東京都内のスイセンの名所3選
①葛西臨海公園
②新宿御苑
③京王百草園
「日本水仙三大群生地」はここ
「スイセン」はどんな花? 花言葉は?
おわりに

花といえば春〜秋に咲くものが多くありますが、冬の花と言えば何があるでしょうか。ツバキ、サザンカ、シクラメン、ロウバイ……そしてスイセン。

スイセンは幅広のピンとした葉と、星のような形をした白・黄色の花弁が特徴の花。古くは中国からやってきて、日本では海岸などで野生化しました。

この記事では東京都内でスイセンが有名な場所、国内の有名なスイセンの群生地、スイセンの花言葉などを紹介します。可憐なスイセンの花を見て、春の気配を感じてみてはいかがでしょうか。

※本記事は2022年10月時点の情報を元に作成しています。諸事情により最新の状況と異なる場合があります
※2025年1月、一部情報を更新しました

東京都内のスイセンの名所3選

スイセンにはさまざまな品種がありますが、日本でメジャーなのは「ニホンズイセン」という品種。ニホンズイセンは9月〜11月頃に球根が植えられ、12月〜2月に見頃を迎えます。

東京都内のスイセン名所には、ニホンズイセン以外の品種が植えられているところもあります。それらの中には2〜4月に開花する品種も。つまり、複数の品種が植えられている場所では、長い期間さまざまなスイセンを楽しむことができるのです。

東京都内で特に有名なスイセンの名所は、次の3カ所です。

①葛西臨海公園(かさいりんかいこうえん)

葛西臨海公園のスイセン

葛西臨海公園のスイセン。スイセン畑は観覧車の近くにあります

東京湾に面した都立公園で、都民の憩いの場としても愛されている「葛西臨海公園」では、毎年1月ごろからスイセンが見頃を迎え始めます。

植えられているのは、5万球、20万本ものスイセンたち。なかには、日本におけるスイセンの三大群生地としても有名な「越前海岸」のある福井県福井市から寄贈されたエチゼンスイセン(※)の姿も。葛西臨海公園のランドマークでもある観覧車の下に群生する爽やかなスイセンが、園内を彩ります。

また葛西臨海公園では、毎年スイセンが見頃を迎える頃に「水仙まつり」を開催。スイセンの名産地である各県の特産品の販売、楽器演奏、ワークショップの開催など、子どもから大人まで楽しめるイベントです。

スイセンの花やおいしいグルメ、音楽、自然と触れ合えるワークショップが楽しめるイベントに、ぜひ足を運んでみては。

※エチゼンスイセン:分類上はニホンズイセン。越前海岸に群生するニホンズスイセンは「エチゼンスイセン」というブランド名がつきます

葛西臨海公園のスイセン情報

●本数:20万本(5万7000球)
●見頃:1月中旬〜2月中旬
●住所:東京都江戸川区臨海町6-2-1
●アクセス:JR京葉線[葛西臨海公園駅]より徒歩約1分

水仙まつり 概要

●開催期間:2025年2月8日(土)〜2月9日(日)
●時間:10:00〜15:00
●場所:葛西臨海公園スイセン畑、芝生広場
●2025年の内容:
 ・スイセン名所(下田市・福井市・鋸南町)のご当地フード販売
 ・三味線演奏や声楽などのステージパフォーマンス
 ・カヌー体験
 ・ポニー乗馬体験 
 ・いきもの展示と野鳥ガイドツアー など
●公式HP:
 ・葛西臨海公園
 ・葛西臨海公園 水仙まつり ~2月8日・9日開催~

②新宿御苑(しんじゅくぎょえん)

東京都新宿区に広がる公園「新宿御苑」。風景式・整形式庭園や、日本庭園、大温室など、自然に触れられるぜいたくな名所を数多く有する施設です。都会の喧騒を忘れ、のんびりと自然に包まれる時間をすごすにはぴったりの新宿御苑では、春夏秋冬の花々が季節を彩ります。

新宿御苑で見られるスイセンは、全部で3種類。ニホンズイセン、ペーパーホワイト、ラッパズイセンです。

新宿御苑のニホンズイセン

12月〜2月に花開くニホンズイセン(写真提供:環境省新宿御苑管理事務所)

新宿御苑のラッパズイセン

ラッパズイセンは少し遅めの3月中旬〜4月上旬に開花(写真提供:環境省新宿御苑管理事務所)

ペーパーホワイトは、地中海原産の球根植物。スイセンの一種で、最大の特徴は透き通るような白さの花弁にあります。名前も「紙のように白い」花弁を持つことに由来するといわれています。ニホンズイセンと同じく、12月上旬〜2月上旬に花を咲かせ、芳香があります。

新宿御苑のペーパーホワイト

真っ白な花弁が特徴の「ペーパーホワイト」(写真提供:環境省新宿御苑管理事務所)

新宿御苑 スイセン情報

●品種:ニホンズイセン、ペーパーホワイト、ラッパスイセン
●見頃:12月上旬〜4月上旬
●住所:東京都新宿区内藤町11
●アクセス:
 《新宿門まで》
 ①東京メトロ丸ノ内線[新宿御苑駅]出口1より徒歩約5分
 ②東京メトロ副都心線[新宿三丁目駅]E5出口より徒歩約5分
●公式HP:新宿御苑
※酒類持込禁止、遊具類使用禁止(こども広場除く)

スイセンと同時期に見ごろを迎える新宿御苑の花

冬にはスイセンのほか、11月下旬〜1月上旬に見頃を迎えるカンツバキや、落葉低木のロウバイなども園内で見ることができます。

中国原産で、江戸時代に日本にやってきたとされる「ロウバイ」は、ロウ細工のようなツヤを持つ黄色の花を咲かせるのが特徴。漢字では「蝋梅」と書き、旧暦の「蝋月(12月)」に花を咲かせることから名付けられたとされています。

新宿御苑のロウバイ

黄色の小さな花をつける「ロウバイ」(写真提供:環境省新宿御苑管理事務所)

③京王百草園(けいおうもぐさえん)

「京王百草園」は京王電鉄が運営している自然庭園。冬にはニホンズイセンが見ごろを迎えます。園内でこの時期に同じ見ごろを迎えるのは、ロウバイや早咲き梅です。季節ごとに移り変わる四季折々の草花を楽しむことができます。

京王百草園の水仙

京王百草園のニホンズイセン

江戸時代に小田原城主の妻であった寿昌院(じゅしょういん)慈岳元長尼が徳川信康(とくがわ のぶやす)追悼のために、松連寺(しょうれんじ)を再建しました。その松連寺が廃寺になったのち、作られたのが京王百草園です。

江戸名所図会にも紹介されたとされ、歴史的に著名な小説家が訪れています。園内には松尾芭蕉の句碑や、若山牧水の歌碑が置かれており、有名な景勝地として昔から知られているようです。

園内には季節ごとに彩り豊かな花が咲き乱れ、どの時期に訪れたとしてもその自然の美しい風景を眺めることができるでしょう。

京王百草園 スイセン情報

●品種:ニホンズイセン
●見頃:12月上旬〜4月上旬
●住所:東京都日野市百草560
●定休日:水曜、12月30日〜1月3日 ※祝日の場合は翌日休
●入園料:大人500円、子ども100円
●アクセス:
 ①京王[百草園]駅下車徒歩約10分
 ②京王[聖蹟桜ヶ丘]駅からタクシーで約10分
 ③京王・多摩都市モノレール[高幡不動]駅からタクシーで約10分
●公式HP:京王百草園
※ペット連れ禁止

「日本水仙三大群生地」はここ

日本には、「日本水仙三大群生地」と呼ばれるスイセンの名所が存在します。それは、福井県の越前海岸、千葉県の鋸南町、兵庫県の淡路島の3カ所。三大群生地では、いずれもスイセンがじゅうたんのように群生しています。

福井県越前海岸

越前海岸のスイセン

ここで咲くニホンズイセンは「越前水仙」というブランド名を持つ

千葉県鋸南町「江月水仙ロード」

江月水仙ロード

ハイキングを楽しみながらニホンズイセンを楽しめる

兵庫県淡路島「立川水仙郷」

淡路島立川水仙郷

400万本のスイセンが花開く「立川水仙郷」

「スイセン」はどんな花? 花言葉は?

芳香を放つ気品ある花

日本の冬を代表する花としても親しまれているスイセンは、ヒガンバナ科スイセン属の多年草の植物。別名「雪中花」とも言われています。まっすぐ伸びた茎と葉を持ち、ラッパのような白色で上品な花を咲かせます。花を咲かせるためには一定の寒さが必要である性質も持ち合わせています。

「スイセン」という日本での呼び名は、漢字の「水仙」を音読みしたもの。その芳香と美しい花の姿から、「水辺の仙人のよう」という意味を込めて名付けられたとされています。

原産地は、スペインやポルトガル、北アフリカ。そこから世界に広がり、園芸用などに改良された栽培しやすい品種が誕生しました。現在色や形の異なる品種が30種類ほどあり、様々な場所で育てられたり、咲き誇っていたりします。

ニホンズイセンイメージ

日本でもっともポピュラーな「ニホンズイセン」

スイセンには毒がある

スイセンと一言でいっても、その種類はさまざま。日本でもっともよく見られるのが、「ニホンズイセン(日本水仙)」とよばれる、12月〜2月ごろに開花する寒咲きのスイセンです。平安時代末期ごろに中国から日本に伝来してきたといわれ、ほのかに甘い香りを放ちます。

1つの茎から3〜4つほどのかわいらしい花をつけますが、ほかのヒガンバナ科と植物と同様に毒を持っています。もし口に入れてしまうと、スイセンの持つ毒が食中毒などを引き起こし、強い嘔吐症状をもたらしてしまうそうです。十分注意してくださいね。

埼玉県 < 幸手市

怖いイメージを持たれる彼岸花(ヒガンバナ)

ヒガンバナ(彼岸花/曼珠沙華)はなぜ不吉で怖い? 由来・別名の意味・花言葉を解説 迷信や言い伝えで怖いイメージの「彼岸花(ヒガンバナ)」。なぜ不吉な印象なのか、そこには昔の日本の風習や持っている毒、花言葉の意味に関係しています。また彼岸花には恐ろしく不気味な別名がおよそ1,000個ほど。今回は彼岸花に隠された真実を紹介します。

その他自然・絶景

花言葉は「自己愛」

さて、白く美しい花を咲かせ、芳しい香りを放つスイセンですが、花言葉は「自己愛」。これは、スイセンの学名「Narcissus(ナルシサス)」にも由来する、ギリシャ神話が元になっているのです。

ギリシャ神話に登場する「ナルキッソス」は、「自分自身の姿を見なければ長生きできる」と予言され誕生した青年。何人もの女性に求愛されるほどの美形の持ち主でしたが、ある日、泉に映った自分の姿を見て、そのあまりの美しさに一目惚れ。泉に映る自分にキスをしようと近づき、そのまま泉に落ちて水死してしまうのです(諸説あり)。

スイセンイメージメイン

スイセンは海岸をはじめとした水辺に自生する

そして、泉の水辺に生えるスイセンへと変わった……。そんな話を元に、スイセンの花は「ナルシサス(またはナルキッソス / ナルシス)」と名付けられ、花言葉は「ナルシシスト(ナルシスト)」を意味する「自己愛」になったのです。

都内のスイセンの名所で冬の絶景を楽しもう

日本には、春夏秋冬季節を告げる花々があります。今回紹介したニホンズイセンは、冬を代表する日本の花。雪景色などがなかなか望めない都内の冬を彩ってくれる、可憐な植物です。

今回紹介した名所以外にも、昭和記念公園、浜離宮恩賜庭園など、都内ではスイセンが見られるスポットはさまざまあります。ぜひ冬の都内観光やデートの際に、スイセンが群生する景色を楽しんでみてはいかがでしょうか?

Text:編集部
Photo(特記ないもの):PIXTA