東京の下町情緒が残るエリアのひとつ、谷中に位置する「谷中銀座商店街」。総菜屋や土産屋など、古くから地域住民や観光客に愛されてきた店舗が立ち並ぶ商店街ですが、店舗数が多く、初めて訪れる人はどのお店に入ろうか迷ってしまうもの。
今回は、サクッと谷中を観光する上で外せない、谷中銀座商店街の中で特におすすめしたい5つの店舗を紹介。時間がない!という人でもたっぷり谷中銀座商店街を満喫できる趣向の異なる5店舗をピックアップしました。
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谷中銀座商店街とは
日暮里駅から徒歩約5分、下町情緒が残る谷中エリアに広がるのが、今回ご紹介する「谷中銀座商店街」です。
昭和20年ごろに誕生したという谷中銀座商店街は、実は自然的に生まれたもの。地域住民の生活を豊かにするために自然に小さな商店が集まったスポットだったのです。今では全長約170mのなかに約60もの多彩な業種の店舗が並ぶ商店街となり、毎日多くの観光客が訪れている人気観光地となっています。
夕やけだんだんから見る谷中銀座商店街の全景
同じく人気スポットである「夕やけだんだん」は、日暮里駅方面から谷中銀座商店街方面へ歩みを進めていくと現れる石段のこと。視界がひらけた名所で、そこから賑わう谷中銀座商店街の姿を眺められます。
ネコが似合う商店街
谷中エリアは「ネコの街」としても有名
谷中銀座商店街を歩いていると、そこかしこにネコの姿を見ることができます。谷中エリアは「猫の街」とも呼ばれ、悠々と街を闊歩するネコの姿を見つけることもしばしば。
谷中銀座商店街はネコの姿をした「せんちゃん」という名の公式のキャラクターがいるほか、谷中銀座商店街にはネコの置物があったり、店舗の看板やのれんにネコが描かれていたり。運がよければ本物のネコにも出会えるかもしれません。
谷中銀座商店街に据えられたネコの像はフォトスポットとしても人気
ちなみに、公式キャラクターの「せんちゃん」という名前は、谷中に伝わる江戸三大美人「笠森お仙」の名前からつけられたのだとか。かつて茶屋で看板娘として働いていたお仙はその美しさから大変な人気で、彼女の姿を見るために多くの人がお店に訪れたそう。
彼女の人気にあやかって名付けられたせんちゃんが描かれたスタンプカードも谷中銀座商店街内で配布しているため、ぜひ併せてチェックしてみてはいかがでしょうか。
「銀座」の意味とは?
谷中銀座商店街をはじめ、日本全国には「銀座」と名のつく商店街がたくさんあることをご存知ですか?その数は、なんと全国で300以上にものぼります。
「銀座」と言えば華やかな街である東京の銀座をイメージしますが、そもそもこの地名は江戸時代の銀貨の鋳造所があったことから名付けられたもの。東京の銀座も、かつては銀貨の鋳造所だったのだそう。
ですが、「銀座」とつく商店街は、銀の鋳造所があった場所でもなければ、銀座という地名でもありません。なぜその名を冠しているのでしょうか?
谷中銀座商店街も「〇〇銀座商店街」のひとつ
そして、〇〇銀座商店街という名前は、東京にある「戸越銀座商店街」が始まりとされています。誕生は東京大震災がきっかけ。大きな被害を受けた東京は復興のため各地で再建が行われ、戸越商店街の建て直しに使われたのが東京・銀座のガレキだったのだとか。
これにより「戸越銀座商店街」と名付けられたのですが、戸越銀座商店街は震災後の復興が早かったことや、日本を代表する大きな商店街へと成長していったことで、その発展・繁栄の縁起にあやかろうと全国各地で「銀座」の名を冠した商店街が誕生していったとされています。
1時間で谷中銀座商店街を満喫するおすすめルート
谷中銀座商店街の約60もの店舗からおすすめを厳選
それでは、さっそく谷中銀座商店街を歩いてみましょう。
今回は「観光に時間を割けない」「短い時間でグルメもショッピングも楽しみたい!」という人のために、谷中銀座商店街を1時間でさくっと回れるおすすめの5店舗をご紹介。飲食店から土産屋、工芸品を扱う店舗まで多彩にピックアップしました。
谷中銀座商店街にあるどの店舗もお店の人の優しさに触れ、下町商店街の魅力が感じられること間違いなしの名店です。
13:00 竹工芸 翠屋
職人が手がけた竹工芸品が並ぶ谷中銀座商店街「竹工芸 翠屋」
最初に訪れたのは、日暮里駅から歩いて約6分、谷中銀座商店街のゲートをくぐったすぐ右手に見えるお店「竹工芸 翠屋」。明治41年創業という老舗で、竹工芸の技術を湯島で習得したという先代がこの地で創作をスタートさせたのが始まり。
花かごをはじめ、箸、コースター、しおり、アクセサリーなど、竹を中心に木材を使って作り上げた多彩な品々を揃えています。竹の特徴は、軽さとしなやかさ。薄い竹ひごで編まれた花かごは丈夫で、なめらかな手触りも魅力的です。
ちょっとしたお土産にぴったりな竹しおり。谷中銀座商店街限定柄も
竹製の箸はとにかく軽くて丈夫なのが魅力
同店には、新しい竹を使った作品だけでなく、長年雪深い山里の地で生活が営まれていた茅葺き屋根を持つ民家からとれる、「煤竹(すすだけ)」という竹を使った作品も並んでいます。
昔の住まいとされる茅葺き屋根の民家は、家の中で囲炉裏や釜を焚いていたことから、その煙が天井に上がり天井の木材に煤として付着していました。これにより害虫の侵入を防ぐ効果もあったのです。
煤が付着し長年の時を経た煤竹は、通常の竹からは見られない深みのある色合いが印象的。それでいて竹本来のしなやかさや軽さはそのままに、花かごなどとして生まれ変わっています。
2019年の干支にちなんで竹で作った、愛らしい亥の置物(1匹 550円)
お土産にもぴったりな竹製品の数々に出会いに訪れてみては。谷中銀座商店街をモチーフにしたオリジナルのしおりや、竹で作った谷中七福神の置物など、ここでしか手に入らない作品にも出会えます。
【基本情報】
営業時間: 11:00~18:00
定休日:月曜
TEL:03-3828-7522
13:15 ちょんまげいも たまる
職人による竹工芸の魅力を存分に満喫したら、次に足を運ぶのは谷中銀座商店街でおいしいスイーツが味わえる「ちょんまげいも たまる」へ。
オリジナルスイーツが楽しめる谷中銀座商店街「ちょんまげいも たまる」
オーナーが秋田県出身であることから、店舗の外には秋田県の伝統文化「能代凧」の代表である「べらぼう凧」が飾られていました。魔除けの意味が込められているという舌を出した男女の凧は、インパクト抜群。ほか、秋田県名物「いぶりがっこ」も店内で販売しているなど、郷土愛を感じられます。
カラフルな凧は、秋田県の伝統文化「能代凧」
同店の看板メニューは、スイートポテトにゴマをたっぷりまぶしてカラリと揚げた「ちょんまげいも」。周りのゴマはカリっと、中のサツマイモはホクホク。砂糖はほとんど使わずにサツマイモ本来の甘さのみで仕上げているため、まったくくどくありません。ペロリと完食してしまいました。
「ちょんまげいも(黒ゴマ)」(1本 300円)
ちょんまげいもの他、夏にぴったりなかき氷やソフトクリーム、あんみつといった甘味も用意しており、店内で座ってゆったりと食べるのもおすすめ。ちょんまげいもは店内で座って食べる場合、コーヒーなどドリンクとのセット注文のみとなるためご注意を。
ちょんまげいも たまるで購入した絶品スイーツを片手に谷中銀座商店街巡りを楽しめる
【基本情報】
営業時間: 11:00~19:00
定休日:月曜(祝日の場合は翌日)
TEL:03-5814-3460
13:25 肉のすずき
ほんのりとした甘さのちょんまげいもを食べきったら、そろそろ塩っ気のあるものが食べたくなる頃。次は、「ちょんまげいも たまる」から徒歩1分弱の場所に立つ「肉のすずき」に立ち寄ってみましょう。
数多くのメディアで紹介されてきた谷中銀座商店街の名店「肉のすずき」
肉を使った手作り惣菜を販売している同店の名物は、肉汁があふれ出す「元気いっぱい! 元気メンチカツ(1個 230円)」。
1日3回交換するという揚げ油でサクッと揚げたメンチカツは、胃もたれすることなく食べられる逸品。牛肉100%で仕上げたたっぷりの具を細かなパン粉で薄くコーディングし、肉のうま味と甘みを存分に味わうことができます。
こだわりの揚げ油はラードだけでなく、ヘッド(牛脂)も使うことでより肉の甘みを引き出しているのだとか。一つ食べたら病みつきになること間違いなしのメンチカツです。
ほどよい塩っ気と肉の甘みが絶妙にマッチ。肉汁あふれるアツアツのメンチカツ
【基本情報】
営業時間: 10:30~18:00
定休日:月曜(火曜、不定休の連休あり)
TEL:03-3821-4526
13:30 金吉園
谷中銀座商店街食べ歩きで小腹を満たしたら、お茶や全国の陶磁器を扱っている「金吉園」に訪れてみましょう。創業50年以上を誇る同店は、静岡県で採れた茶葉を使ったお茶を販売しています。
赤い和傘と看板が和の雰囲気を感じさせる谷中銀座商店街「金吉園」外観
店前のカゴには湯のみや茶碗などの和食器が
店頭のカゴに積まれた和食器に惹かれ、和の情緒漂う店内へと足を進めていくと、茶葉のほか多彩な器やカトラリー、民芸品などが並んでいます。同店では、お茶をおいしくいただくために欠かせない茶器をはじめ、全国各地の陶磁器たちも販売。石川県の九谷焼や、岐阜県の美濃焼など陶磁器を製作する窯元と提携し取り寄せた、本物の工芸品たちに出会えます。
工芸品や民芸品がずらりと並ぶ店内
もちろん風鈴や扇子といった夏らしい季節ものアイテムも並び、自宅用だけでなく贈り物としても最適。谷中をイメージさせるネコの置物や箸置きなどオリジナル商品も展開しており、いずれも作家による手作りです。
美しい陶磁器や民芸品たちは、眺めていると時間を忘れてしまうほど。同店ではお茶の試飲をしながらゆっくりと茶葉を選んだり、茶器や陶磁器のお気に入りを探したりできます。
好みのお茶や和食器に出会える
【基本情報】
営業時間: 10:00~19:00
定休日:水曜
TEL:03-3823-0015
13:45 YUZURIHA
谷中銀座商店街巡りの最後を締めくくるのは「YUZURIHA」
谷中銀座商店街をのんびりと進んでいった最後に見えるお店が「YUZURIHA」です。
谷中と同じ「谷根千」のひとつである千駄木に1号店を構える同店は、和の雰囲気を兼ね備えたおしゃれで粋なお菓子や、和モダンな陶器を取り扱っています。愛らしい小さなパッケージのお菓子たちはちょっとした贈り物やお土産としてもぴったり。金平糖や昔ながらの復刻版サイダーなどが並び、見ているだけでワクワクしてきます。
かわいらしいパッケージのお菓子やサイダーなどが並ぶ
谷中の名産としても有名な「谷中しょうが」を使用したお菓子も用意。ここ谷中銀座商店街がある地も、かつてはしょうがが採れたエリアだったのだそう。人気の「谷中しょうがゼリー」はソフトグミのような食感で、上品な甘さのあとから生姜の香りが鼻に抜けていく爽やかな一品です。
谷中にちなんだ生姜風味のお菓子「谷中しょうがゼリー(1袋 300円+税)」
ちょっと年配の方へのお土産にもぴったり「谷中しょうがせんべい(1袋 300円+税)」
谷中銀座商店街ならではのお土産に出会いに、ぜひ足を伸ばしてみてくださいね。
【基本情報】
営業時間: 10:00~19:00
定休日:年末年始
TEL:03-5842-1735
14:20 ちょっと寄り道「暮らしの道具 谷中松野屋」
谷中銀座商店街夕やけだんだんを越えてすぐに立つ「谷中 松野屋」
さて、谷中銀座商店街を1時間でサクッと満喫したら、日暮里駅に向かって来た道を戻っていきます。夕やけだんだんを越えてすぐ、荒物たちが店前に並ぶステキなお店を発見。こちらは、手仕事で仕上げた暮らしに馴染む日用品の専門店「谷中 松野屋」です。
自然素材を使って作られたカゴ、ザル、ホウキといった種類豊富な荒物たちが店内外に所狭しと並べられています。
同店で販売している日用品たちは、町工場や農家で作られているもの。国内やアジア各国の町へ直接足を運び、仕入れ・販売すると同時に、時代と人々の「暮らし」に寄り添うオリジナル商品の開発にも力を注いでいます。
松野屋が取り扱う商品は、どれも人の手によって生み出された荒物たち。大量生産品でもなく、美術工芸品でもなく、もっともっと日常生活にフィットしたアイテムです。
手仕事で作られたカゴなどの荒物たち。どれも温もりを感じる
例えば、店頭にずらりと並ぶカゴ。各地で採れる木材を使い、丁寧にひとつひとつ編み上げて作ります。しなやかで丈夫で、手にしっとりとフィットする柔らかな使い心地が魅力。それでていて、持ちも良い。「ベストでもベターでもない、ナイスなものづくり」をコンセプトとした暮らしの道具が揃っています。
丈夫なオリジナル帆布鞄シリーズ「ヘビーキャンバス ツールトートバッグS」(13,000円+税)
日常を豊かに彩ってくれる荒物を見つけに、ぜひ足を伸ばしてみてはいかがでしょうか。松野屋だけの素敵な出会いがきっと待っていますよ。
谷中銀座商店街で日本の温かな文化に触れてみて
今でこそ観光客で賑わう谷中銀座商店街ですが、その根本には「地域住民の生活に寄り添う」という商店街の心が今も残っています。商店街の人々との会話を楽しみながら、ゆったりと谷中のグルメや景観を堪能できる谷中銀座商店街。
短い時間の中で存分に商店街を満喫したあとは、荒物との出会いを楽しんだり、ネコが歩く路地裏を探索したりしてみてはいかがでしょうか。