椿の開花に合わせて開催される、伊豆大島椿まつり。
伊豆大島は高速ジェット船なら、東京・竹芝客船ターミナルから最短で1時間45分で行け、日帰りも可能です。飛行機ならもっと早く、調布から伊豆大島まで最短25分でアクセスできます。
気軽に出かけられる伊豆大島椿まつりとは、どのようなイベントなのでしょうか。この記事では、2024年1月28日(日)〜3月24日(日)まで開催中の椿まつりの楽しみ方を詳しくご紹介します。
※本記事に掲載の情報は2024年2月時点のものです。諸事情により変更となる場合がありますので、お出かけの際は、公式サイト等で最新情報をご確認ください
1. 椿まつりとはどんなまつり?
伊豆大島椿まつりは椿が開花する時期に開催されるイベントで、島内のあちこちでステージイベント、特産品の販売、イルミネーションイベントなどが催されます。特設会場のステージイベントでは、大島民謡や御神火(ごじんか)太鼓などが披露されるほか、椿の女王コンテストも開催。幅広い年代の人が楽しめるまつりです。
椿は「大島町の木」「大島町の花」に制定されてます
2. 伊豆大島にはどうして椿が多い?
島全体で「椿まつり」が開催されるほど、伊豆大島は椿がたくさん生えている島です。数でいえば約300万本にもなります。なぜこれほど椿が多いのでしょう?
伊豆大島は、火山灰を含んだ水はけのよい土壌が多く見られ、気候が穏やかです。これはヤブツバキの生育に適していたため、伊豆大島にはもともと多くのヤブツバキが自生していました。
ヤブツバキは島の人々にとって防風林となったり、椿油や良質な炭の原料となるなど、生活を助けてくれる存在。そこで人々は自生していたヤブツバキを大切にするだけでなく、多くの椿を植えました。雑木林では椿以外の樹木を伐採して、椿が植えられたそうです。こうして伊豆大島の椿は増えていきました。
島内に咲く椿
椿油といえば髪の手入れに使うイメージがありますが、伊豆大島では食用や薬用など様々な用途で使われてきました
3. 椿の開花時期と見頃
伊豆大島の椿は、1月から4月上旬頃に咲きます。桜などのように、一斉に開花するわけではなく、さらに花が咲いている期間も長いので、長期にわたって花を楽しめるのが魅力です。開花時期は品種による違いのほかに、個体による違いも。
1月から2月にかけて咲き始め、見頃を迎えるのは例年2月下旬から3月中旬にかけて。3月下旬から4月上旬は、大島桜も開花。椿と桜の花の競演を楽しめますよ。
三原山麓に咲く大島桜
4. 「椿まつり」期間中のイベントや催し
オープニングセレモニー
2024年は1月28日(日)の10時より、メイン会場である大島公園椿プラザ特設会場にて行われました。
大島民謡、あんこの手踊り、御神火太鼓などのステージ
伊豆大島ならではのステージを楽しめるのも椿まつりの醍醐味です。大島公園の椿プラザ特設会場のステージでは、大島民謡やあんこの手踊りなど郷土芸能のステージ公演が行われます。期間中は連日行われるので、ぜひ伊豆大島ならではの雰囲気や伝統を楽しんでくださいね。
椿まつりのメイン会場・椿プラザ特設会場。ステージ公演のほか、特産品の販売なども行なっています(写真提供:大島観光協会)
夜祭り
2024年は2月2日(金)〜2月24日(土)の期間中金曜・土日祝に、元町港船客待合所で夜祭りが開催されます。御神火太鼓や伝統芸能のほか、スーパーあんこ娘によるダンスを披露。2月10日(土)には、みんなでゴスペルを歌うイベントも行われました。
夜祭でのよさこいパフォーマンス(写真提供:大島観光協会)
椿の女王コンテスト
2024年の椿の女王コンテストは2月17日(土)の10時より、大島公園の椿プラザで開催されました。コンテストへの出場者は、伊豆大島の伝統である「あんこ衣装」に身を包みます。伊豆大島ならではの、伝統の中に華やかさがある、温かい雰囲気が魅力です。
「あんこ」とは伊豆大島の言葉で「(年上の)お姉さん」という意味。船で海へ出る男性に代わり、家事や野良仕事などに汗を流し、島の暮らしを守ってきた女性たちのことです(写真提供:大島観光協会)
ミス椿の女王やミス大島のみなさんは、東京都知事への表敬訪問をはじめ、大島のPR活動を行います(写真提供:東京都)
椿花ガーデンイルミネーション「星と椿の散歩道」
2024年3月1日(金)〜3月23日(土)の期間中、椿花ガーデンで椿の花がライトアップされます。きらめく星空の下で、暗闇に浮かび上がる赤い椿の花。幻想的な空間は、デートにもおすすめです。入場は無料なので、気軽に立ち寄れます。なお、雨の日は中止なので、気をつけてくださいね。
椿花ガーデンイルミネーション(写真提供:大島観光協会)
椿の花びら染め体験教室
椿まつり期間中、椿の花びらを使った染物の体験教室が開かれます。土日祝のみ、その日の出帆港(※)が会場です。花びら染めに使うのは、ハンカチやスカーフ。さりげなく使えるアイテムなのでお土産にもぴったり、ぜひ体験してみてはいかがでしょうか。
※伊豆大島では客船が到着・出帆する港が2カ所あり(岡田港・元町港)、風の向き等によってその日の到着港・出帆港が変わります。その日の到着港・出帆港は東海汽船の公式サイト内、運航状況のページなどで確認することができます
5. 「椿まつり」期間中のおすすめ立ち寄りスポット
椿が見頃となる時期は、自生する椿だけでなく3つの椿園でもさまざまな品種の椿が満開に。伊豆大島を代表する、3つの椿園をご紹介します。2016年には3つすべての椿園が、国際優秀つばき園に認定されました。
椿が咲く東京都立大島公園(写真提供:東京都)
東京都立大島公園 椿園
大島の東部に位置する東京都立大島公園は、椿園のほか椿資料館、動物園、芝生の広場などがある公園です。椿園は7haの広さで、これは東京ドーム約1.5個分に相当します。450品種ほどの椿が植えられていますが、品種が多いだけでなく、温室などの設備も充実。世界的に見ても圧倒的な規模を誇る椿園です。
【 東京都立大島公園 椿園】
●住所:東京都大島町泉津福重2
●公式サイト:東京都都立大島公園|東京都大島支庁
椿花ガーデン
広大な敷地で、椿のほか四季折々の植物が見られる公園です。うさぎの森など見どころも多く、のんびりと過ごせるおすすめスポット。芝生の丘からは空と海、天気のいい日には富士山も見えます。ここから眺める夕日は絶景ですよ。
椿の品種が多く、早咲きや夏咲きの品種があるため、ほぼ年間を通して椿を見られます。しかし、なんと言っても見頃は椿まつりの時期。ぜひ、立ち寄ってみてくださいね。
【椿花ガーデン】
●住所:東京都大島町元町津倍付41-1
●公式サイト:伊豆大島椿花ガーデン
東京都立大島高校 椿園
高校生が管理する椿園があることで知られ、椿まつり開催期間中は人気の観光スポットのひとつになります。世界中の椿園のなかで、高校生が管理しているのは大島高校の椿園だけだと言われています。原種であるヤブツバキや、380種類ほどの園芸品種が見られる、規模の大きい椿園です。なお一般公開は椿まつりの期間中(2024年は1月28日~3月24日)のみです。
【東京都立大島高校】
●住所:東京都大島町元町八重の水127
●公式サイト:椿の紹介|東京都立大島高等学校
6. 伊豆大島ではどんな椿が見られる?
伊豆大島 椿まつりは、何も知らずにふらりと訪れても気軽に楽しめるまつりです。でも、せっかく行くなら、どのような椿が見られるのか、少し知っているだけで楽しさが膨らみそうですよ。難しいことを調べる必要はないので、少しだけ椿の品種についてご紹介しましょう。
伊豆大島に自生する椿の品種
伊豆大島では1500種類ほどの椿が見られますが、そのほとんどは椿園に植えられたものです。自生する椿は品種が限られ、次の品種が見られます。
【ヤブツバキ】
椿だけでなく、鑑賞用の花全体の中で日本最古の品種です。原種なので、ほかの品種と掛け合わせて、多くの品種が誕生しています。
【ユキツバキ】
雪に耐えることから、ユキツバキと名づけられました。積雪に埋もれても、しなやかに枝を伸ばし、春には開花します。
【ユキバタツバキ】
ヤブツバキとユキツバキの両方が見られる地域に分布している品種です。多雪地帯に多い品種ですが、温暖な伊豆大島でも存在しています。
【サザンカ】
サザンカも椿と同じ、ツバキ科ツバキ属の樹木です。椿は開花が終わると花がそのまま落ちますが、サザンカは花びらが1枚ずつ落ちていくことで、違いを見分けられます。
【ヒメサザンカ】
白い花が特徴で、川の近くなど、湿気が多い場所を好みます。日当たりが悪い場所でも生育できる品種です。
都立大島公園の「椿資料館」では、さまざまな品種の椿を展示していますよ(写真:伊豆大島写真館より)
椿まつり開催概要・島内交通・アクセス
開催概要
●名称:第69回 伊豆大島椿まつり
●期間:2024年1月28日(日)~3月24日(日)
●時間:各イベント、会場により異なる
●メイン会場:椿プラザ(東京都大島町泉津福重2 東京都立大島公園・第一駐車場周辺)
●関連サイト:
第69回 伊豆大島椿まつり|大島観光協会
第69回 伊豆大島椿まつり|東海汽船
※期間中は毎日開催されますが、イベントにより日にちが限定されているもの、雨天中止になるものがあります
※伊豆大島 椿まつりに関連するイベントは、東京都立大島公園のほか、元町港周辺や、三原山山頂口展望台周辺など、島内複数箇所で開催されます
7. 島内交通
伊豆大島はかなり大きな島なので、島内の移動はバス・レンタカー・レンタバイク・レンタサイクルが便利です。
路線バスは6つの路線があり、元町港または岡田港から大島公園行きは1日9便、元町港または岡田港から波浮港行きも1日9便が運行しています。島中央の三原山を発着する便はこれらより少ない本数です。
レンタカーやレンタバイクのショップは島内の各所にありますが、船や飛行機の到着時間に合わせて港・空港まで迎えに来てもらえる場合が多いです。
●路線バスの時刻表・路線図はこちら:大島バス
●伊豆大島ナビ内、島内交通のページも併せてご確認ください
アクセス
伊豆大島へのアクセスはこちらの記事で解説しています。椿まつり期間中は東海汽船の季節限定運行の便も出航していますよ。
おわりに
伊豆大島 椿まつりは見どころが多く、会場が分かれていることから観光にもピッタリです。東京から日帰りもできるので、気軽に出かけられるのも大きなポイント。
春の足音が近づく伊豆大島で、鮮やかな椿や伝統芸能、風光明媚な島の風景を楽しんでみませんか?
Text:Kamegon Edit:Erika Nagumo
Photo(特記ないもの):PIXTA