江戸最古の七福神!「谷中七福神巡り」へ
①福禄寿(東覚寺)
②恵比寿(青雲寺)
③布袋尊(修性院)
④寿老人(長安寺)
⑤毘沙門天(天王寺)
⑥大黒天(護国院)
⑦弁財天(不忍池弁天堂)
田端駅〜上野駅の参拝ルート例
谷中七福神巡りのまとめ
谷中七福神の豆知識:「福絵」の台紙
谷中七福神の豆知識:七福神ってどんな神様?
おわりに

日本全国各地で、毎年1月1日〜7日まで行われる「七福神巡り」。都内にも日本橋、浅草、新宿、羽田、板橋…などなど、多くのエリアに各七福神を祀る神社やお寺があります。

今回は、そんな数ある七福神の中から、「江戸最古の七福神」とされている「谷中七福神」についてご紹介。実際に新年に開催されている七福神巡りに参加し、おめでたい福絵が描かれた御朱印をいただいてきました!

この記事は2020年1月以前の取材を元に作成しています。諸事情により、最新の状況と異なる場合があります

江戸最古の七福神!「谷中七福神巡り」へ

日本には江戸時代から、正月に行う風習のひとつとして「七福神巡り」というものがあります。七福神巡りとは、日本に伝わる7人の神様、いわゆる「七福神(大黒天、福禄寿、弁財天、毘沙門天、恵比寿、寿老人、布袋尊)」それぞれを祀る神社やお寺を巡りお参りすることで、その年一年のしあわせを願うというもの。


大阪府 < 難波・天王寺

船に乗った七福神のイメージ

幸運の神・七福神はどんな神様? 名前とご利益一覧[商売繁盛・縁結び・健康長寿] 日本で信仰されている神様のうち、もっとも身近な神様ともいえる七福神。でも意外とパッと7柱すべての名前も浮かばないのが七福神。吉祥天も含む新旧七福神の名前・ご利益・由来、そして各地の七福神巡りを解説。

神社・寺


神様それぞれにご利益があり、すべてお参りすることで不老長寿や商売繁盛、家内安全などのご利益を受けられるとされています。

全国各地に七福神を祀る神社・お寺は存在していますが、とりわけ東京都内は、区やエリアごとに古くから崇敬されてきた七福神がたくさん。「日本橋七福神」「浅草七福神」「神楽坂七福神」「柴又七福神」……。都内各所で、毎年1月1日〜7日までの7日間、七福神巡りが行われます。

谷中七福神一覧

谷中七福神一覧

そんな中、今回巡るのは、「日本最古の七福神」とされ江戸時代からその伝統が受け継がれてきた「谷中七福神」。

JR田端駅(北区)〜JR西日暮里駅(荒川区)〜JR日暮里駅(荒川区)〜JR鶯谷駅(台東区)〜JR上野駅(台東区)の5駅間に、7人の神様をそれぞれ祀る神社・寺院が点在しています。参拝期間は一般的な七福神巡りよりも少し長く、1月1日〜10日までの10日間。この期間は普段は見られない神様のご開帳があり、七福神の姿を見ながらお参りができるのです(弁財天のみご開帳は9月)。

それでは、今年一年の福をいただきに、谷中七福神巡りをしていきましょう!

①福禄寿(東覚寺)

スタートは東覚寺のあるJR田端駅から。北口には谷中七福神巡りの全ルートを示した地図が置かれており、その裏面には田端駅から東覚寺までの道のりが詳しく書かれています。

JR田端駅北口

JR田端駅北口

田端駅に置かれた七福神巡りのマップ

田端駅に置かれた谷中七福神巡りのマップ。青色は英語版 ※2020年当時

JR田端駅の北口から歩き進めること約5分、東覚寺に到着です。

東覚寺は、真言宗豊山派の寺院。本尊は不動明王です。お寺の前には「明王殿」があり、その前に真っ赤な和紙で覆われた2体の像が安置されています。実はこれ、1641年に造立された「赤紙仁王尊」と呼ばれる金剛力士像なんです。姿は和紙で覆われてしまい見えませんが、向かって右側が阿像、左が吽像。

東覚寺の赤紙仁王像

明王殿前の赤紙仁王像

2体がなぜ赤紙で覆われているかというと、「自身の体の悪いところと同じところに赤紙を貼ると治る」という信仰に基づき、参拝者が赤紙を金剛力士像に貼ったから。さらに、無事に治癒したら、草鞋(わらじ)を奉納するという習わしがあるのです。仁王が祈願者のお見舞いに納めた草鞋を履き歩くとされています。

東覚寺本堂

東覚寺本堂でお参り後、左手の授与所で御朱印をいただく

筆者が訪れた日は谷中七福神巡り最終日の平日でしたが、境内には谷中七福神巡りの参拝者がちらほら。本尊にお参りをし、御朱印をいただきます。東覚寺に安置されている福禄寿とは、「人望」のご利益があるという神様。長い頭とヒゲが特徴的な老人の姿をしています。

②恵比寿(青雲寺)

東覚寺を後にし、次に目指すは青雲寺。西日暮里駅のすぐ近くに立つ寺院です。東覚寺からは徒歩で18分ほど。下町の雰囲気が残る住宅街を進んでいきます。西日暮里の商店街「よみせ通り」に面した大通りに出るとまもなく青雲寺に到着です。

青雲寺は、商売繁盛の神様として知られる恵比寿を祀る臨済宗妙心寺派の寺院。江戸時代には花見スポットとして賑わっていたこともあり、「花見寺」とも呼ばれていました。

青雲寺本堂

青雲寺本堂

この日は本堂に恵比寿神の姿がありました。お参りを済ませ、御朱印をいただきます。ちなみに境内には、谷中七福神巡りの記念スタンプが置かれています(ほかの七福神寺院にも、それぞれその寺院の記念スタンプが用意されています)。自由に押してOKなので、ご朱印帳や手帳に押印してみてはいかがでしょうか。

青雲寺記念スタンプ

青雲寺に置かれていた記念スタンプ

③布袋尊(修性院)

3番前に向かうのは、大きなお腹と袋を持つ姿が特徴的な「布袋尊(ほていそん)」を祀る「修性院」です。青雲寺からは徒歩約2分と至近。修性院の周りはピンクの塀で囲われ、そこに布袋尊の絵が描かれています。

布袋尊の絵が書かれた修性院

壁には四季折々の布袋さまの絵が書かれている

修性院は、本堂の中に入って布袋尊像を拝観できます。土足厳禁のため、指定の場所で靴を脱いで中へ。本堂内に、大きな布袋尊像がありました。

「写真はご自由に撮ってください」とご住職が案内してくれたため、しばらく撮影させてもらいました。笑顔でくつろぐ大きな木造の布袋像は、布袋さまの心の広さを表しているようでした。

布袋尊の像

くつろぐ布袋さまの像

修性院も青雲寺と同様、「花見寺」として親しまれていた寺院。かつては隣に「妙隆寺」という寺院があったのですが、明治時代に修性院に合併されています。

修性院や青雲寺のあるこの一帯は、江戸時代には行楽地として親しまれてきた場所でした。「ひぐらしの里」とも呼ばれ(現在の「日暮里」という地名の起源ともされている)、「日が暮れるまでいても飽きない場所」として行楽客で賑わっていたのです。

修性院本堂

修性院本堂

④寿老人(長安寺)

続いて、JR日暮里駅の方まで歩みを進めていきます。目指すは長寿のご利益があるという「寿老人」を安置している長安寺。

途中、谷中の名所「谷中銀座商店街」の通りが見えました。商店街のシンボルである「夕やけだんだん」と呼ばれる石段を上がって、長安寺を目指していきます。谷根千観光を楽しみながら七福神巡りをしたいという人は、休憩がてら、谷中銀座商店街でグルメ巡りや買い物をするのもいいかもしれませんね。

谷中銀座商店街の入り口

途中で出会す谷中銀座商店街。休憩がてら寄るのもおすすめ

東京都 < 谷根千

夕やけだんだんから見る谷中銀座商店街全景

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商店街・屋台・市場

住宅街のような細い道を歩いていった一角に、長安寺はあります。修性院からは徒歩13分ほど。いくつかのお墓がある小さな境内を進んだ奥に、本堂への入り口が見えます。こちらも靴を脱いで、本堂の中へ入って寿老人像を拝観できます。

長安寺入り口

住宅街に佇む長安寺

長安寺本堂

長安寺本堂。本堂目の前にはお墓が並んでいる

御朱印をいただくと、寿老人像が長安寺に安置されるに至った由来や伝説について書かれたリーフレットをいただくことができます。長安寺に安置されている寿老人像は徳川家康公が納めたとされるもの。等身大の寄木彫刻で作られています。

そのほか、狩野派の絵師・狩野芳崖のお墓も、長安寺の墓地にあります。

⑤毘沙門天(天王寺)

長安寺を出てからは目の前に続く道を進み、JR日暮里駅のすぐ近くに位置する「谷中霊園」に入ります。静かな道を歩くこと約6分、桜並木を進んだ先に次の目的地「天王寺」があります。

谷中霊園

谷中霊園。春になると桜並木が広がる

厳かな雰囲気に包まれた天王寺。本堂は奈良県の「十輪院」を模倣した古風な姿で、落ち着きのある寺院建築と、門などに見られる近代的な建築が調和しています。

モダンな造りの天王寺

モダンな門が印象的な天王寺

現在、天王寺は天台宗の寺院ですが、もともとは「長燿山感應寺尊重院」という日蓮宗のお寺でした。江戸時代には「富くじ」の興行がここで行われ(現代の宝くじのようなもの)、多くの人たちで賑わっていたそうです。その人気ぶりから、江戸では同じく富くじが行われていた「目黒不動滝泉寺」「湯島天満宮」と並び、「江戸三富」とも呼ばれていました。

本堂には阿弥陀如来坐像が安置されていますが、今回は谷中七福神巡り。目当ての毘沙門天像は、本堂の斜め向かいに立つ小さな御堂「毘沙門堂」に安置されています。

天王寺の毘沙門堂

天王寺に佇む毘沙門堂

毘沙門堂の扉には、「御真言 オン ベイ シラマオヤ ソワカ」と書かれた紙が貼ってあります。これは、毘沙門天に捧げるサンスクリット語の御真言のこと。「オン ベイシラマンダヤ ソワカ」とする寺院もあります(訛りによって多少文言が異なる)。

真言とは「仏の真実の言葉」という意味で、唱えることでご利益を受けられるとされています。唱える回数は何度でもOKですが、3回、7回、21回などがベターなのだそう。唱える回数を指定している寺院も多くありますが、天王寺には回数の指示はありませんでした。

⑥大黒天(護国院)

福禄寿(東覚寺)から毘沙門天(天王寺)まで、5柱の七福神を巡るのにかかった時間は1時間ほど。ここから残り2つの寺院へと向かいますが、各寺院へは徒歩で約20分ずつかかるため、途中で休憩を挟むのもおすすめです。

護国院本堂

護国院本堂

6番目に訪れたのは「大黒さま」として親しまれている大黒天を安置する「護国院」。天王寺からおよそ徒歩17分で到着しました。
歴史を感じる木造の本堂は、焼失を経て現在の姿に。東叡山寛永寺の子院として建立した1625年当時は、壮麗さを極めた姿だったそうです。

こちらも、靴を脱いで本堂の中へ。内部はかつての壮麗な姿を思わせるような広々とした造りになっています。谷中七福神巡りの時期には、この本堂で、徳川家3代将軍の家光公より寄贈されたという大黒天の画像を見ることができます。

⑦弁財天(不忍池弁天堂)

谷中七福神巡りもいよいよラスト。最後は、七福神唯一の女神である「弁財天」を祀る「不忍池弁天堂」へと向かいます。護国院から徒歩約20分。上野動物園脇の道を進んでいくと、弁天堂が立つ上野公園内「不忍池(しのばずのいけ)」に到着です。上野動物園のエントランスがすぐ隣に見えます。

上野動物園入り口

上野動物園エントランス

不忍池は冬にはもの寂しい風景が広がりますが、夏になると一面にハスの花が咲く見事な景色を見ることができます。そんな不忍池の奥に建つ華やかなお堂が、不忍池弁天堂です。

不忍池弁天堂

不忍池弁天堂

不忍池弁天堂に祀られている弁財天は、音楽と芸能の神様として知られており、水辺で祀られていることが多い神様。一般的には手に琵琶を持っている姿で知られますが、不忍池弁天堂のご本尊である弁財天像は、8本の腕を持っていて、「八臂辨財天(はっぴべんざいてん)」と呼ばれています。

8本の手それぞれに、煩悩を破壊する道具(宝棒・宝刀・宝弓など)を持っています。谷中七福神のなかで唯一、1月1日〜10日の期間のご開帳はせず、9月の「巳成金(みなるかね)大祭」の時のみ、その姿を拝観できます。

琵琶形の絵馬

弁財天にちなんだ、琵琶型の絵馬

お参りを済ませ、外のテントで御朱印を受けます。これですべての御朱印をいただき、谷中七福神巡りの終了です!

ここからは上野動物園で遊ぶもよし、上野公園でのんびりするのもよし。近くのカフェなどで一息つくのもおすすめです。

東京都 < 上野

上野動物園

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美術館・博物館

田端駅〜上野駅の参拝ルート例

今回はJR田端駅からスタートして、谷中七福神を巡りながらJR上野駅へ至るルートで参拝してみました。「どこから巡ろう?」と迷っている方は、下の地図も参考にしてみてくださいね。


谷中七福神巡りのまとめ

今回谷中七福神巡りで歩いた時間は、約2時間。5駅分、約6kmの道のりでした。寄り道などは一切しなかったためスムーズに回り切ることができましたが、道中にはそば屋や喫茶店などがちらほら点在しているため、途中で休憩を挟みながらのんびり巡るのもおすすめです。もちろん、2日以上の数日に分けて巡っても問題ありません。

谷中七福神巡りで歩いた一帯は、「谷根千」と呼ばれるエリアで、下町情緒が残るエリアとして知られます。道中には建造物の説明が書かれた看板なども点在しています。谷根千エリアの散策をかねてその歴史や文化を感じながら巡るのもいいかもしれませんね。

旧吉田酒店の説明書き

道中に点在していた名所の説明書き(こちらは「旧吉田屋酒店」のもの)

谷中七福神巡りの留意点

今回七福神巡りをしたのは、谷中七福神巡りの最終日である2020年1月10日でした。

もちろん谷中七福神は通年でお参りができますが、御朱印の授与やご開帳を行なっているのは年始の10日間だけなのでご注意を。9:00〜17:00までの間、それぞれの寺院が開かれています。

谷中七福神の豆知識:「福絵」の台紙

谷中七福神巡りでは、各寺院で御朱印を受けることができます。そして、谷中七福神の御朱印を押印するための特別な台紙が存在します。

台紙は和紙製で、A3サイズ。料金は1枚1200円(購入場所の御朱印押印済み)です。中央に、歓談を楽しむ七福神たちの福絵が描かれており、神様の周りには、各神様の名前が書かれています。

谷中七福神巡りの寺院を参拝したら、この台紙に各院の御朱印をいただきます(料金はいずれの寺院も200円)。そして、すべての寺院を巡り、御朱印を七つ集めると画像のような状態になります。

七福神福絵

谷中七福神が描かれた縁起の良い台紙。東覚寺で購入

完成した台紙は、自宅に飾ればで幸せが舞い込んできそう。スタート地点の東覚寺で購入するのがおすすめです。台紙は丸めて持ち歩くのがベター。筒状の入れ物を持っていくなど、折り曲がらない工夫をするのがいいでしょう。

谷中七福神の豆知識:七福神ってどんな神様?

最後に、七福神とはどういう神様たちなのか、簡単にご紹介しましょう。

大黒天

七福神の大黒天さま

大黒天

打ち出の小槌と大きな袋を抱えた大黒天。米俵の上に乗っている姿で描かれることもあります。もともとは、ヒンドゥー教の破壊と創造を司るシヴァ神の化身「マハーカーラ」という神様が伝来したのが始まり。「富財」のほか、大地を司る神様として五穀豊穣のご利益もあるそう。

福禄寿

七福神の福禄寿

福禄寿

長い頭と長いヒゲを携えた福禄寿。日本における長寿の象徴でもあるツルやカメを従えた姿で描かれることも多く、健康長寿や子孫繁栄のほか、七福神巡りでは「人望」のご利益があるとされています。

もとは、中国で信仰されてきた「仙人」が始まりとされており、南極老人星の化身です。名前の意味は、道教における「三徳」がもと。子孫繁栄の「福」、財産の「禄」、長寿の「寿」を司ります。

弁財天

七福神の弁財天

弁財天

七福神のなかで、唯一女性の神様。インド古代神話に伝わる水神で、ヒンドゥー教の「サラスヴァティ」という神様です。美しい顔立ちで琵琶を携えた姿で描かれます。

その姿の通り、音楽をはじめとした芸能分野で成功するご利益があるそう。さらに名誉や金運、財運、学問の分野にも強く、「愛敬」のご利益も期待できます。「才能を持つ」という意味を込め「弁才天」と書かれることも。

毘沙門天

七福神の毘沙門天

毘沙門天

インドのヒンドゥー教「クベーラ神」という神様がもととなっている毘沙門天は、別名「多聞天」とも呼ばれます。元来は財宝の神様とされていたものの、日本には軍神として伝来しました。甲冑を身にまとい、矛と宝塔を携えた勇ましい姿で描かれます。「威光」という武運のご利益があることから、戦国武将たちにも信仰されてきたのだそう。

恵比寿

七福神の恵比寿

恵比寿

七福神のなかで、唯一日本生まれの神様。イザナギノミコトとイザナミノミコトの間に生まれた、ヒルコノミコトが恵比寿神だといわれています(諸説あり)。右手に釣竿を持ち、左手には立派な鯛を抱える姿で知られていますね。

ほとんどの絵で、にこやかに笑う表情で描かれています。その姿から、漁業や農業をはじめとした「商いの神様」として有名。商売繁盛や大漁豊作といったご利益があるとされています。

寿老人

七福神の寿老人

寿老人

福禄寿と同じく、南極星の化身。福禄寿と似たようなヒゲをはやしたおじいさんとして描かれます。シカをおともに、うちわと杖と桃を持ち、それぞれ長寿の象徴とされています。かつては福禄寿と同一とみなされ、七福神から外されたことも。現在は長寿と健康、幸福を司る神として信仰されています。

布袋尊

七福神の布袋尊

布袋尊

「布袋尊(ほていそん)」という不思議な名前のこちらの神様は、優しい笑顔と大きなお腹を持つ神様です。多くは大きな袋を担いだ姿で描かれます。「ほていさま」と呼ばれ親しまれていますね。

ルーツは諸説ありますが、中国の伝説上の人物「釈契此(しゃくかいし)」や、「弥勒菩薩」の化身ではないかといわれています。袋は宝物を入れるためのもので、信仰の厚い人々に配られていたそう。金運、幸福の神様です。

「宝船に乗った姿」の元ネタ

「七福神」と聞くとイメージされるのが、七福神が大きな宝船に乗って航海しているような縁起のよい姿。この姿は、徳川家康公が狩野派の絵師・狩野探幽(かのう たんゆう)に描かせたものが始まりとされています。「人生の荒波に揉まれても、七福神を信仰し7つの徳を授かれば、悠々と船で海を渡っていける」…そんな意味が込められているといわれています。

おわりに:「江戸最古の七福神」谷中七福神巡りで一年の幸せを願おう!

今回参拝した谷中七福神巡りでは、訪れたすべての寺院で、ご住職が柔和な笑顔で「ご苦労様です」「お気をつけて」と声をかけてくださったのが印象的でした。終始心が温まるような気分で楽しめた谷中七福神巡り。

みなさんもぜひ、江戸時代から現代まで毎年行われてきた「谷中七福神巡り」に参加し、この時しか手に入らない福絵と一緒に、一年のご利益を願ってみてはいかがでしょうか。