萩市に残る史跡の上手な巡り方
山口県萩市で幕末の史跡を巡ろう
12:00 松陰神社・松下村塾
12:40 玉木文之進旧宅
12:50 伊藤博文旧宅・別邸
14:00 萩・明倫学舎
15:00 木戸孝允旧宅
15:30 高杉晋作誕生地
帰りもバスでのんびりと
まとめ

山口県萩市は、幕末から明治にかけて多くの偉人たちが暮らした地のひとつ。現在も当時の面影を残す城下町や数多の偉人達の史跡が残り、時代劇の舞台やテレビ番組のロケ地として使用されるだけでなく、幕末ファンたちの観光地として国内外から人気を集めています。

今回は、レンタサイクルを使用した山口県萩市の日帰り観光ルートをご紹介。幕末の偉人の史跡にスポットを当て、彼らが過ごした時代に思いを馳せてみてはいかがでしょうか。

萩市に残る史跡の上手な巡り方

山口県は、交通の便がいいとは言い難い土地で、新幹線が発着する駅から萩市内へ足を伸ばすのも一苦労。まずは、萩市への行き方やおすすめの史跡巡りの方法を紹介します。

新山口駅からは直通バスで

萩市直通バス

萩市内へ向かうなら直通バス「スーパーはぎ号」がおすすめ

県外から萩市へ向かう際には、一度山口県の拠点駅のひとつである「新山口駅」を経由することになります。

そこで非常に便利なのが萩行きの直通バス「スーパーはぎ号」。列車を使って行くと2時間以上かかってしまいますが、直通バスを使えば新山口から萩市内まで、約1時間で移動可能です。

新山口駅発は9時40分〜18時25分、東萩駅発は8時10分〜18時の間をおよそ1時間おきに運行しています。運賃は乗車場所にかかわらず片道1,550円。お手頃価格でのんびりと旅をすることができます。

【問い合わせ】
・防長交通株式会社 萩営業所 TEL:0838-22-3811
・中国ジェイアールバス株式会社 TEL:0570-010-666

レンタサイクルでのびのび観光

バス停すぐのレンタサイクル

バス停から徒歩すぐに位置するレンタサイクル

新山口から約60分。高速バスを終点「東萩駅前」で降ります。バスを降りてすぐ、右手に見える「スマイル貸自転車」の看板。史跡は萩市内にいくつも点在しているため、徒歩で巡るよりも自転車で巡った方がベター。城下町など道幅がさほど広くない場所も多いことから、車での観光もあまりおすすめできません。

自転車は一時間あたり200円、5時間以上の利用は一律1,000円でレンタルできます。自転車を借りる際には、レンタサイクルのスタッフが地図を見ながら丁寧にルートを解説してくれます。初めての観光でも安心です。

【問い合わせ】
・スマイル貸自転車 TEL:0838-22-2914

史跡巡りには欠かせない「萩市文化財施設1日券」

旅に出る前に、もうひとつ準備しておきたいものがあります。それは、萩市が提供している「萩市文化財施設1日券」。1枚310円で購入できるこの1日券を持っていれば、萩市内にある有料文化財のうち、9つが自由に入場できるように。各文化財で購入できるため、有料文化財をたくさん回る予定の人は忘れずに手に入れておきましょう。

萩市文化財施設1日券

萩市文化財施設1日券

該当の史跡は下記の通りです。

<史跡一覧>
【城下町地区】
木戸孝允旧宅 / 青木周弼旧宅 / 旧久保田家住宅
【堀内地区】
口羽家住宅 / 旧厚狭毛利家萩屋敷長屋 
【川島地区】 
旧湯川家屋敷 / 桂太郎旧宅
【旧松本村地区】
伊藤博文別邸
【平安古地区】
旧田中別邸      

【問い合わせ】
・萩市観光課 TEL:0838-25-3139

山口県萩市で幕末の史跡を巡ろう

日本の歴史に残る大きな出来事のひとつ、明治維新。265年続いた江戸幕府に終止符が打たれ、日本は「明治」という新しい元号のもと、政府が政権を握ることとなります。

新しい時代の幕開けとなったこの明治維新に関わる多くの偉人が、山口県萩市から誕生しているのです。今回訪れるのは、初代内閣総理大臣となった伊藤博文や、攘夷志士のひとりである高杉晋作、「維新の三傑」のひとりに数えられる木戸孝允など、日本人なら誰もが知っている偉人たちゆかりの地。

のんびりとレンタサイクルにまたがり、史跡巡りの旅をしていきましょう。

12:00 吉田松陰を祀る「松陰神社」へ

松陰神社

数々の偉人を生み出した教育者、吉田松陰を祀る「松陰神社」

最初に足を運ぶのは、吉田矩方命(吉田松陰)を御祭神とする「松陰神社」。東萩駅から自転車で10分ほどで到着します。

吉田松陰は、日本で最も有名な幕末の思想家といえるでしょう。叔父である玉木文之進より厳しい教育を受け、幼少期から学問に勤しみ、11歳で藩校「明倫館」で講義を行うほどに。彼は偉大な教育者としても知られており、自宅での幽囚時に開いた私塾「松下村塾」は、幕末から明治にかけて活躍した偉人を数多く輩出しています。

本堂の北側には旧社殿があり、現在は松門神社として松下村塾の門下生たちが祀られています。

松下村塾

わずか1年余りの間、吉田松陰が教鞭を振るった「松下村塾」

境内にはかつて松陰が開いた松下村塾が当時の姿で残されています。伊藤博文や久坂玄瑞など、幕末から明治にかけて活躍した多くの偉人たちがここで学び、その知を深め合いました。身分や階級にとらわれず、学ぶ意欲がある者は構わず受け入れたことでも知られています。ここで学んだ偉人たちの肖像画も飾られています。

松下村塾内観

8畳というこじんまりとした講義室

講義室には松陰の肖像画や石膏像が置かれています。

松陰神社の絵馬

本堂横には絵馬がかけられている

本堂横には、たくさんの絵馬がかかっています。思想家、そして教育者として幕末の日本に大きな影響を与えた吉田松陰。その知才にあやかろうと、合格祈願や就職祈願に訪れる人は後を絶たないとか。

松陰神社からしばらく坂を登ると吉田松陰の誕生地があります。その近くには松陰の銅像や、偉人たちの墓所も。

松陰の銅像

松陰誕生の地に立つ銅像

萩市の三角州を形成する川の上端近くに位置する田床山からは、萩の街を一望できます。城下町は阿武川下流の萩三角州の上に形成されており、その町並みは現在も当時の面影を残したまま。萩市の城下町では現在でも、江戸時代に作られた地図を使うことができるといいます。

12:40 松下村塾発祥の地「玉木文之進旧宅」に立ち寄る

玉木文之進旧宅

松下村塾の創立者・玉木文之進の旧宅

田床山の丘陵部にある吉田松陰誕生地から自転車を走らせ斜面を下っていくと、いくつかの史跡に立ち寄ることができます。次に訪ねたのは、玉木文之進旧宅。ここには、吉田松陰の叔父にあたる玉木文之進が暮らしていました。

学識に優れていた文之進は、松陰にも厳しい教育を施していました。その指導のあまりの厳しさは、松陰の母が「死んだほうが楽だろう」とまで言ったほどだとか。吉田松陰の名の下で有名となった松下村塾も、もともとは文之進の始めた私塾でした。

12:50 初代内閣総理大臣が暮らした「伊藤博文旧宅・別邸」

玉木文之進の旧宅から少し坂を下ると、伊藤博文旧宅が見えてきます。この日は、旧宅の補修のため、屋根が雨除けシートで覆われていました。

伊藤博文旧宅

茅葺き屋根の旧宅(写真は別日のもの)

松下村塾の門下生でもあった伊藤博文は、初代内閣総理大臣として、明治期の日本を近代的な国家へと作り上げていきました。4度の内閣組閣を経て、日露戦争後は初代韓国総監に就任。その後、1909年に、枢密院議長として満州を訪問する際、安重根によって暗殺されその一生を終えます。

69歳でこの世を去るまで、長期に渡って日本を支えてきた博文でしたが、彼もまた、松下村塾の門下生でした。

伊藤博文別邸

瓦屋根の「伊藤博文別邸」

旧宅のすぐ隣に立つのが「伊藤博文別邸」。

1907年、現在の東京都品川区にあたる東京府下荏原郡大井村に建てられましたが、2001年にこの場所に移築されました。明治時代の宮大工、伊藤万作により建築された別邸は、内部にも意匠に優れたデザインが多く見られ、歴史だけでなく建築的にも価値を持ちます。

14:00 萩観光の拠点「萩・明倫学舎」で教育の歴史を感じる

田床山周辺の史跡を巡った後は、松本川を渡って川沿いをサイクリング。道中で桂太郎旧宅、山縣有朋誕生地などの史跡にも出会えます。

その足取りで萩市の中心部へ向かうと、大きな木造の建物が見えてきました。ここは、若き吉田松陰が講義を行なった藩校「明倫館」の跡地に建てられた「萩・明倫学舎(旧明倫小学校)」。市民館や市役所、商店街などが並ぶ萩市の中心部、その中でもとりわけ大きな交差点に面しています。

明倫学舎

歴史を残しながら観光スポットとして生まれ変わった「萩・明倫学舎」

この木造2階建ての校舎は、1935年に明倫小学校として明倫館の跡地に建てられました。1996年には、国登録有形文化財にも指定されています。敷地内には、校舎の他に水練池や有備館(剣・槍道場)などがあり、維新に関わる要人たちを数多く輩出してきた萩の教育の歴史に触れることができます。

2017年3月、木造校舎群を全面改修し「萩・明倫学舎」として再出発。学舎内には資料館やレストランなど、新たな萩市の観光スポットとして充実の設備が整っています。史跡巡りのひとつとして、休憩も兼ねて足を伸ばしてみては。

15:00 「木戸孝允旧宅」と当時の面影を残す城下町へ

城下町エリア

木造家屋が立ち並ぶ城下町エリアへ

萩市の中心部を抜け訪れたのは、中・下級の武士たちが暮らしていたといわれるエリア。明倫学舎から10分ほどで到着します。ここから西側のエリアは、現在も当時の町並みが残る城下町です。生垣や歴史を感じる古い木造の家屋などが立ち並び、まるで時代劇の世界にタイムスリップしたかのような景色を楽しめます。

木戸孝允旧宅

実際に家屋内に足を踏み入れることができる

城下町エリアで最初に訪れるのは、「維新の三傑」のひとりとして知られる木戸孝允の旧宅。「桂小五郎」の名でも知られています。幼少期から才覚を発揮し、身分の低い家柄ながらも人並み以上の努力とその才能で地道に出世していった人物です。

この旧宅は、彼が20年の間暮らしてきた木造瓦葺の2階建ての家で、国指定史跡にもなっています。

15:30 萩の英雄の生家「高杉晋作誕生地」

高杉晋作生誕地

攘夷志士・高杉晋作が誕生した地

木戸孝允旧宅のすぐそばに立つのが「高杉晋作誕生地」。

高杉晋作は、明倫館に通いながら松下村塾でも学ぶ学習熱心な若者でした。1862年に清国(現在の中国)へ視察に行った際、かつて強国であった清が欧米列強の国々から支配されている様子に危機感を覚え、日本初の軍事組織となる「奇兵隊」を結成。幕末に尊王攘夷志士として活躍し、倒幕軍を勝利に導くなど大きな働きを見せますが、27歳という若さで病に倒れました。

この周辺には、誕生地の他「高杉晋作立志像」など彼にまつわる史跡がいくつか見られます。

高杉晋作の初湯の井戸

高杉晋作の初湯の井戸

すぐそばには「萩博物館」もあり、館内の「高杉晋作資料館」では彼についての様々な資料が、数多く展示されています。高杉晋作の生涯や萩の歴史についてより深く知りたいという人は、ぜひ立ち寄ってみください。

帰りもバスでのんびりと

さて、旅の終点は東萩駅。余裕があるなら、道中の「熊谷美術館」や「岩倉獄」などに立ち寄ってみてもいいでしょう。レンタサイクルを返却してバスを待ち、帰りは新山口駅までまた1時間ほどのんびりバスに揺られます。

半日かけて巡った8カ所の文化財たち。実際に足を運んで偉人のゆかりの地を巡ることで、彼らの人生や思想をより深く知ることができました。

数々の史跡に触れながら日本の歴史を知ろう

明治維新の偉人たちが多く暮らした萩市にはたくさんの史跡があります。もちろん、今回紹介した史跡のほかにも美しい海やおいしい名物など、萩市を満喫できる観光名所やグルメもさまざま。いずれも萩の三角州の狭い範囲に密集しているので、自転車で史跡以外の観光スポットに足を運んでみてはいかがでしょうか。

山口県萩市へ観光に行く際には、ぜひ参考にしてみてくださいね。