1. 国民の祝日「憲法記念日」はどんな日?【意味・いつから?】
「憲法記念日」の意味
憲法記念日のスタートは1948(昭和23)年
2. ほかの国民の祝日との関係
憲法にちなんだ祝日「文化の日」
「建国記念の日」は日本の誕生を記念して作られた祝日
3. 日本国憲法はどんなもの?なぜ国民主権?
明治時代の憲法では、日本の中心は「天皇」だった
第二次世界大戦が、憲法を作り直す大きなきっかけに
日本国憲法の三原則、覚えてる?
国民の意思を反映させるための選挙や投票
4. 憲法記念日はどう過ごす?
イベントに参加したり国会議事堂などを見学する
本を読む
映画を観る
世界の憲法を読んでみる
おわりに

ゴールデンウィークは「昭和の日」「憲法記念日」「みどりの日」「こどもの日」といった祝日が続きます。

お出かけなど楽しい予定を組むのも素敵ですが、時には祝日の意味や由来に触れてみるのはいかがでしょうか。

特に「憲法記念日」は、私たちの生活に深く関わるもの。いつから、どのような流れで祝日になったのか、ぜひ知っておきましょう。

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年間16回ある日本の祝日

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1. 国民の祝日「憲法記念日」はどんな日?【意味・いつから?】

まずは「憲法記念日」の意味を紹介します。いつ、どのように決められた祝日なのかを知ると、意味もわかってくると思いますよ。

「憲法記念日」の意味

「憲法記念日」である5月3日は、日本国憲法が本格的に使われ始めた日(=施行日)です。

祝日に制定された背景には、戦争と復興、新憲法の制定といった出来事があり、憲法記念日には「国がますますよくなるように」という願いが込められています。

「日本国憲法」の前文には、日本を含む全世界の平和と自由のために、日本をよりよい国にしていこう、というようなことが書かれています。その日本国憲法が使われ始めた日を記念する「憲法記念日」には、日本国憲法が掲げる理想をいま一度確認して、それに対して「今の日本はどうかな?」と考える意味があると言えるかもしれません。

憲法記念日のスタートは1948(昭和23)年

日本国憲法が使われ始めたのは1947(昭和22)年。その後法律の整備がされ、翌年の1948(昭和23)年に「国民の祝日に関する法律(祝日法)」という法律が成立しました。ここで、「元日」「成人の日」などとともに「憲法記念日」という祝日が誕生しました。

憲法が新しくなると発表された1946(昭和21)年11月3日や、1947(昭和22)年5月3日前後に生まれた子どもには、憲法の「憲」の字を使った名前が多かったといわれています。新しい憲法に対する希望の表われだったのでしょう。

日本国憲法と国民の祝日制定の年表

日本国憲法公布〜5月3日が憲法記念日として扱われ始めるまで

2. ほかの国民の祝日との関係

日本の祝日には、[憲法記念日と似た性格の祝日]、[憲法記念日と混同されがちですが全く意味が異なる祝日]とがあります。それぞれ紹介しましょう。

憲法にちなんだ祝日「文化の日」

11月3日は「文化の日」。1946(昭和21)年に、日本国憲法が国民に発表された日です。憲法では「平和」と「文化」が大切にされているため「文化の日」という祝日が生まれました。

「文化の日」には「文化勲章」を授与する式典が行われます。文化勲章とは、文化・芸術・科学技術といった分野で素晴らしい功績をあげた人におくられるもの。勲章は、日本で平安時代から大切にされている花・タチバナをモチーフにしています。

文化の日イメージ

憲法記念日が日本国憲法の〝施行日〟なのに対して、文化の日は日本国憲法の〝公布日〟

「建国記念の日」は日本の誕生を記念して作られた祝日

2月11日の「建国記念の日」は、「憲法記念日」と混同されがちですが、意味は異なります。「建国記念の日」は日本の初代天皇・神武天皇が即位したといわれる日です。歴史書によれば、神武天皇は神の子孫であり、即位したのは紀元前660年ごろとされています。

それほど昔から語り継がれているのは、国づくりにおいて神武天皇が理想とされていたから。この日は神社で祭りが行われたり、日本の歴史にまつわるイベントが行われたりします。

建国記念の日イメージ

建国記念の日=初代天皇・神武天皇の即位を記念する日

3. 日本国憲法はどんなもの?なぜ国民主権?

「日本国憲法」とは、日本のあらゆる「法」のトップであり、国家権力を制限するためにあります。法律や条例を作るときは、日本国憲法を守らなければなりません。つまり、日本国憲法は「国家権力者が守るべきもの」なのです。このような性格を持つようになった背景には、戦争へと突き進んだ過去の苦い経験があります。

憲法とは何のために、どのようにして決められたのでしょうか。日本国憲法の前にはどのような憲法が使われていたのか、どのようにして現在の憲法になったのかを解説します。

国家と憲法

憲法は国家のあり方を決めるもの

明治時代の憲法では、日本の中心は「天皇」だった

日本国憲法の前に使われていた憲法は、明治時代に発布された「大日本帝国憲法」です。政治について決める権利は天皇にある、とされていて、国民の権利も天皇から与えられるものでした。そのため、政治の重要な部分に国民が関わることができず、憲法によって国民の行動が制限されることもありました。

第日本帝国憲法にはまた、国民の意思を反映させようという考えも盛り込まれています。国民の意思を政治に反映させるため、国民の代表が集まる議会も作られました。しかしながら、天皇の名を使って議会を無視する権力者もいたため、独裁的な法律も生まれてしまいました。

第二次世界大戦が、憲法を作り直す大きなきっかけに

第二次世界大戦が終わると、日本は民主化に向けて大きく変わっていきました。以前の憲法では、国民の声が政治に反映されませんでした。その結果、大きな戦争を誰も止めることができず、一部の権力者の判断だけで間違った道へと進んでしまったのです。

戦争では多くの国民が命を落とし、大きな被害を受けました。つらい体験をしたことで、国を動かすうえで国民の声が重要視されるようになったのです。その柱として考えられたのが「日本国憲法」でした。

日本国憲法の三原則、覚えてる?

日本国憲法には、大切な3つの原則があります。「国民主権」「基本的人権の尊重」「平和主義」です。

日本国憲法の三原則

日本国憲法の三原則

「国民主権」は、政治について最終的に決める権利は「国民」がもつ、という原則です。大日本帝国憲法で政治について決める権利をもっていた「天皇」は、国と国民の「象徴」という位置に置かれました。国民の代表は選挙によって決められます。

「基本的人権の尊重」は、すべて人が生まれながらにもっている権利で、人間らしく生きることが保証されます。例えば、自分の考えを自由に発言する、自分の好きな相手と自由に結婚する、教育を受ける、といった権利です。現代では当たり前のことだと感じるかもしれませんが、かつての憲法では制限を受けることもありました。

「平和主義」は、日本はもちろん、世界の平和を守るために戦力はもたず、戦争もしないという原則です。第二次世界大戦において日本は、他国に攻撃をしかけた国のひとつでした。その反省から、憲法の前文で「再び戦争の惨禍が起ることのないやうにする(※)」と決意しています。国と国との間で問題が起こった際は、武力による解決ではなく、話し合いで平和的に解決していきます。

※出典:日本国憲法|e-Govポータル

国民の意思を反映させるための選挙や投票

選挙や国民投票は「国民主権」の原則にもどつき、国民の意思を政治に反映させるための方法です。選挙や投票の結果は、国民の意思の表われとして尊重されます。

国民投票を行うものとしては、最高裁判所の裁判官の国民審査などが挙げられます。また、憲法を改正するためにも国民投票を行わなければなりません。憲法改正には、衆議院議員の2/3以上の賛成、参議院議員の2/3以上の賛成、国民投票での過半数の賛成が必要です。

4. 憲法記念日はどう過ごす?

憲法記念日には、次のような過ごし方をしてみてはいかがでしょうか。

・イベントに参加したり国会議事堂などを見学する
・本を読んだり、映画を観たりする
・世界の憲法を読んでみる

それぞれ具体的な内容を紹介します。

イベントに参加したり国会議事堂などを見学する

憲法記念日には、日本国憲法にまつわるイベントが行われています。市民団体や憲法研究機関など、主催者もさまざま。興味のあるテーマを探して参加してみるのはとても有意義なことでしょう。

また、憲法にちなんだ場所として国会議事堂の見学もおすすめです。普段あまり縁のない場所だからこそ、祝日を利用して足を運んでみるのもいいかもしれません。国会議事堂は、衆議院なら祝日の見学も受け付けています(参議院の見学は平日のみ受付)。

東京都 < 六本木・赤坂

国会議事堂

【国会議事堂】は無料で見学できる!日本政治の舞台を見に行こう 日本における政治の中心、「国会議事堂」。長い間日本の政治を支えてきた舞台です。国会議事堂ではなんと無料で見学できるツアーを開催。今回は、国会議事堂の歴史や知られざる秘密など、見学ツアーならではの見どころや参加方法を紹介します。

その他伝統・日本文化

本を読む

憲法や民主主義、基本的人権について、本を読んで知識を深めましょう。難しそうだと感じるかもしれませんが、小学生向けの簡単なものや、イラスト入りの分かりやすいものなど、さまざまな本が出版されています。『戦争のつくりかた』(りぼん・ぷろじぇくと著/マガジンハウス)など、わかりやすい言葉で書かれた本を選べば、難しいと感じていた内容も理解しやすくなるでしょう。

ほかにも『1945年のクリスマス:日本国憲法に男女平等を書いた女性の自伝』(ベアテ・シロタ ゴードン著/柏書房)など、日本国憲法に深く関わった方について書かれた本を読むと、違った視点から理解を深めることができるでしょう。『民主主義とは何か』(宇野 重規著/講談社現代新書)など、知りたい内容について詳しく解説している本を選ぶのもおすすめです。

また、本記事末尾の参考欄に記載している書籍は、日本国憲法の基礎を学ぶのにおすすめです。

映画を観る

映画では『映画 日本国憲法』(2005年/監督=ジャン・ユンカーマン/配給=シグロ)がおすすめです。日本国憲法が制定されるまでの流れや、平和憲法の意義について、国内外の知識人にインタビューを行っています。憲法や平和について考えるよいきっかけになるでしょう。

世界の憲法を読んでみる

世界にはさまざまな憲法があります。しかし、他国の憲法に触れる機会はほとんどないのではないでしょうか。日本国憲法について調べるとともに、世界にどのような憲法があるのか調べてみるのもおもしろいですよ。その国のたどった歴史の流れや、独特な文化を知るきっかけにもなります。

例えば、比較的新しく作られた憲法は似ているものが多いといわれています。日本と同じく第二次世界大戦で敗戦国となったドイツやイタリア、戦後にできた韓国や台湾などの憲法です。一方で、アメリカ・フランス・イギリスの憲法は言葉遣いが古かったり、大切な項目が後から追加されていたりと、複雑な作りになっています。

おわりに

日々の生活のなかで、日本国憲法について考える機会はないかもしれません。だからこそ、憲法記念日を一つのきっかけとして、憲法について学んでみてはいかがでしょう。

現代と戦前の生活を比べると、新しい憲法がどのような変化をもたらしたのかよく分かります。短い時間でも、ぜひ憲法に触れる時間を作ってみてくださいね。

Text:Akiko Kobayashi Edit:Erika Nagumo
画像(特記ないもの):PIXTA/編集部

参考:
木村草太 監修『マンガでわかる!小学生のくらしと日本国憲法』(主婦と生活社)
池上彰 監修『知らないではすまされない 日本国憲法について池上彰先生に聞いてみた』(Gakken)

国会参観(衆議院)の手続き|衆議院
見学・傍聴案内|裁判所
日本国憲法|e-Govポータル
日本国憲法の誕生|国立国会図書館
(参考情報)祝日法制定の経緯|内閣府
各「国民の祝日」について|内閣府
ほか