浜離宮恩賜庭園の歴史
浜離宮恩賜庭園の見どころは?
浜離宮恩賜庭園のシンボル「潮入の池」
風情溢れる「お伝い橋」と「中島の御茶屋」
将軍たちの憩いの場「松の御茶屋」と「燕の御茶屋」
都内最大級の「三百年の松」
2つの鴨場を持つ浜離宮恩賜庭園
浜離宮恩賜庭園で見られるお花とその見頃
ナノハナやコスモスが咲く「お花畑」
庭園を鮮やかに彩る「ボタン園」
春は梅やサトザクラが満開に
秋は約260本の紅葉が楽しめる
浜離宮恩賜庭園のイベント
浜離宮から水上バスに乗って東京観光をしよう!
浜離宮恩賜庭園の料金や所要時間は?
浜離宮恩賜庭園へのアクセス
まとめ

隅田川と東京湾の沿岸に位置する「浜離宮恩賜庭園」。都内で唯一、潮入の池を残す大名庭園として国の名勝及び史跡、国の特別名勝及び史跡に指定されています。

この両方に指定されているのは、都内では小石川後楽園と浜離宮恩賜庭園のみ。全国でも9カ所しかありません。江戸時代には徳川将軍家の屋敷や鷹狩場、明治維新後は皇室の離宮として使用されてきました。

浜離宮恩賜庭園内は自然豊かでのどかな空気が流れており、都会のオアシスとして愛されています。そんな浜離宮恩賜庭園の魅力を徹底紹介します。

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庭園

浜離宮恩賜庭園の歴史

【江戸時代】かつて鷹狩場として使用された浜離宮恩賜庭園

寛永の年の間(1624〜1644年)、徳川将軍家の鷹狩場だった浜離宮恩賜庭園。今では美しい庭園が広がっていますが、当時は一面芦原の状態でした。初代将軍の家康や3代将軍の家光は大の鷹狩り好きとして知られており、何度もこの土地を訪れたといいます。

約20年間、鷹狩場として使用された後、初めてこの土地に屋敷を建てたのが家光の三男であり甲府宰相の徳川綱重(松平綱重)。将軍よりこの土地を拝領した綱重は海を埋め立て、別邸を建築しました。この別邸は「甲府浜屋敷」と呼ばれ、浜離宮のルーツとされています。

その後、綱重の長男・家宣が6代将軍になったことを機に将軍家の別邸となり、「浜御殿」と改名されました。この際、家宣は屋敷の大改造を行い茶室や庭園も整備。歴代将軍によって改造が重ねられ、11代将軍の家斉の時代にほぼ現在の形になったと言われています。

【明治時代以降】度重なる災害を乗り越える

明治維新後は皇室の所有地となり、その名称も「浜離宮」に変更。その後、浜離宮恩賜庭園は関東大震災や第二次世界大戦により深刻な被害を受け、御茶屋などの歴史ある建築物や貴重な樹木などが全て焼失してしまうことに。焼け野原となった浜離宮でしたが、1945年東京都に下賜され約半年の整備後、1946年4月一般に公開されました。

【昭和から現在】日本の文化遺産として人々に愛される庭園へ

浜離宮恩賜庭園はその美しさと歴史的な重要性により、国の文化財保護法に基づき、昭和23年(1948年)12月に国の名勝および史跡に指定され、その後、昭和27年(1952年)11月には周囲の水面を含め、国の特別名勝および特別史跡に指定されました。これにより、浜離宮恩賜庭園は日本の貴重な文化遺産として保存・保護され、多くの人々がその美しさを楽しむことができる場所として続いています。

浜離宮恩賜庭園の見どころは?

浜離宮恩賜庭園のシンボル「潮入の池」

浜離宮恩賜庭園の潮入の池

浜離宮恩賜庭園・潮入の池

浜離宮恩賜庭園の象徴的な存在「潮入の池」。東京湾の海水を引き入れ、水位の干満に従って水門を開閉し、池の水の出入りを調整しています。潮の干満によって池の趣を変えるのが特徴的。以前は、すぐ近くの旧芝離宮恩賜庭園や清澄庭園などにも潮入の池は存在しましたが、現在は都内で浜離宮恩賜庭園のみとなっています。

時間によって異なる表情を見せる潮入の池は、古くから親しまれてきました。時代とともに失われてしまった池が数多くありますが、今もなお維持し続けている浜離宮恩賜庭園。ここでしか味わうことのできない古き良き情景をぜひ堪能してください。

風情溢れる「お伝い橋」と「中島の御茶屋」

中島の御茶屋

浜離宮恩賜庭園・中島の御茶屋

潮入の池に浮かぶ「中島」(川や池に浮かぶ島のこと)。この中島には「御茶屋」があり、500〜700円でお抹茶と和菓子を提供しています。和の雰囲気が感じられる畳席や庭園を一望できるテーブル席は、風情も完璧。かつては房総を望め、夕涼みや月見に使われたようです。

初めて御茶屋が建設されたのは、6代将軍の家宣が大改修を行った1707年。火災や戦災で幾度か消失し、現在の御茶屋は1983年に再建されたものです。御茶屋内には和傘などの伝統工芸品や小さなお庭があり、来園者を楽しませています。

浜離宮恩賜庭園・お伝い橋

浜離宮恩賜庭園・お伝い橋

そして中島と岸を繋ぐのが、全長118mの「お伝い橋」。このお伝い橋も御茶屋と同じく、家宣が大改修を行った際に建設されました。現在の橋は高知県の総檜造りになっており、中島の御茶屋とともに美しい景観を作り出しています。中島には合計3つの橋が架かっていますが、最も長く途中に小島があるのがお伝い橋です。

将軍たちの憩いの場「松の御茶屋」と「燕の御茶屋」

松の御茶屋

浜離宮恩賜庭園・松の御茶屋

浜離宮恩賜庭園には御茶屋の他に「松の御茶屋」と「燕の御茶屋」が存在します。歴代将軍が生け花の鑑賞、食事や和歌を楽しむ接客の場として使用した場所です。どちらの御茶屋も江戸時代に建てられましたが1944年の戦災で焼失してしまい、前者は2010年、後者は2015年に再建されました。

燕の御茶屋

浜離宮恩賜庭園・燕の御茶屋

残念ながら燕の御茶屋は外部のみの公開となっていますが、松の御茶屋は木曜の13時〜15時の間、1グループ20分程度の入れ替わり制で内部見学が可能です。各回先着25人のグループに分かれ、ボランティアガイド付き。新しい建物ですが、中島の御茶屋とはまた違った趣を感じられます。

都内最大級の「三百年の松」

浜離宮恩賜庭園・三百年の松

浜離宮恩賜庭園・三百年の松
緑豊かな浜離宮恩賜庭園でひときわ存在感を放っているのが、大手門のすぐ近くにある「三百年の松」。家宣が庭園の大改修を行った際その偉業を称して植えられたもので、その名の通りすでに樹齢300年を誇っています。

その雄々しい姿から何本かの木が集まっているように見えますが、実は一本の黒松のみで構成されており、都内最大級の松として知られています。横から見ると一本の幹から二股に分かれていることが確認できるので、是非様々な角度からご覧になってください。下にせせり出すように生えた黒松の迫力は圧巻です。

2つの鴨場を持つ浜離宮恩賜庭園

浜離宮恩賜庭園・鴨場

浜離宮恩賜庭園・鴨場

浜離宮恩賜庭園の大きな特徴が、2つの鴨場を持つこと。「庚申堂鴨場(こうしんどうかもば)」と「新銭座鴨場(しんせんざかもば)」はどちらも1700年代後半に作られた、歴史ある施設です。現存する鴨場は全国で5つしかなく、都内で見学できるのは浜離宮恩賜庭園のみとなっています。

そもそも鴨場とは、鴨の狩りを行う場所。当時は秋の終わりから春先にかけてが、鴨狩りのシーズンでした。11代将軍・家斉の時代に最盛期を迎え、幕末から明治にかけて荒廃。1944年までは整備され、使用されていました。

鴨狩りの方法は、訓練されたアヒルと餌を使うことで鴨をおびき寄せ、叉手網(さであみ)を使って無傷で捕獲。また、網を逃れて巣に戻った鴨が仲間に危険な地であることを知らせないよう、逃げようとする鴨は鷹を使って捕らえていました。鴨が安心して生息できるよう土手に常緑樹が植えられている様子や当時使われていた道具、小屋を見ることができます。

鴨場の近くには、狩猟で獲物となった鴨を供養するため、1935年11月に鴨塚が建てられました。

浜離宮恩賜庭園で見られるお花とその見頃

豊富な種類のお花を観察できる浜離宮恩賜庭園。季節によって変わる風景をご紹介しながら、お花の見頃についても詳しく解説していきます。

ナノハナやコスモスが咲く「お花畑」

浜離宮恩賜庭園・菜の花

浜離宮恩賜庭園・菜の花

堂々たる三百年の松のすぐそばにある「お花畑」。広大なお花畑には、春になるとナノハナ、秋になるとコスモスやキバナコスモスが咲き誇ります。

庭園を鮮やかに彩る「ボタン園」

浜離宮恩賜庭園に咲く牡丹

浜離宮恩賜庭園に咲く牡丹

お花畑の近くには「ボタン園」も。見頃はコスモスより少し遅く、4月中旬〜下旬ごろです。

春は梅やサトザクラが満開に

時期を合わせればナノハナと梅の花が見られる

時期を合わせればナノハナと梅の花が見られる

潮入の池の横堀周辺に咲くのはサトザクラ。ベンチに座って一息つきながら、お花見を楽しむことができます。ソメイヨシノよりも開花時期は遅く、例年4月中旬〜下旬ごろのためお花見シーズンがひと段落した後でも見られるのが嬉しいポイントです。

また早春〜春にかけて色づく梅の花もおすすめ。運が良ければ、ナノハナと梅の花を同時に見ることができるかもしれません。

秋は約260本の紅葉が楽しめる

11月中旬〜12月上旬が見頃の紅葉

11月中旬〜12月上旬が見頃の紅葉

肌寒い季節になってくると、ケヤキ・サクラ・ウメ・イチョウ・トウカエデ・イロハモミジ・ハゼノキなど約260本の紅葉が、庭園のあらゆる場所で堪能できます。見頃は11月中旬〜12月上旬。紅葉と趣深い庭園、そして高層ビルとのコラボレーションは浜離宮庭園でしか見られない特別な景色です。

浜離宮恩賜庭園のイベント

1月『正月開園』

毎年1月2日,3日には都立八庭園全体の催しである「正月開園」が開催されます。放鷹術の実演、羽子板やコマ回しといったお正月らしい遊び体験が目玉となっており、中島の御茶屋の営業や庭園ガイドといった通常の営業も行われます。その年によってイベントや演目が異なるので、詳細はHPを確認してみてください。

浜離宮から水上バスに乗って東京観光をしよう!

船から浜離宮恩賜庭園を眺められる「水上バス」

船から浜離宮恩賜庭園を眺められる「水上バス」

浜離宮恩賜庭園に訪れたらおすすめしたいのが「水上バス」。浜離宮からは、日の出桟橋・浅草・お台場海浜公園行きに乗車することができます。

水上バスの魅力は、なんといっても船から浜離宮恩賜庭園を眺められること。庭園内を歩くだけでも自然に囲まれ穏やかな時間を過ごすことができますが、水上バスから見る庭園の雄大さもまた格別。水上のバスの詳細はTOKYO CRUISE公式サイトをご確認ください。

浜離宮恩賜庭園の料金や所要時間は?

浜離宮恩賜庭園の入園料は一般 300円 / 65歳以上 150円です。小学生以下及び都内在住・在学の中学生は無料(小学生以下は保護者の付き添いが必要)。

また浜離宮恩賜庭園の所要時間は1時間〜1時間半程度。ゆっくり回っても、そこまで時間をかけずに過ごすことができます。

浜離宮恩賜庭園その他の基本情報

住所:東京都中央区浜離宮庭園
営業時間:9:00〜17:00(入園は16:30まで)
休園日:12月29日〜翌年1月1日
無料公開日:みどりの日(5月4日)・都民の日(10月1日)
公式サイト:公園へ行こう!

浜離宮恩賜庭園へのアクセス

最寄駅:JR / 東京メトロ / 都営地下鉄新橋駅

新宿駅からのアクセス

【新宿駅】- JR山手線 / 渋谷方面
→【新橋駅】烏森出口 → 徒歩(約10分)

東京駅からのアクセス

【東京駅】- JR山手線 / 品川方面
→【新橋駅】烏森出口 → 徒歩(約10分)

成田空港からのアクセス

【成田空港駅】- 京成成田スカイアクセス線 / 羽田空港方面
→【新橋駅】A1出口 → 徒歩(約10分)

羽田空港駅からのアクセス

【羽田空港駅】- 京急線 / 品川方面
→【新橋駅】A1出口 → 徒歩(約10分)

海沿いの庭園は浜離宮だけ!

都内にはいくつかの公園や庭園がありますが、海沿いに位置し、かつ潮入の公園が現存するのはここ浜離宮恩賜庭園だけ。江戸を代表する美しい大名庭園は、趣深く心に残る風景を写し出します。

また、春の桜やナノハナ、秋のコスモス、紅葉と季節の表情を見せてくれるのも魅力の一つです。浜離宮恩賜庭園で都会の喧騒を忘れ、優雅な一時を過ごしてみてはいかがでしょうか。