東北の厳しい冬の寒さが緩み、ようやく桜の蕾がほころび始めました。雪深い地域では特に、「春を心待ちにしている」「桜を見てやっと冬を越したと感じる」という人も多いのではないでしょうか。
国内有数の豪雪地帯である青森にも、多くの桜名所が存在します。本州関東地方以南の桜が葉桜へと移り変わる頃、ようやく見頃を迎える青森の桜を、それぞれの名所とともに堪能してみませんか?
この記事ではそんな青森の桜名所の中から、例年桜祭りの会場となっている10カ所を厳選して紹介します。また、2024年の各所の開花時期予想も合わせて掲載しますので、「まだまだ今年の桜を楽しみたい」という方はぜひ参考にしてください。
※開花時期予想は青森県観光情報サイトを元に掲載しています
桜祭りも楽しめる青森桜名所
弘前公園の桜祭りに訪れる人々
青森の主要な桜名所と、各名所で開催される桜祭りの開催時期を紹介します。2024年は特に開花が早まっていますが、多くの桜祭りはゴールデンウィーク中に開催予定です。ぜひお出かけの参考にしてくださいね。
【青森の桜】弘前・深浦エリアの桜名所と祭り
青森県西南〜中南に位置する【弘前・深浦エリア】の桜名所と祭りを紹介します。
青森桜名所①弘前公園
江戸時代以前に築かれた天守のうち、今日まで私たちが見ることのできる天守は日本にわずか12城しかないことを知っていますか?青森の「弘前公園(ひろさきこうえん)」では、そんな貴重な現存天守の中で最北端に位置する弘前城と、約50種類2600本もの桜を一度に楽しめます。
弘前城の天守閣を背景に桜を望む
広い園内で特に注目したいのは、見つけたらぜひ写真に撮りたい桜のハート!重なった2本の桜の枝が空にハートを浮かび上がらせる、弘前公園の隠れたフォトスポットです。場所は非公開なので、花見がてら目印のハート型の切り株を探してみましょう。
弘前公園のどこかにある桜のハート
例年4月下旬〜5月上旬にかけては、国内外から約200万人が訪れる「弘前さくらまつり」が開かれます。会場となる弘前公園内にはズラリと屋台が並び、おばけ屋敷などのアクティビティー施設の出店も。弘前市内のホテルからのアクセスも良く、一度は行ってみたい桜名所の一つです。
【2024年の開花予想】
4月13日(土)頃〜
【弘前さくらまつり】
期間:2024年4月19日(金)~5月5日(日)
会場:弘前公園
開催時間:9:00~21:00
点灯時間:日没~23:00
公式サイト:弘前さくらまつり
※まつり期間中は園内一部区域が指定時間のみ有料。詳細は公式サイトで確認を。
【弘前公園の基本情報】
住所:青森県弘前市下白銀町1
公式サイト:弘前公園
青森桜名所②猿賀公園
弘前市の隣、平川市にある猿賀公園(さるかこうえん)は、四季折々の風景が美しい自然公園。東京ドーム1個分よりも大きい6.3haの面積を有し、和洋折衷の庭園では結婚式の前撮りを行う人も多いのだとか。春には約330本の桜が二つの池を囲むように立ち並び、訪れる人の目を楽しませます。
猿賀公園名物の一つ、大きな噴水広場
片方の池、鏡ヶ池には、中洲にある社へ渡るために神橋が架けられています。桜の淡いピンクと、橋や社の鮮やかな朱色のコントラストは、思わず足を止めて見入ってしまう美しさ。夕方〜夜にかけては特に幽玄な雰囲気を醸し出します。
水面に映し出される桜と神橋。祭り期間中はライトアップも
毎年春に開催される平川さくらまつりでは、期間中の土日祝日にイベント参加や屋台での飲食を楽しむことができます。2024年も抽選会やワークショップ実施、屋台の出店を予定しているので、週末や連休中のおでかけ先におすすめです。
【2024年の開花予想】
4月13日(土)
【平川さくらまつり】
期間:2024年4月20日(土)~5月6日(月祝)
会場:猿賀公園
開催時間:9:00~17:00
点灯時間:日没~21:00
公式サイト:第43回平川さくらまつり
※まつり期間中に開催予定の一部イベントでは料金が必要。
【猿賀公園の基本情報】
住所:青森県平川市猿賀石林
公式サイト:平川市観光協会 猿賀公園
青森桜名所③東公園さくら山
青森のほぼ中央に位置する、丘陵地の黒石市。そんな黒石市の中でも、東公園さくら山は地域一帯を見渡すことのできる観光スポットとして有名です。眼下に広がる里山の田園風景が、日常の忙しなさをひととき忘れさせてくれるはず。
奥まで続く桜並木に期待が高まる
東公園内には約700本以上の桜の木が植えられ、黒石市内随一の桜名所と言われています。美しい桜並木に覆われた遊歩道は、起伏に富みながらもきちんと整備されているため、ゆったりと散歩を楽しむのにおすすめです。
桜を見上げて一緒に歩けば、会話も弾む
ここ東公園さくら山で開催される、2024年の「黒石さくらまつり」では、イベントや屋台出店を実施予定です。4月下旬の土日祝日には歌やダンスのステージが披露されるのでお見逃しなく。祭り期間中は毎日出店する屋台もお楽しみに。
【2024年の開花予想】
4月15日(月)頃
【黒石さくらまつり】
期間:2024年4月13日(土)〜21日(日)
会場:東公園さくら山
公式サイト:黒石観光協会 2023年黒石さくらまつり
※夜間ライトアップなし
【東公園さくら山の基本情報】
住所:森県黒石市柵ノ木2丁目38-8
公式サイト:黒石観光協会 東公園さくら山の桜の紹介と説明
青森桜名所④富士見湖パーク
本州最北の活火山として知られる弘前市の岩木山は、その景観美から津軽富士とも呼ばれ、青森の人々に親しまれています。
弘前市にほど近い鶴田町の富士見湖パークは、そんな津軽富士を望むアクティビティー施設。日本一長い「鶴の舞橋」をはじめ、たくさんの屋外遊具やピクニック施設を備えています。
鶴田町のシンボルとして多くの住民から親しまれる「鶴の舞橋」
富士見湖パークでは、春になると約2000本もの桜が咲き誇り、景観を美しく彩ります。園内では毎年ゴールデンウィーク頃に「鶴の舞橋桜まつり」を開催しており、2024年も実施予定です。
例年ステージイベントやヘラ鮒釣り大会、カラオケ大会などの企画が豊富なので、今年も目が離せません。
津軽富士を望みながら桜並木を歩く
【2024年の開花予想】
4月15日(月)頃
【鶴の舞橋桜まつり】
期間:2024年4月20日(土)~5月6日(月祝)
会場:富士見湖パーク
開催時間:10:00~16:00
公式サイト:鶴田町 鶴の舞橋桜まつり
※夜間ライトアップなし
【富士見湖パークの基本情報】
住所:青森県北津軽郡鶴田町廻堰大沢81-150
公式サイト:鶴田町 富士見湖パーク
【青森の桜】八戸・三戸エリアの桜名所と祭り
東は太平洋、南は岩手県と接する【八戸・三戸エリア】の青森桜名所と祭りについて紹介します。
青森桜名所⑤八戸公園
八戸市の八戸公園は、東京ドーム約8個分、37haという広大な敷地を有する総合公園。
園内は、植物鑑賞に特化した「緑化植物園ゾーン」、ジェットコースターや観覧車を備えた「遊園地ゾーン」など、特徴の異なる9種類のエリアに分かれ、子どもから大人まで楽しめます。無料でさまざまなアクティビティーが楽しめるとあって、青森の家族連れやカップルにも人気のスポットです。
本格的な遊具を備え、テーマパークとしても魅力的な八戸公園
ゴールデンウイーク前後、園内にはソメイヨシノやヤマザクラ、ヤエザクラなど約2000本の桜が咲き誇り、県南最大級の春まつり「はちのへ公園春まつり」が開催されます。
2024年の祭り期間中は、ジャズ演奏や歌謡ショーなどイベント企画が盛りだくさん!飲食物を扱う屋台も営業予定ですが、八戸市からは食べ歩きを自粛するよう要請が出されているので注意しましょう。
パステルカラーの観覧車と桜のピンクが可愛らしい
【2024年の開花予想】
4月15日(月)頃
【はちのへ公園春まつり】
期間:2024年4月29日(月祝)~5月6日(月祝)
会場:八戸公園(こどもの国・植物園)、芝生広場ゾーン
開催時間:9:00〜17:00
公式サイト:八戸市 八戸公園のイベント情報
【八戸公園の基本情報】
住所:青森県八戸市大字十日市字天摩33-2
公式サイト:八戸市 八戸公園のイベント情報
青森桜名所⑥三戸城跡城山公園
三戸市街の小高い山の上にある三戸城跡城山公園。その学術的価値の高さから、2022年3月に国史跡に指定された三戸城跡は、戦国時代から現代まで残る石垣や堀跡など数々の遺構を通して、私たちに当時の様子を伝えてくれます。
三戸城跡城山公園内には、三戸町の資料や藩主の道具類などを展示する施設もあり、多くの歴史好きが足を運びます。
復元された三戸城の天守閣と桜
青森県内有数の桜名所である三戸城跡城山公園は、春になると多種多様な桜で園内が彩られます。中には黄色い花をつける希少なギョイコウザクラもあるので、探してみましょう。
見頃を迎える時期に開催される「さんのへ春まつり」では、ステージイベントや音楽フェス、マルシェなどで賑わいを見せます。
【2024年の開花予想】
4月18日(木)頃
【2024年さんのへ春まつり】
期間:2024年4月29日(月祝)~5月5日(日祝)
会場:国史跡三戸城跡城山公園
ライトアップ期間:2024年4月18日(木)~
点灯時間:18:00〜22:00
公式X(旧Twitter):NPO法人三戸町観光協会
【国史跡三戸城跡城山公園の基本情報】
住所:青森県三戸郡三戸町大字梅内字城ノ下
公式サイト:国史跡三戸城跡城山公園
【青森の桜】青森・五所川原エリアの桜名所と祭り
津軽半島に位置する青森・五所川原エリアの青森桜名所と祭りについて紹介します。
青森桜名所⑦芦野公園
文豪・太宰治の出身地である五所川原市に位置し、太宰が幼少期によく遊びに訪れたことで知られる芦野公園は、「日本のさくら名所100選」にも選ばれています。
春には約1500本の桜が咲き誇る芦野公園には、キャンパーたちに人気の無料オートキャンプ場や、うさぎやウコッケイなどの小動物が見られるエリアがあり、季節を問わず利用したい公園です。
芦野公園内の満開の桜
芦野公園で有名なのが、オレンジ色の電車が桜のトンネルを走り抜ける風景。芦野公園から歩いてすぐの津軽鉄道津軽鉄道線「芦野公園」駅周辺では、線路を覆うように桜の木が立ち並びます。
津軽鉄道津軽21形気動車、通称「走れメロス」と桜のコラボレーションを一目見ようと、毎年多くの観光客が訪れます。もちろん車中から桜を楽しむのもおすすめ!津軽半島観光アテンダントによる津軽弁のアナウンスで、青森の観光気分も盛り上がること間違いなしです。
桜のトンネルを駆け抜ける津軽鉄道津軽21形気動車「走れメロス」
そんな芦野公園で開催される金木桜まつりは、ステージショーや花火大会、屋台出店などで賑わい、毎年30万人ほどを集客する人気イベントです。夜間ライトアップも予定しているので、昼間とはまた違った桜の顔を見に足を運んでみましょう。
【2024年の開花予想】
4月20日(土)頃
【金木桜まつり】
期間:2024年4月29日(月)~2024年5月5日(日祝)
※桜の開花状況によっては4月20日(土)〜
会場:芦野公園
開催時間:9:00~ライトアップ終了時間
公式サイト:金木商工会 金木桜まつり
【芦野公園の基本情報】
住所:青森県五所川原市金木町芦野84-170
公式サイト:五所川原市公式観光サイト
【青森の桜】むつ・大間エリアの桜名所と祭り
恐山があることで知られる【むつ・大間エリア】の青森桜名所と祭りについて紹介します。
青森桜名所⑧早掛沼公園
本州最北端の下北半島に位置するむつ市は、三方を海に囲まれ、面積の多くが国定公園に指定された、自然の恵み豊かな街です。
早掛沼公園はそんなむつ市の中心部、JR大湊線「下北」駅からバスで10分ほどの場所にあります。春〜秋にかけては季節の花木を楽しむことができ、冬の雪遊びにもうってつけです。
長い冬が過ぎ、春を迎えた早掛沼公園の桜
春になると約410本の桜が見頃を迎え、約500株のチューリップと一緒に早掛沼公園を彩ります。
むつ市最大の桜祭り「むつ桜まつり」では、例年カラオケ大会や歌謡ショーといったステージイベント、屋台出店などが実施され、皆で春の訪れを分かち合います。
2024年は花見宴会も解禁されるので、フードやドリンクを片手に桜を楽しみましょう。
【2024の開花予想】
4月17日(水)頃
【むつ桜まつり】
期間:2024年4月20日(土)~5月6日(月祝)
会場:早掛沼公園
ライトアップ時間:日没〜
公式サイト:むつ市観光協会OfficialWebSite
【早掛沼公園の基本情報】
住所:青森県むつ市田名部小平舘ノ内尻釜35-36
公式サイト:むつ市 早掛沼公園
【青森の桜】十和田・三沢エリアの桜名所と祭り
八甲田山に面する【十和田・三沢エリア】の青森桜名所と祭りについて紹介します。
青森桜名所⑨官庁街通り
十和田市のシンボルであり、「日本の道100選」にも選出された官庁街通りは、「駒街道」とも呼ばれ、地元住民から親しまれています。
さらに通り沿いの十和田市現代美術館を中心に、道の両側には草間彌生をはじめとした国内外の著名アーティストの作品などが点在しており、野外ギャラリーのように楽しめます。
馬産地だった十和田市にちなみ、馬をテーマにした作品も多く設置されている
155本の桜と161本の松が4列に並ぶ官庁街通りは、長さ1.1km幅36mのゆったりとしたつくり。春には桜のピンクと松の緑が美しいコントラストを描きます。
桜に覆われ、真っ直ぐに十和田市街を走る官庁街通り
官庁街通りやその周辺を会場として行われる「十和田市春まつり」では、各種ステージイベントのほか、茶会やフリーマーケット、乗馬体験会などを実施予定。
また全国的にも珍しく、ここでしか見られない女性騎手のみによる桜流鏑馬は迫力満点です。
【2024年の開花予想】
4月16日(火)頃
【十和田市春まつり】
期間:2024年4月6日(土)~5月5日(日祝)
会場:官庁街通り周辺、中央駐車場、中央公園緑地
開催時間:9:00~ライトアップ終了時間
ライトアップ期間:桜の開花状況に合わせて実施
点灯時間:18:00〜21:00
公式サイト:2024十和田市春まつり
【官庁街通りの基本情報】
住所:青森県十和田市稲生町15-3(アートステーション内)
公式サイト:十和田市 官庁街通り
青森桜名所⑩愛宕公園
青森でも有数の豪雪地帯、野辺地町の高台に位置する愛宕公園。展望台からは町を一望でき、青森出身の文豪・石川啄木の歌碑や、松尾芭蕉の句碑などが点在しています。日本文学に想いを馳せながらの散策におすすめです。
桜越しに眼下に広がる陸奥湾を望む
愛宕公園は青森を代表する桜の名所。ソメイヨシノを中心に約700本の桜が咲き誇る風景は見応え抜群です。
また、本州最北限に位置する樹齢約300年の町指定天然記念物、エドヒガンも見ることができます。
晴れた日の愛宕山頂からは陸奥湾を望め、桜越しに見る開けた景色が春の訪れを感じさせてくれるはず。
祭りの時期には、桜の海を泳ぐ鯉のぼりも見られる
愛宕公園で毎年ゴールデンウィークの時期に開催されている「のへじ春まつり」では、約150匹もの鯉のぼりと桜のコラボレーションを楽しむことができます。
また愛宕公園を主な会場として、駅伝大会や剣道の試合、屋台出店などを実施します。
【2024の開花予想】
4月17日(水)頃
【のへじ春まつり】
期間:2024年4月20日(土)~5月6日(月祝)
会場:愛宕公園
開催時間:9:00~ライトアップ終了時間
ライトアップ期間:2024年4月20日(土)~5月6日(月祝)
点灯時間:18:00~20:30
公式サイト: 青森県観光情報サイト のへじ春まつり
【愛宕公園の基本情報】
住所:森県上北郡野辺地町寺ノ沢56
公式サイト:野辺地町 愛宕公園
ゴールデンウィークも桜を楽しむなら青森で!
青森の桜名所の中から、例年桜祭りの会場となっている10カ所を紹介しました。名所で美しい桜を堪能するのはもちろん、他にも幅広く楽しめそうな施設ばかりでしたね。
青森の桜祭りの多くはゴールデンウィーク期間中に開催されるため、連休中の旅行先としてもおすすめ。屋外でも過ごしやすいこれからの時期、ぜひ青森を訪れてみてはいかがでしょうか。
Text:Sakura Takahashi Edit:Erika Nagumo
参考:
青森県観光情報サイト/弘前公園公式サイト/弘前さくらまつり2023/平川市観光協会/黒石観光協会/鶴田町/八戸市/三戸町/青森県金木商工会/むつ市観光協会OfficialWebSite/十和田市/野辺地町/青森県津軽半島観光アテンダント/各施設公式サイト/各観光協会発行パンフレット