梅雨の時期、落ち込む気分に彩りを与えてくれる花「紫陽花(あじさい)」。雨の日だからこその魅力を発揮する紫陽花は、日本中で愛されています。
都内から日帰りでも満開の紫陽花を楽しむことができる神奈川県鎌倉市。鎌倉には、「あじさい寺」の別名で親しまれる「明月院」をはじめとする、紫陽花の名所が多く存在します。
鎌倉の紫陽花は5月下旬に開花し、6月上旬から6月下旬までに見頃を迎えます。
今回は梅雨に気分転換をしたい人におすすめの、ちょっとしたお出かけにぴったりな鎌倉の紫陽花名所12選を紹介します。
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北鎌倉の紫陽花名所
鎌倉の紫陽花名所① 明月院
明月院に咲く色鮮やかな青色の紫陽花
「アジサイ寺」の別名を持ち、多くの人々に愛されている「明月院(めいげついん)」。毎年多くの観光客が訪れる、鎌倉の中でも人気のスポットです。
明月院のはじまりは、山内首藤経俊が建てた「明月庵」。平治の乱で戦死した父、山内首藤俊通を供養するために建てたとされています。
目を奪われるような青さの「明月院ブルー」
明月院で育てられている紫陽花は、日本古来種の「ヒメアジサイ」。明月院のヒメアジサイは、その美しい青色から「明月院ブルー」という名前が付いています。
そんな明月院の紫陽花ですが、その数なんと約2500株。境内を青く染め上げる圧倒的な紫陽花の数が「アジサイ寺」と呼ばれる所以となっています。
円い形が特徴的な「悟りの窓」
また観光客からの人気スポットとなっているのは、本堂の「悟りの窓」。悟りの窓と言えば、京都・鷹峯の「源光庵」にあるものが有名ですが、鎌倉の明月院でも見ることができます。
悟りの窓の特徴はその形にこそありますが、円い形は禅の心と真理、そして宇宙までもをも表しているとされています。窓からは非公開の後庭園を覗くことができ、季節によって色味が変化する景色は必見です。
【明月院の基本情報】
住所:神奈川県鎌倉市山ノ内189
アクセス:JR北鎌倉駅から徒歩約10分
駐車場:なし
拝観時間:通常9:00~16:00、6月のみ8:30~17:00
拝観料:通常300円、6月のみ高校生以上500円・小中学生300円
公式サイト:鎌倉観光公式ガイド
鎌倉の紫陽花名所② 建長寺
建長寺山門の下に咲く紫陽花
日本最初に開かれた禅寺であり、鎌倉五山(臨済宗最大の寺格)第1位にも定められている「建長寺(けんちょうじ)」。宋から渡来してきた僧、蘭渓道隆(らんけいどうりゅう)によって1253年に開山されました。
建長寺には、青やピンクをはじめとする色彩豊かな紫陽花が咲いています。中でも人気なスポットが「半僧坊大権現参道(はんそうぼうだいごんげんさんどう)」。「半僧坊」は薪採りや食事の用意を担当していた僧を指し、「大権現」は神号の1つを指します。
参道では紫陽花と狛犬が参拝客をお出迎え
【建長寺の基本情報】
住所:神奈川県鎌倉市山ノ内8
アクセス:JR北鎌倉駅から徒歩約15分
駐車場:あり
拝観時間:8:30~16:30
拝観料:高校生以上500円、小中学生200円
公式サイト:建長寺
鎌倉の紫陽花名所③ 亀ヶ谷坂切通し
亀ヶ谷坂の沿道に咲くピンク色の紫陽花
建長寺を訪れた際に立ち寄りたいのが、「亀ヶ谷坂切通し(かめがやつざかきりどおし)」。建長寺門前の山ノ内と扇ヶ谷(おうぎがやつ)を通る坂道です。
「切通し」とは、山を切り開いて、鎌倉とその外側を人間や馬が通れるようにしてできた道のこと。他にも鎌倉には6つの有名な切通しがあり、亀ヶ谷坂切通しと合わせて「鎌倉七口」と呼ばれています。
亀が「返った」とされる坂
亀ヶ谷坂の別名は「亀返坂(かめかえりざか)」。「建長寺から来た亀が上ろうとしたところ、急な坂で引き返した、ひっくり返った」という言い伝えから呼ばれています。
建長寺から見た亀ヶ谷坂は上り坂。坂を上るのは一苦労かもしれませんが、きれいな紫色の紫陽花が坂の頂上で出迎えてくれます。「疲れないで紫陽花を見たい」という方は、長寿寺側(坂道の頂上)から下ってみるのはいかがでしょうか。
【亀ヶ谷坂切通しの基本情報】
住所:鎌倉市山内〜扇ヶ谷3丁目
アクセス:JR北鎌倉駅から徒歩約10分
駐車場:なし
公式サイト:鎌倉観光公式ガイド
鎌倉の紫陽花名所④ 浄智寺
浄智寺山門の下に咲く紫陽花
建長寺と同じく、鎌倉五山の一つとして数えられている「浄智寺(じょうちじ)」。鎌倉幕府第5代執権北条時頼の三男、北条宗政を弔うために建立されました。
花の名所と言われ、春のタチヒガン(彼岸桜)、秋の紅葉などが人気の草花。訪れる人々にいつも違う表情を見せてくれます。その中でも梅雨の名花となっているのが、今回のテーマでもある紫陽花。梅雨にしか味わえない紫陽花を、他の花と共に味わうことができます。
「不老不死の効能がある水が湧く」とされる「甘露の井」
浄智寺の中でぜひ訪れるべきスポットは、「甘露の井」。鎌倉時代、鎌倉の水は美味しくないとされていた中、この甘露の井は、鎌倉十井(鎌倉における美味しい水が出た10個の井戸)に数えられていました。
甘露の井から汲める水は、名前の通りとても甘く、不老不死の効能があるとされていますが、現在は飲むことができないため注意が必要です。
【浄智寺の基本情報】
住所:神奈川県鎌倉市山ノ内1402
アクセス:JR北鎌倉駅から徒歩約8分
駐車場:あり
拝観時間:9:00~16:30
拝観料:大人200円、小人100円
公式サイト:浄智寺
鎌倉駅周辺の紫陽花名所
鎌倉の紫陽花名所⑤ 安国論寺
安国論寺に咲く青い紫陽花
日蓮が「立正安国論」を執筆した聖地として知られる、「安国論寺(あんこくろんじ)」。紫陽花がとてもきれいな、開運、厄除けのご利益があるお寺です。
八重桜の一種、「市原虎の尾」
安国論寺で有名なのが、御小庵の横に生えている一本の桜。「妙法桜(みょうほうざくら)」と呼ばれ、日蓮が土に突き刺した杖が根付いてできた桜とされています。
気になる品種は、「市原虎の尾」というヤマザクラの一種。八重桜でもあり、鎌倉市の天然記念物にも指定されている、貴重な一本です。
【安国論寺の基本情報】
住所:神奈川県鎌倉市大町4-4-18
アクセス:JR鎌倉駅から徒歩約15分
駐車場:なし
拝観時間:9:00~16:30
拝観料:100円
公式サイト:安国論寺
鎌倉の紫陽花名所⑥ 妙本寺
妙本寺山門下に咲く紫陽花
日蓮宗の本山でもある「妙本寺(みょうほんじ)」。比企(ひき)一族の霊を弔うためにつくられたお堂が元となり、1260年に今の妙本寺が建立されました。
境内全体で紫陽花が育てられていますが、開花時期は少々遅く、見頃は7月中旬。他の場所の見頃が過ぎてしまった時こそ、妙本寺ではきれいな紫陽花を目にできるのです。
妙本寺の「二天門」と紫陽花
参道をまっすぐ行くとたどり着く「二天門」は、妙本寺でも有数の人気スポット。その名前の由来は、二天門の対に置かれている「持国天(じこくてん)」と「毘沙門天(びしゃもんてん)」に共通する、2つの「天」の字にあります。
持国天は、仏教の守護神の1つであり、仏教や仏法を悪から守る存在。同じく仏教の守護神の1つである多聞天(毘沙門天)は、仏教を信じる人にご利益をもたらす存在とされています。
【妙本寺の基本情報】
住所:神奈川県鎌倉市大町4-4-18
アクセス:JR鎌倉駅から徒歩約15分
駐車場:なし
拝観時間:9:00~16:30
拝観料:100円
公式サイト:妙本寺
長谷の紫陽花名所
鎌倉の紫陽花名所⑦ 長谷寺
長谷寺に咲く美しい紫陽花
数ある鎌倉の寺院の中でも、明月院と肩を並べるほどの人気を持つ「長谷寺(はせでら)」。長谷寺の本尊、「十一面観世音菩薩(じゅういちめんかんぜおんぼさつ)」が、2021年に造立1300年を迎えたことで話題になっています。
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水辺に浮かぶカラフルな紫陽花と鯉
長谷寺で必見なのは、鯉が泳いでいる池に浮かんでいる紫陽花。色とりどりの紫陽花がまとめて浮かんでいる様子はとてものどかで、思わず時間を忘れてしまいます。
長谷寺は別名「花の寺」。鎌倉における花の名所の一つで、公式サイトの「花散歩」というコンテンツでは、境内で咲いている花の情報が更新されています。紫陽花の見頃に合わせて参拝することができるため、ぜひチェックしておきましょう。
【長谷寺の基本情報】
住所:神奈川県鎌倉市長谷3-11-2
アクセス:江ノ島電鉄長谷駅から徒歩約5分
駐車場:あり
拝観時間:8:00~17:00(3~9月)、8:00~16:30(10~2月)
拝観料:大人400円、小学生200円
公式サイト:長谷寺
鎌倉の紫陽花名所⑨ 御霊神社
<img src="https://s3-ap-northeast-1.amazonaws.com/thegate/2022/05/19/17/02/34/goryoujinjya ajisai.jpg" alt=""御霊神社の鳥居と紫色の紫陽花" />
御霊神社の鳥居と紫色の紫陽花
「日本遺産」の1つにも認定されている、「御霊神社(ごりょうじんじゃ)」。七福神の1つであり、子宝、金運、長寿のご利益がある「福禄寿(ふくろくじゅ)」を祀っているため、有数のパワースポットとしてもその名を轟かせています。
紫陽花に囲まれる江ノ電
紫陽花が有名なスポットは御霊神社の鳥居前。鳥居前を横切る江ノ島電鉄と、線路沿いに咲き乱れる紫陽花を画角に収めようと、梅雨の時期には多くの観光客が訪れます。
境内で人気の「紫陽花小園(あじさいしょうえん)」は、その名の通り紫陽花の名所。本殿の背後にある、静かなスポットで紫陽花を見ることができます。
【御霊神社の基本情報】
住所:神奈川県鎌倉市坂ノ下4-9
アクセス:江ノ島電鉄長谷駅から徒歩約5分
駐車場:なし
拝観時間:8:00~17:00
拝観料:大人100円、小中高生50円
公式サイト:鎌倉公式観光ガイド
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鎌倉の紫陽花名所⑧ 光則寺
光則寺本堂脇に咲く紫陽花
日蓮が『立正安国論』を幕府に提出した場所として知られる「光則寺(こうそくじ)」。通称花の寺と呼ばれる長谷寺を訪れた際に立ち寄りたい、隠れた紫陽花の名所です。
光則寺に咲くピンク色のカイドウ
春に鮮やかなピンク色の花を咲かせる「カイドウ」にも負けず劣らない美しさを持っている紫陽花。約200種類600株以上もの紫陽花が咲き誇る光則寺は、数々の観光客に評価され続けてきました。
【光則寺の基本情報】
住所:神奈川県鎌倉市長谷3-9-7
アクセス:江ノ島電鉄長谷駅から徒歩約6分
駐車場:なし
拝観時間:8:00~17:00
拝観料:大人100円、小・中学生無料
公式サイト:鎌倉公式観光ガイド
鎌倉の紫陽花名所⑩ 鎌倉海浜公園(稲村ガ崎地区)
鎌倉海浜公園(稲村ガ崎地区)に咲く紫陽花
晴れた日には、鎌倉市南部の相模湾に面する「鎌倉海浜公園」。由比ヶ浜の海岸沿いにある「由比ガ浜地区」、かながわ景勝50選にも選ばれている「稲村ガ崎地区」、海岸線を目の前にできる「坂ノ下地区」の3地区から構成されており、稲村ガ崎地区の紫陽花が有名となっています。
もっともオススメなのは、展望台近くに咲いている紫陽花。展望台に至るまでの石段の側面にも紫陽花が咲いていたり、青い海をバックに紫陽花を眺めることができたりと、潮風に誘われるがまま紫陽花を堪能することができます。
【鎌倉海浜公園(稲村ガ崎地区)の基本情報】
住所:神奈川県鎌倉市稲村ガ崎1
アクセス:江ノ島電鉄稲村ガ崎駅から徒歩約5分
駐車場:あり
公式サイト:鎌倉海浜公園(稲村ガ崎地区)
二階堂・金沢街道の紫陽花名所
鎌倉の紫陽花名所⑪ 浄妙寺
浄妙寺の本堂と紫陽花
鎌倉五山第5位として、古くからの歴史を体現している「浄妙寺」。所在している辺りの地名が同じ読み方の「浄明寺」となるほど、影響力が大きいお寺です。
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石窯ガーデンテラスと純白のアナベル
浄妙寺でも特筆すべき紫陽花は、真っ白な紫陽花「アナベル」。境内に建造された古い洋館を利用したレストラン、「石窯ガーデンテラス」の前で見ることが出来ます。そのシルクのような白さを持つアナベルは、多くの観光客の目を釘付けにしてきました。
石窯ガーデンテラスの庭園は、スコットランド人のガーデナーが手がけたもの。日本とイギリスの感性がミックスされた庭園に囲まれながら、アフタヌーンティーやスイーツなどを楽しむことができます。
【浄妙寺の基本情報】
住所:神奈川県鎌倉市浄明寺3-8-31
アクセス:JR鎌倉駅東口より4番線バスに乗車、「浄明寺」バス停下車後、徒歩約2分
駐車場:あり
拝観時間:9:00~16:30
拝観料:大人100円、小中高生50円
公式サイト:鎌倉公式観光ガイド
鎌倉の紫陽花名所⑫ 一条恵観山荘
一条恵観山荘に咲く紫陽花
江戸初期の皇族、一条恵観(いちじょうえかん)の別邸として建造された、「一条恵観山荘」。元は京都の西賀茂にありましたが、昭和34年に鎌倉へ移築、昭和39年には国の重要文化財に指定されました。
<img src="https://s3-ap-northeast-1.amazonaws.com/thegate/2022/05/19/17/17/09/itijyouekansansou hanathouzu.jpg" alt=""色彩豊かな一条恵観山荘の花手水" />
色彩豊かな一条恵観山荘の花手水
一条恵観山荘へ訪れた際に注目すべきなのが「花手水(はなちょうず)」。手水鉢に色とりどりの花を浮かべて飾った作品を指します。
季節によって飾られる花は変化しますが、梅雨の時期に飾られるのは紫陽花。さまざまな花手水を鑑賞して楽しんだり、写真に収めて友だちと共有したりと、さまざまな楽しみ方を持てるのが花手水の特徴です。
【一条恵観山荘の基本情報】
住所:神奈川県鎌倉市浄明寺5-1-10
アクセス:JR鎌倉駅東口より4番線バスに乗車、「浄明寺」バス停下車後、徒歩約2分
駐車場:なし
拝観時間:10:00~16:00
入園料:500円
公式サイト:一条恵観山荘
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数々の紫陽花を感じることのできる鎌倉
今回は、鎌倉の紫陽花名所12選を紹介しました。梅雨の時期だからこそ楽しむことができる紫陽花。色彩豊かな紫陽花の花は、人々の心に彩りを与え続けてきました。
古くからの歴史を五感で感じることのできる鎌倉では、紫陽花巡りも楽しむことができます。場所によっては開花時期が異なるスポットもあるため、ぜひ開花状況をチェックしてからお出かけしましょう。