お初天神の縁結びに関する歴史
お初天神のご利益
お初天神の様々な見どころ
お初天神の授与品
お初天神の四季折々の行事
アクセス
まとめ

「良縁に恵まれたい」「気になるあの人と一緒になりたい」

これらはたくさんの人が神社でお願いすること。日本各地にはたくさんの縁結びに由来した神社があります。

大阪駅から徒歩5分程で着く、多くの居酒屋が立ち並ぶお初天神通り商店街に位置する神社、通称「お初天神」。正式名称は露天神社(つゆのてんじんじゃ)。縁結びのご利益にあずかることができ、都心に立地する神社として地元で人気です。しかし、創立当初、実は縁結びとは関係のない神社でした。ですがその後愛し合う2人の男女により、縁結びの聖地に。

お初天神にお参りすれば、都会にいながらも縁結びを成就できること間違いなし。今回はお初天神が縁結びの神社となった由縁や見どころをお伝えします。

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神社・寺

お初天神の縁結びに関する歴史

お初天神の創建

創建当時は小さな島にあったお初天神

創建当時は小さな島にあったお初天神
お初天神の創建年代は正確に判明していないものの、およそ6世紀ごろ。当時、大阪湾に浮かぶ小島の一つであった現在の地に「住吉須牟地曽根ノ神(すみよしすむちそねのかみ)」を祀り、御鎮座されたと伝えられています。また奈良時代の天皇即位儀礼の一つ、難波八十島祭(なにわやそしままつり)に関する旧跡です。

曽根崎心中の舞台として

お初天神の存在を一躍有名にしたのは、江戸時代に近松門左衛門が発表した人形浄瑠璃「曽根崎心中(そねざきしんじゅう)」。
お初天神が曽根崎心中ゆかりの地であることを示す石碑

お初天神が曽根崎心中ゆかりの地であることを示す石碑
当時、大坂に居住していた醤油屋に勤める「徳兵衛」と遊女の「お初」は互いに愛し合う仲でした。しかし、醤油屋の主人は徳兵衛を別の女性と結婚させようとして、徳兵衛の継母に勝手に結納金を渡してしまいます。

徳兵衛は主人に結納金を返して縁談を破棄するため、結納金を継母の元に取り戻しに。無事結納金を取り戻すも、帰りに偶然出会った親友の九平次に金を貸すよう頼まれ、徳兵衛は結納金を3日限りで貸してしまいます。

徳兵衛は金を返すよう頼むも、九平次は返済を拒否。それどころか、九平次は徳兵衛が店の金を盗んだという嘘を流し、町の人々は嘘を信じてしまいました。
お初と徳兵衛はお初天神の森で心中を遂げる

お初と徳兵衛はお初天神の森で心中を遂げる
そんな中、徳兵衛とお初は奇跡的に再会。遊女という身分から徳兵衛とは結婚できないことを悟ったお初は天国で夫婦になろうと徳兵衛に一緒に心中することを投げかけます。

商人としての信用を失い身も心もボロボロの状態で、自分のために命を断とうとするお初の心に動かされ、徳兵衛はお初との心中を決心。お初天神の中に当時存在した「天神の森」で心中を果たしました。

お初と徳兵衛のブロンズ像

お初と徳兵衛のブロンズ像

このあらすじはフィクションではなくお初天神で元禄16年(1703年)に実際に起きた心中事件。近松門左衛門は事件か1ヶ月あまりで、この事件を題材とした浄瑠璃作品を発表し、この神社は注目を集めました。

そして、ヒロインであるお初の名前から、露天神社は通称「お初天神」と当時から現在に至るまで呼ばれるようになりました。境内にはお初と徳兵衛のブロンズ像が設置されています。

お初天神のご利益

縁結びの聖地となっているお初天神

縁結びの聖地となっているお初天神
お初天神のご利益はやはり縁結び。しかし、創立当初は地域を守る神が祀られた神社でした。

その後お初と徳兵衛という愛する男女が悲劇的ながらも愛を誓い合った場所であることから、次第に縁結びの神社に。お初と徳兵衛の二人の強い愛が残る場所として、人々は次第に縁結びのパワースポットと認識するようになりました。

現在では、デートに来たカップルなど多くの参拝客が恋愛成就を願ってお初天神を訪れています。

お初天神の様々な見どころ

本殿

お初天神の本殿

お初天神の本殿
お初天神に来たらまず参拝すべき厳かな雰囲気が漂う本殿。太平洋戦争で焼失したものの、昭和32年9月20日に再建されました。本殿の前の石柱には太平洋戦争中の空襲で被弾した銃弾の跡が今でも残っています。

参拝する時の作法は他の神社と同じく、「二礼、二拍手、一礼」。縁結びの成就をしっかりとお祈りしましょう。

恋人の聖地

恋人の聖地の記念碑

恋人の聖地の記念碑
お初天神の中に設置されているのが「恋人の聖地」と書かれた記念碑。実は、官公庁支援の下、少子化対策と地域活性化を目指しているNPO法人地域活性化支援センターが、プロポーズにふさわしいロマンティックな場所としてお初天神を正式に認定しています。

記念碑の隣にあるのはハート形のおみくじを結ぶフレーム。さらに、恋愛成就の効果がありそうな、お初と徳兵衛がデザインされた絵馬も近くにたくさん掛けられています。他にもお初天神に多数設置されている縁結びにあやかったオブジェ。ピンク色の絵馬やオブジェが多数並んでいる様子はとても色鮮やかな光景です。

難転石

難転石

難転石
お初と徳兵衛のブロンズ像の側にあるのが「難転石」。丸く大きなツルツルの石が水の力で回転しています。この石を回すことで難が転じることから難天石と呼ばれています。

難転石を転がし、難を取り払うことで、福を呼び込むべし。

お初天神の授与品

御朱印

お初天神の御朱印は写真右手の社務所で頂ける

お初天神の御朱印は写真右手の社務所で頂ける
近年、コレクターも増加している神社の御朱印。お初天神には境内末社がいくつもあることから4種類の御朱印を頂けます。いずれの御朱印も初穂料は500円となっており、社務所で手に入れられます。

お初天神の御朱印

お初天神の御朱印

お初天神の御朱印(写真提供 Instagram: 【551ga_arutoki様】
お初天神の御朱印に描かれているのは徳兵衛に寄り添うお初の姿。縁結びの神社といわれるだけあって、御朱印にも愛し合う男女の姿が見られます。

金刀比羅宮の御朱印

お初天神の境内末社、金刀比羅宮の御朱印

お初天神の境内末社、金刀比羅宮の御朱印(写真提供 Instagram: 【551ga_arutoki様】
お初天神の境内末社である金刀比羅宮(ことひらぐう)。元々、丸亀藩と高松藩の大坂蔵屋敷に鎮座していたことから、御朱印の右上には「丸亀藩・高松藩 旧大坂蔵屋敷御鎮座」と書かれ、真ん中に「露天神社」の印が押されています。金刀比羅宮という名にちなんで、金色の台紙の上に書かれた豪華な御朱印となっています。

水天宮の御朱印

水天宮の御朱印

水天宮の御朱印(写真提供 Instagram: 【551ga_arutoki様】
青海波紋が一面に描かれてる水天宮の御朱印の台紙。水天宮という名に相応わしいものになっています。元々、久留米藩の大坂蔵屋敷に鎮座していた水天宮。御朱印の右上には「九州 久留米藩 旧大坂蔵屋敷御鎮座」と書かれています。

また御朱印の右下に描かれている「福犬」のマスコットは、安産祈願や子どもの守り神となっています。

玉津稲荷神社の御朱印

玉津稲荷神社の御朱印

玉津稲荷神社の御朱印(写真提供 Instagram: 【551ga_arutoki様】
玉津稲荷神社の御朱印の背景になっているのは、神社を鳥居の外から眺めた姿。平らな用紙に書かれながらも奥行き感のある御朱印となっています。玉津稲荷神社の別名は開運稲荷神社というだけあって、御朱印が書かれているのは金ピカの台紙。非常に華やかで、持っているだけで縁起の良さが伝わってくる御朱印です。

お初天神の御朱印帳と栞

お初天神で頂ける御朱印帳はブルーとピンクの2種類。いずれもお初と徳兵衛が寄り添う姿が描かれています。お値段は1700円で、御朱印帳の1ページ目にはお守りがついている珍しい作りに。
御朱印と共に頂けるお初天神でしか手に入らない栞

御朱印と共に頂けるお初天神でしか手に入らない栞(写真提供 Instagram: 【goshuinmeguri1515様】
またお初天神で御朱印と同時に頂けるのがお初天神らしい絵が描かれた栞(しおり)。お初と徳兵衛の姿絵と「お初・徳兵衛 恋の手本と なりにけり」という句が書かれたお初天神ならではの栞となっています。

お守り

お初天神で頂けるお守り

お初天神で頂けるお守り
御朱印以外に神社に参拝したら買って帰る人も多いお守り。お初天神では縁結びを願ったお守りが多く置かれています。縁結びというだけあって、ペアとなっているお守りが多く、カップルの参拝客にぜひおすすめです。

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神社・寺

恋みくじ

神社に参拝した時の定番はやはりおみくじ。お初天神では通常のおみくじはもちろん、二つの特徴的なおみくじがあります。
恋みくじに浸す水

恋みくじに浸す水
一つ目は水に浮かべて運勢を知る恋みくじ。境内に柄杓で水をかける場所があり、恋みくじに水をかけることで、願い事や縁起の良い場所、ラッキーカラーを知ることができます。
ハイテクな獅子舞みくじ

ハイテクな獅子舞みくじ
二つ目は獅子舞が引いてくれる、一転ハイテクな舞獅子みくじ。お金を投入すれば、獅子舞ロボットがおみくじを引いてくれる、現代風でちょっとユニークなおみくじを楽しめます。

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お寺や神社に置かれているおみくじ

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神社・寺

お初天神の四季折々の行事

いつ参拝しても見どころの多いお初天神ですが、季節ごとに独特の行事が開かれます。

初詣

お初天神の初詣の様子

お初天神の初詣の様子
1年のうちで、神社に人々が参拝しにやってくる時期といえば、初詣。大阪駅から近いこともあり、狭い神社ながら初詣の時期にはたくさんの参拝客が訪れ、参拝のための長い行列が後を絶ちません。またお正月にはお神酒が無料で振る舞われます。

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初詣

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その他伝統・日本文化

節分祭

豆が撒かれるお初天神の神社参集殿

豆が撒かれるお初天神の神社参集殿
毎年2月3日に開かれるのが節分祭。追儺式(ついなしき)が神社参集殿にて開催され、地元有力者による豆まきが行われます。有力者だけでなく、年男・年女であれば一般参拝客も有料で参加可能。

参拝客にはお神酒、ぜんざい、うどんが振る舞われ、お火焚き神事(護摩焚き)に参加できます。地元の人達みんなで邪気を追い払います。

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節分で使われる鬼のお面と炒り豆

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その他伝統・日本文化

曽根崎心中お初・徳兵衛慰霊祭

慰霊祭で2人の心中を偲ぶ

慰霊祭で2人の心中を偲ぶ
毎年4月7日に開催される、お初天神で心中したお初と徳兵衛の慰霊祭。2人の心中を地域の人たちで偲ぶ会です。慰霊祭が終わるとお神酒や御茶菓子、抹茶が振る舞われます。

蚤の市

蚤の市が開かれるお初天神の広場

蚤の市が開かれるお初天神の広場
毎月第一金曜日に開かれるのが30~40程の店舗が出店する古物市である蚤の市(のみのいち)。現代の言葉でいうフリーマーケットで、駄玩具から洋服骨董まで幅広い品揃えを誇り、質の高いアンティークな品物を手に入れられます。

オフィス街にあることから昼間はサラリーマンやOLで賑わい、都会にいながらレトロな買い物の雰囲気を楽しめます。

例大祭

例大祭(夏祭)は毎年7月の第三金・土曜日に開催され、お初天神や周辺が1年で一番盛り上がるといっても過言ではない行事。お初天神だけでなく、お初天神が位置する梅田の街全体で盛り上げるお祭りです。

金曜日の18時頃から例大祭の1日目である宵宮(よいみや)が開始。地車囃子(だんじりばやし)と龍踊りが披露され、さらには舞獅子や傘踊りが入り、役太鼓も叩かれ始めます。お初天神は段々と熱狂の渦に巻き起こまれます。
役太鼓らが巡行するお初天神通り

役太鼓らが巡行するお初天神通り
土曜日の午前10時頃から始まるのは例大祭の2日目である本宮。神事が行われたのち、御祓いを受けた役太鼓がお初天神を発ち、8時間かけて周辺の街を巡行します。

巡行するのは阪神百貨店前、大阪駅前、ハービス大阪などの大阪の繁華街の中心部。舞獅子や地車囃子達は遅れてお初天神を出ます。道路だけでなく、駅ビルや大阪駅の地下街の中も練り歩き、大阪駅周辺の各地で華麗な舞を披露します。

巡行が終わり、役太鼓、舞獅子、傘踊りが宮入りして、夜に迎えるのは祭りの終盤。「おたやんこけても鼻打たん」の囃子歌(ばやしうた)で人々が踊り、お祭りは最高潮を迎えます。2日間の締めに相応わしいパワフルかつ勇壮な踊りを見せてくれます。

お初天神の基本情報

住所:〒530-0057 大阪府大阪市北区曽根崎2丁目5番4号
アクセス:
①JR 大阪駅 南口・御堂筋口
②Osaka Metro 谷町線 東梅田駅
③Osaka Metro 御堂筋線 梅田駅
④Osaka Metro 四ツ橋線 西梅田駅
⑤阪神・阪急電車 大阪梅田駅
⑥JR 東西線 北新地駅 

駅から徒歩5~10分程

拝観時間:6:00~24:00(社務所 9:00~18:00)
拝観料:無料
駐車場:近隣にコインパーキングあり
TEL:06-6311-0895
公式サイト:露 天神社(通称:お初天神)

お初と徳兵衛の愛情が残る縁結びの神社

今回は大阪市の縁結びの神社として知られるお初天神の歴史や見どころをご紹介しました。縁結びの聖地として日々多くの参拝客が訪れるお初天神。お初と徳兵衛の死後から300年以上経った今なお、お初天神には二人の愛情の痕跡が色濃く残っています。

お初と徳兵衛の悲劇的なストーリーを知って参拝してみると、よりお初天神のもつパワーの強さが伝わるはず。悲劇的ながらも永遠の愛を誓い合った場所でみなさんも良縁を祈願してみてはいかがでしょうか。