築地本願寺の歴史
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国内外の観光客で賑わう築地市場のすぐ近くに立つ「築地本願寺」。東京都中央区に位置する、京都の西本願寺を本山とした浄土真宗本願寺派の寺院です。インドと浄土真宗の建築様式を併せ持つ築地本願寺は、日本中探しても稀有な建物とされています。

結婚式から合同墓まで、地元で長く愛されていると同時に、イベントも多く開催されていることから東京都内の観光スポットとしてもおすすめ。

今回は、都内に訪れたらぜひ足を伸ばしてほしい築地本願寺の歴史や魅力についてご案内していきます。

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築地市場の場内市場の様子

日本の台所【築地市場】の歴史と魅力を解説 東京の台所「築地市場」。今では東京観光に欠かせない、外国人観光客に大人気のスポットです。新鮮な魚介類を食べられるだけでなく、活気溢れるマグロの競りの様子も必見。場内市場が豊洲に移転しましたが、築地場外市場は変わらぬ賑わいを見せています。

商店街・屋台・市場

築地市場近くに位置する「築地本願寺」とは

築地市場の近くにたち、インドの建築物を彷彿とさせる造りの築地本願寺。異国情緒漂う外観ですが、実は創建400年を越える由緒ある寺院で、本堂などは国の重要文化財に指定されています。

江戸時代、埋め立てられた「築地」のシンボルに

築地本願寺正面

築地本願寺正面

1617年、浄土真宗本願寺の第12代宗主である准如(じゅんにょ)が、現在の浅草周辺に「浅草御堂」という坊舎を建立したのが築地本願寺の始まり。その後、徳川幕府が京都の本願寺の別院として正式に認めたことで、その影響力が増していきました。

しかし、「明暦の大火(1657年)」によって坊舎は焼失してしまいます。復興が進められる中、幕府の区画整理の影響で元の場所での再建は不可能となり、八丁堀の海の埋立地に建てられることが決定。その土地が後に「築地」と呼ばれるようになりました。

特徴的な屋根を持つ本願寺は築地のシンボルとなり、江戸湊の目印としても有名でした。

関東大震災後、現在の姿に再建

新たな本願寺は築地で最盛を迎えますが、1923年の関東大震災によって再び焼失してしまいます。その後の約10年に渡る再建工事は、明治から昭和にかけて活躍した建築家の一人、伊東忠太の指揮によって進められ1934年に再建されました。

外観は主にインドの建築様式が用いられ、日本にない独特なデザイン設計が話題を呼んだ一方、内観は浄土真宗ならではの伝統技術が用いられ、日本とインドの文化が融合する「築地本願寺」へと生まれ変わりました。

2011年、栃木県で採掘される大谷石を積み上げた外壁が、国の有形文化財に登録されました。その3年後には本堂・石塀・三門門柱(正門・北門・南門)が国の重要文化財に指定されます。

築地本願寺本堂に入ってみよう

築地本願寺本堂

築地本願寺本堂

築地本願寺といえば、エキゾチックな雰囲気を持った本堂が特徴的です。
神社に比べて訪れる機会の少ない寺院ですが、拝観料も無料なので、気軽に立ち寄ってみてください。築地本願寺本堂内部に入ると、また違った魅力が溢れていますよ。

古代インド風の建築デザイン

まずは、そのユニークな外観をじっくり楽しみましょう。丸みを帯びた築地本願寺本堂の屋根からは、インド風建築様式と浄土真宗の文化が融合した、日本のお寺とは思えない異国情緒を感じさせます。

屋根と正面のモチーフは菩提樹の葉で、その中央にハスの花が描かれています。菩提樹とハスは、仏教において外せない植物。菩提樹は、仏教の祖であるゴータマ・ブッダがその根元に座り悟りを得た場所として、ハスは極楽浄土に咲いている花として有名です。

不思議な「動物の像」がお出迎え

築地本願寺の獅子像は日本でいう「狛犬」の役割

築地本願寺の獅子像は日本でいう「狛犬」の役割

築地本願寺を散策していると目に入るのが、動物の像です。正面の階段下に鎮座している左右の獅子像。いわゆる狛犬の役割をしているようです。

階段を上がったところにある柱には阿吽(あうん)が、その他にも牛・馬・象といった動物像が配置されています。いずれも仏教と縁の深い動物たち。本願寺には、「グロテスク」と呼ばれる珍獣や青龍・朱雀・白虎・玄武といった神話に出てくる動物も見られます。

これらは全て建築家である伊藤忠太によってデザインされたもの。随所に配された動物たちを探すのも楽しいかもしれません。

伝統的な寺院造りと荘厳なパイプオルガン

築地本願寺本堂内部は日本らしさを感じられる伝統的な真宗寺院の造りになっています。とはいえ、やはり独特な外国洋式が組み込まれている築地本願寺。本堂入口の扉上部には美しいステンドグラスがあり、天井にはシャンデリアが。

そして特徴的なのが、頭上、左右に配された大きなパイプオルガンです。キリスト教会に設けられているような大きなパイプオルガンが、2つ。こちらは仏教伝道と仏教音楽の普及のために財団法人仏教伝道協会より寄贈されたもの。現在でもコンサートなどで使用され、荘厳な音色を本堂内に響かせています。

築地観光とあわせて

築地本願寺は地下鉄日比谷線築地駅に直結していて、浅草線東銀座駅や有楽町線新富町駅からも歩いて5分ほどと、アクセスのよさが魅力の一つです。

拝観時間は9:00~16:00。門は朝6時から開かれ、無料で拝観ができます。築地市場や歌舞伎座を訪れたついでに、ふらりと築地本願寺に立ち寄ってみるのもいいかもしれません。

築地本願寺で開催されるイベント

いつでも訪れやすい”開かれたお寺”として知られる築地本願寺。季節ごとに開催されるイベントのほか、毎月開催されるイベントなど、行事が盛りだくさんです。築地本願寺で開催されるイベントをご紹介します。

季節ごとに訪れたい築地本願寺の年間行事

築地本願寺でもお正月から盆踊りまで、季節ごとに賑やかなお祭りが開かれています。お祭りをきっかけに、築地本願寺に足を運んでみるのもおすすめです。

大晦日・元旦の法要 - 12月31日・1月1日

大晦日の除夜会には、350人が除夜の鐘をつくことができます。お正月の元旦会では、6:30から元旦の法要が始まります。

はなまつり - 4月

4月の上旬に開催される「はなまつり」は、お釈迦様の誕生日をお祝いするお祭り。築地本願寺では仏様に甘茶をかけてお祝いするだけではなく、和楽器の演奏やパレードなど、子どもからおとなまで楽しめるイベントが開かれます。

築地本願寺の納涼盆踊り - 6〜8月

6月下旬から8月頭にかけて開催される築地本願寺の夏祭り。日本の夏の風物詩とも呼べる盆踊りはもちろん、屋台も醍醐味の一つ。「日本一美味しい盆踊り」を謳っており、夏祭りならではのグルメや、築地市場でも人気な卵焼きやもつ煮込みも楽しめます。

毎月開催されるイベント

年間のお祭りに合わせて拝観できずとも、さまざまなイベントが毎月開催されています。
2017年にリニューアルされた「インフォメーションセンター」にはカフェやブックストアが併設され、行事やお参り以外の目的でも訪れることが可能。一般的に開かれたお寺として、足を運びやすいスポットなのです。

ランチタイムコンサート

毎月最終金曜の12:00〜12:50、本堂にあるパイプオルガンによって仏教讃歌やクラシック音楽が演奏されます。コンサート観賞は無料。

しんらんさまの日

浄土真宗の宗祖である親鸞に敬意を表し、毎月16日に「しんらんさまの日」を開催。朝の7時から「晨朝(じんじょう)」と呼ばれる特別な読経が行われ、参加者には本願寺特製あんぱんが配られます。

英語法座

毎週土曜の17:30〜19:30まで行われる「英語法座」では、仏様のお話を英語で聞くことができます。法座後には茶話会も開かれ、毎週ごとにテーマがあるので、気になる方はぜひHPをチェックしてみてください。

第一伝道会館で宿泊

実は、築地本願寺は泊ることもできるのです。宿泊施設は第一伝道会館にあり、和室12室、洋室3室の合計15室。1名1室5,000円~、2名1室9,000円~というリーズナブルさで寺院での宿泊を体験できます。各室にバス・トイレはなく共同となりますが、寺院宿泊体験に挑戦してみたいという人はHPをご確認ください。

築地本願寺を拝観して異国情緒と日本仏教を体感してみては

2017年に創建400年を迎えた築地本願寺は、お寺本来の役割に立ち返りながら、人々の人生や暮らしに寄り添い心の安らぎを与える「開かれたお寺」を目指してさまざまな取り組みを行っています。

観光目的で訪れるのはもちろん、心を落ち着かせたいときに立ち寄ったり、休日に友人と一緒にイベントに参加してみたり、いろいろな場面で何度も訪れたい、「かかりつけのお寺」にしてみてはいかがでしょう。

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