那智の滝とは?日本の世界遺産!
那智の滝をご神体とする別宮 飛瀧神社とは?
那智の滝は日本一の落差を誇る三大名爆のひとつ
【パワースポット】那智の滝で滝行をする人が多かった?
「熊野古道」とは?
那智の滝への観光コースを紹介
那智の滝周辺のおすすめスポット
まとめ

那智の滝は和歌山県勝浦町の飛瀧神社の御神体である滝。飛瀧神社は滝を祀っているため、本殿はなく滝に参拝をする全国でも珍しい神社です。

2004年7月に「紀伊山地の霊場と参詣道」の一部として、那智の滝がユネスコの世界遺産に登録されました。

この記事では、世界遺産「那智大滝」の歴史や魅力、そこに至るまでのルートを解説していきます。

那智の滝とは?日本の世界遺産!

那智の滝と三重塔

那智の滝と三重塔

冒頭に紹介したように、2004年7月に「紀伊山地の霊場と参詣道」の一部として、那智の滝がユネスコの世界遺産に登録されました。また、那智の滝は1972年に「那智大滝(なちのおおたき)」として国の名勝に指定されているほか、大滝の東に広がる那智原始林は国の天然記念物にも指定されています。

なぜ、紀伊山地の霊場と参詣道が世界遺産に認定されたのでしょうか?

紀伊山地は三重県、奈良県、和歌山県にまたがる標高1000m〜2000m級が連なる山脈。

神々が集まる特別な地域とされ、古くから山岳修行の舞台でもありました。「吉野・大峯」や「熊野三山」、「高野山」などの山岳霊場とそこに続く道である参詣道、そしてその道の周りに多くの人が集まり文化的景観が出来上がったことから、後世に残すべき世界遺産として認められるようになりました。

那智の滝をご神体とする別宮 飛瀧神社とは?

飛瀧神社

飛瀧神社

熊野那智大社の別宮である、那智の滝を御神体として祀っているのが飛瀧神社。

飛瀧神社では滝(御滝)そのものを、別の名で大国主神(おおくにぬしのかみ)とも呼ばれる大己貴命(おおなむち)が現れた場所として、祀っています。そのため、境内には神様が鎮座する社はなく滝そのものに礼拝をしています。

参入料を納めることで那智の滝を真正面で、間近に見られる観覧舞台から見ることが可能で、御滝本祈願所で参拝もすることができます。

その他、飲むと災いなく無事に、長生きができる延命長寿の水と伝えられている那智の滝つぼの水をいただけることも。世界遺産にも認定された日本が誇る滝の力を、ここでいただきましょう。

飛瀧神社の歴史

飛瀧神社の場所には元々、御滝の神様と熊野の神々が祀られていました。その後仁徳天皇の年(317年)に、飛瀧神社の近くにある熊野那智神社が造営され、熊野の神々が移ったと伝わっています。

今から1700年もの歴史があることを考えると、伝統がある神社だということが分かります。

飛瀧神社の基本情報

【飛瀧神社の基本情報】
住所:和歌山県東牟婁郡那智勝浦町那智山
参入料:
300円(大人)
200円(小中学生)
無料(未就学児)
駐車場:神社駐車場(30台):800円
アクセス:【最寄駅】JR紀勢本線 紀伊勝浦駅
JR[紀伊勝浦駅] → 熊野御坊南海バス乗車 → 「那智山」下車

那智の滝は日本一の落差を誇る三大名爆のひとつ

落差日本一の那智の滝

落差日本一を誇る那智の滝
那智の滝は1段目の落差としては、日本国内で1番の落差を誇る名爆です。那智の滝の上流は、二の滝・三の滝と呼ばれており、総称して那智の大滝と呼ばれることもあります。

那智の滝は栃木県の「華厳の滝」、茨城県の「袋田の滝」と並んで、日本三大名爆のひとつにも数えられています。

華厳の滝と袋田の滝を簡単に紹介しますと、華厳の滝は栃木県日光市にある滝。近くにある中禅寺湖の湖から流れる水が、97mを一気に落下していきます。日光の観光スポットして非常に有名です。

袋田の滝は、茨城県大子町にある滝。僧侶の西行法師が「この滝は四季に訪れて、見る価値がある。」と絶賛したと伝わっています。冬には滝全体が凍結する「氷瀑」を見ようと、毎年冬の季節になると注目を集めています。

【関連記事】
日本三名瀑の一つ「袋田の滝」の見どころを知りたい人はこちら↓
【袋田の滝】冬に滝全体が凍結する氷瀑

茨城県 < 北茨城

袋田の滝の氷瀑

袋田の滝の【氷瀑】は圧巻-滝が氷結する冬だけの絶景 日本三名瀑の一つ「袋田の滝」。茨城県久慈郡大子町に位置し、国の名勝にも指定されています。毎年冬に滝全体が凍結する「氷瀑」へと姿を変え、完全凍結するかどうかで注目。今回は、袋田の滝の見所と観光情報を紹介します。

絶景

【パワースポット】那智の滝で滝行をする人が多かった?

滝行

滝行

那智山は昔から自然を神聖視する信仰の中心地で、特に山や滝が重要視されています。昔の那智の地には、修験道者が滝行を行っていた滝が48あったとされており、その中でも那智の滝は1の滝を示し、滝の中でも最も重要な滝とされています。

そんな自然信仰の土地で、人々の尊敬を集めていることから、身分を問わず多くの修行者が参拝を行い、その人々の多さから「蟻の熊野詣」とも呼ばれました。

修行者には文覚上人や最澄、花山法皇などが修行したエピソードや、安倍晴明が1000日間の修行をしたという話が「古事談」にて伝わっているようです。

那智の滝には、昔から多くの人々の畏敬を集めるパワーが眠っているのかもしれませんね。

「熊野古道」とは?

熊野古道

那智山の杉の森の中を通る熊野古道

熊野本宮大社、熊野速玉大社、熊野那智大社の3社は「熊野三山」と呼ばれ、そこに通じる参詣道を「熊野古道」と呼びます。またの名を「熊野参詣道」。熊野古道は古代から神が宿る場所として山を崇めた山岳信仰の修行の場です。熊野古道を自らの足で進み、山々の自然とふれる経験を重ねる。これも修行の一端なのです。

熊野古道は次の6つの道からなります。

*紀伊路(きいじ):大阪府、和歌山市を経て和歌山県田辺市に至る。
*小辺路(こへち):高野山から南北に紀伊山地を渡り、熊野本宮大社に向かう。
*中辺路(なかへち):和歌山県田辺市から熊野本宮大社、熊野那智大社を経て熊野速玉大社に至る。
*大辺路(おおへち):和歌山県田辺市と那智勝浦町をつなぐ、海辺を通る道。
*伊勢路(いせじ):伊勢神宮から熊野速玉大社に至る。
*大峯奥駈道(おおみねおくがけみち):奈良県南部の吉野地方と熊野を結ぶ大峯山を渡る。

本記事で紹介する大門坂~那智の滝ルートは、中辺路の一部分です。「熊野古道」とはこれら6つの道すべてを含む参詣道のことですが、「観光」として言われる「熊野古道」は、特に中辺路のみを示す場合も。

那智の滝への観光コースを紹介

熊野那智大社までの道のり

JR紀伊勝浦駅から路線バスで約30分、「大門坂」バス停で降車。バス停の道を挟んだ向かい側には駐車場があり、そこにはカラスの像があしらわれた、女子サッカーなでしこジャパン記念モニュメントがあります。
乗ってきたバスの進行方向へとさらに徒歩で進むと、左手に大門坂の入口が現れます。ここからいよいよ熊野古道へ。

鳥居の奥に橋が見える

石造りの鳥居の向こうに赤い振ヶ瀬橋が見える

大門坂入口から5分ほど歩くと石の鳥居と赤い振ヶ瀬橋に出会います。この鳥居と橋が俗世と聖域との境界。橋を渡れば神々がいらっしゃる修行の場です。

振ヶ瀬橋から進んで間もなく「大門坂茶屋」があり、ここには多富気王子(たふけおうじ)のスタンプが設置されています。

多富気王子のスタンプ

大門坂茶屋のわきに多富気王子のスタンプ

ここでいう「王子」とは「Prince」のことではなく、「参詣の途中で儀式を行う場所」を指します。

熊野古道の紀伊路・中辺路には「九十九王子」と呼ばれる王子があるのですが、「九十九」とは99という数そのものではなく、それくらい「たくさんある」ということを表しています。九十九王子は、実際には99社ではなく101社です。

夫婦杉

杉の大木が寄り添う夫婦杉。撮影スポットとしても人気

大門坂茶屋を過ぎると道の右と左に杉の巨木が1本ずつ並んでいるのに出会います。これが夫婦杉です。樹齢800年の杉の木が道を挟んで門構えのように立ち、熊野古道のさらに奥へと誘っているよう。高さ55m、幹の周囲は8.5mという立派な杉が並んでいる姿は壮観です。

一の鳥居

熊野那智大社一の鳥居。まだ階段は続く

長い階段を上り終えるとその先に、朱塗りの「一の鳥居」が待っています。鳥居に着いたものの、その先に拝殿は見当たらず、さらに階段が続きます。

次に出会った二の鳥居をくぐれば、今度こそ熊野那智大社の境内です。鳥居から右手に進めば拝殿の堂々たる佇まい。那智の滝がある飛瀧神社はすぐ隣にあるので、熊野那智大社にもお立ち寄りしてみてはいかがでしょうか?

熊野那智大社拝殿

朱の色がうつくしい熊野那智大社拝殿

拝殿に向かって左側には御縣彦社(みあがたひこしゃ)。熊野の神の使いである3本足のカラス「八咫烏(やたがらす)」が祀られています。

八咫烏はものごとをよりよい方向へと導いてくれる神様ですが、ボールをよい方向へ導くとして日本サッカー協会のシンボルにもなっています。

大きなクスノキ

樹齢850年の大クス。この木の中に入れます

拝殿に向かって右側には巨大なクスノキが立っています。これが樟霊社(しょうれいしゃ)のご神木で、樹齢は熊野古道の夫婦杉よりもさらに年長の850年です。平安時代の終わり頃からこの地を見守り続けるご神木は幹の中が空洞になっていて、その中をお参りすることができます。

鳥居のわきに護摩木が備えられており、300円を納め、名を書いてご神木の中を通り抜けます。ご神木の胎内には賽銭箱があるため、ぜひこの機会にお願い事をしましょう。

巨大なおみくじ

授与所の前には一抱えもある大きなおみくじが

樟霊社すぐそばには熊野那智大社・御縣彦社・樟霊社の3社共通の授与所があり、そこでおみくじ(100円)をひくことができます。とても大きなおみくじが置いてあるので、チャレンジしてみてはいかがでしょうか。

熊野那智大社のすぐ隣、青岸渡寺と三重塔

熊野那智大社の境内には、青岸渡寺ともつながっています。

青岸渡寺本堂熊野那智大社側から青岸渡寺本堂を見る

ここからは、那智の滝がご神体として祀られている熊野那智大社別宮・飛瀧神社(ひろうじんじゃ)まで、石造りの階段が続きます。。この階段は大門坂の段のようにでこぼこしていて、足場が不安定です。途中、青岸渡寺の三重塔の前を通ります。こちらもぜひ拝観しましょう。

三重塔

青岸渡寺三重塔。本堂からは離れた場所

三重塔は高さ25m。青岸渡寺本堂とは別に、飛滝権現本地千手観音が祀られています。御朱印が受けられるほか、上階は展望所になっていて、那智の滝もここから望むことができます。

滝を祀る飛瀧神社へ

遠くに見える那智の滝

飛瀧神社の社務所前でご神体を臨む

三重塔を経てさらに下り、「那智の滝前」バス停まで降りたなら、飛瀧神社の鳥居はすぐそこです。鳥居をくぐり、さらに階段を下ると、那智の滝が正面に出現。静かな森の中に激しい水の流れが荘厳で、どうどうと鳴る流れの音が冬の冷たい空気を震わせます。まさに絶景です。

那智の滝周辺のおすすめスポット

熊野那智大社

熊野那智大社

熊野速玉大社は、熊野三山の一つで、全国に約4,000社ある熊野神社の御本社です。

主祭神は「熊野夫須美大神(くまのふすみのおおかみ)」、またの名を「伊弉冉尊(いざなみのみこと)」といい、願いをかなえる「結宮(むすびのみや)」として崇められています。

境内には、神武天皇を大和(現在の奈良県)に導いたとされる三本足の烏「八咫烏(やたがらす)」が石になった「烏石」や、樹齢約850年の大楠があります。大楠の根元には空洞があり、「胎内くぐり」を行うことで無病息災を祈ることができます。

ドルフィンリゾート

※画像はイメージです。

ドルフィンリゾートは、古式捕鯨発祥の地である「太地町」にあります。

イルカをはじめとした、アザラシ・ヤギ・ヒツジなどたくさんの動物たちと触れ合える場所です。ドルフィンリゾートの人気No.1のプログラムは、一緒にイルカたちと泳ぐことができるドルフィンスイム。

その他、餌やり体験などもありイルカたちとゼロ距離のふれあい体験が楽しめる場所です。

【ドルフィンリゾート基本情報】
住所:和歌山県東牟婁郡太地町森浦703-17
営業時間:9時〜16時
定休日:水曜日
入場料:
200円(大人)
100円(小学生以下)
公式サイト:ドルフィンリゾート

大地町立くじらの博物館

くじらの博物館

大地町立くじらの博物館

和歌山県の太地町の海では、クジラの南下と北上するルートにあたり、通年を通してクジラを見ることができると知られています。

そんなクジラの400年にも及ぶ捕鯨の歴史や、技術を後世に伝えることを目的に開館された、クジラ専門の博物館が「大地町立くじらの博物館」です。
博物本館では捕鯨のジオラマのほか、ダイナミックなクジラの骨格標本などが展示されています。捕鯨船や捕鯨道具の資料を閲覧することもできます。

中でも人気なプログラムが「クジラショー」。ゴンドウクジラの大きな体での大ジャンプや、音楽に合わせて芸を披露してくれる意外な一面をショーで見ることができます。

【大地町立くじらの博物館の基本情報】
住所:和歌山県東牟婁郡太地町太地2934-2
営業時間:8時半〜17時
入場料:
1800円(高校生以上)
900円(小中学生)
公式サイト:大地町立くじらの博物館

那智の滝で強力なパワーをもらおう

昔から、身分を問わず多くの人を惹きつける那智の滝。

それを御神体とする飛瀧神社や、伊弉冉尊を祀る熊野那智大社など、熊野の地には強力なパワーが眠っています。
緑豊かな地を自ら歩み、参拝できる熊野古道をゆったりと辿ってみてはいかがですか?

Edit:Kaoru Maki

参考:熊野那智大社那智勝浦町那智勝浦観光サイト