿いに広がる四万温泉。豊かな自然に囲まれたこちらの温泉街は古くから多くの湯治客が訪れる温泉街で、ナトリウムとカルシウムを含む柔らかな泉質から、美肌の湯として知られています。
江戸時代から続く温泉旅館「積善館」は映画「千と千尋の神隠し」の湯宿のモデルの一つとも言われており、そのレトロなたたずまいが近年注目を集めています。
四万温泉の位置する中之条町では、毎年1月14日に鳥追い祭りが開催されます。
中之条町の伝統行事である田畑を荒らす鳥や獣を追い払い、五穀豊穣や家内安全を願って始められたと言われるこちらのお祭りは約400年の歴史をもつ中之条町を代表する伝統行事。
鳥追い祭りの様子(写真:群馬県)
勇壮なかけ声とともに鳥追い大鼓を盛大に打ち鳴らしながらまちなかを練り歩く、にぎやかなお祭りです。
鳥追い祭は中之条地区で最も盛大に実施されますが、四万温泉の各地区でも同日に催されます。
観光で訪れた方も大きな鳥追い大鼓をたたかせてもらえるため、ぜひチャレンジしてみましょう。
鳥追い祭り
期間:2024年1月14日
会場:温泉街の各地区(四万温泉内)
公式サイト:四万温泉|鳥追い祭り
四万温泉
住所:群馬県吾妻郡中之条町四万
公式サイト:四万温泉
(沼田市)老神温泉|びっくりひな飾り
片品川沿いに旅館やホテルが立ち並ぶ老神(おいがみ)温泉。「片品渓谷」や「吹割の滝」をはじめとする豊かな自然を楽しめる観光スポットに近いほか、尾瀬観光の拠点としてもにぎわう温泉街です。
老神温泉の露天風呂
温泉街にある13軒のホテル・旅館13軒は全て源泉を使用。単純温泉の源泉は古くから皮膚病に効果があると言われているほか、アトピーや神経痛にも効くと言われています。
4月から11月中旬にかけては関東一ともいわれる名物の朝市が開かれ、浴衣姿の宿泊客が地元の野菜や山菜、お土産などを買い求める風情ある光景が見られます。
老神温泉名物「朝市」の風景(写真:群馬県)
そんな老神温泉では毎年2月から3月にかけて、「老神温泉びっくりひな飾り」を実施、メイン会場の利根観光会館を中心に温泉街の各所で展示されます。
県内外から集められたひな人形は、その数なんと約7000体。利根観光会館に設置される幅18m×高さ3.8mの特設ひな壇をはじめ、様々な種類のひな人形が会場を埋め尽くす光景は圧巻の一言です。
巨大なひな壇や、ひな人形を用いたユニークなあしらいなど、見どころがたくさん
びっくりひな飾り
期間:2月中旬~3月中旬ごろまで(2023年は2月18日から3月26日まで実施)
会場:利根観光会館およびその他観光施設(老神温泉内)
公式サイト:老神温泉|びっくりひな飾り
※2023年11月時点では2024年の開催時期は不明、情報が更新され次第加筆予定
老神温泉
住所:群馬県沼田市利根町老神607-1
公式サイト:老神温泉
(草津町)草津温泉|冬花火
日本三名泉のひとつにも数えられ、全国的にも有名な草津温泉。
豊富な湯量や高い効能で古くから知られる草津温泉には、多くの温泉旅館や日帰り湯が軒を連ね、年間をとおして全国から多くの湯治客が訪れています。
ライトアップされた湯畑(写真:群馬県)
草津温泉のシンボルが温泉街の中心にある湯畑。毎分4000リットルの温泉が湧出し、湯気と硫黄の匂いに包まれる湯畑の周辺にはお土産物屋や遊技場が軒を連ねており、温泉街らしい風情を楽しみながらの散策が楽しめます。
そんな草津温泉の冬の風物詩となっているのが、毎年3月上旬に開催される冬花火。夏のイメージの強い花火大会ですが、雪景色のなかで見る花火もまた格別です。
冬花火を楽しむ人々(写真:一般社団法人 草津温泉観光協会)
草津温泉スキー場から打ち上げられる約1,000発の花火が夜空を美しく彩る光景を、温泉街の各所から楽しめるのが魅力の冬花火。温泉やスキーとあわせてぜひ楽しんでみてください。
冬花火
期間:3月上旬(2023年は3月4日に実施)
会場:草津温泉スキー場周辺(草津温泉内)
公式サイト:草津温泉|冬花火
※2023年11月時点では2024年の開催時期は不明、情報が更新され次第加筆予定
草津温泉
住所:群馬県吾妻郡草津町草津
公式サイト:草津温泉
まとめ
全国でも有数の温泉大国・群馬県。草津・四万・伊香保の三大温泉地をはじめ、群馬県には魅力ある温泉地が数多くあります。
また、各温泉地では今回ご紹介した4つのイベントをはじめ、ご当地ならではのユニークなイベントや伝統行事も催されています。
週末のお出かけやリフレッシュに、ぜひ群馬の温泉を訪れてみてください。
Text:石井亮 Edit:Sakura Takahashi
Photo:PIXTA(特記ないもの)
参考:
心にググッと観光ぐんま/一般社団法人群馬県温泉協会/四万温泉観光協会/草津温泉ポータルサイト/渋川伊香保温泉観光協会/川原湯温泉協会/中之条町観光協会/四万温泉のイベント/沼田市