日本で古くから受け継がれてきた技術を用いた「伝統工芸品」。日用品や着物など様々な種類が作られ、日本全国に存在しています。1,000を超える日本の伝統工芸品のうち、約230品目は「伝統的工芸品」と呼ばれ、日本人の生活を支えてきました。
今回はそんな日本の伝統工芸品を、地方や都道府県ごとに一覧でまとめてご紹介。
さらに、それぞれの伝統工芸品の歴史や魅力を徹底解説します。日本の技と魂が息づく素敵な伝統工芸品の中から、「実際に見てみたい」「自分も作ってみたい」「お土産に買いたい」そんなあなたのお気に入りの品がきっと見つかるはず。
伝統工芸品とは
伝統工芸品とは、古くから受け継がれてきた技術を用いて作られた製品のこと。主に日用品として使用され、その技術は日本のものづくりの原点ともいえます。中でも、経済産業大臣が定める以下の5つの基準を満たしたものは「伝統的工芸品」として国からの認定を受けています。
・主として日常生活に用いられるもの
・その製造過程の主要部分が手づくりであるもの
・伝統的な技術又は技法により製造されるもの
・伝統的に使用されてきた原材料が主な原材料として用いられているもの
・一定の地域において少なくない数の者がその製造に従事し、地域産業を形成しているもの
2020年時には約230品目の伝統工芸品が「伝統的工芸品」に指定されており、日本全国に存在しています。その数を都道府県別に見ると、18品目を有する東京都がトップです。
東北地方の伝統工芸品一覧
秋田県の伝統工芸品 大館曲げわっぱの弁当箱
東北地方の伝統工芸品には、重厚感ただよう岩手県の「南部鉄器」、産地によって表情や模様が異なる宮城県の「宮城伝統こけし」、伝統的工芸品にも認定される山形県の「天童将棋駒」など、日本全国で誰もが目にしたことがあるであろう親しみ深いものが多く存在しています。
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関東地方の伝統工芸品一覧
神奈川県の伝統工芸品 箱根寄木細工
伝統的工芸品の数が日本全国で最も多い東京都をはじめ、関東地方には多くの伝統工芸品が存在します。良質な材料で作られた緻密な紙肌が特徴である栃木県の「烏山和紙」、硝子の表面に紋様を刻む東京都の「江戸切子」、多種多様な木材を組み合わせて作る神奈川県の「寄木細工」など、職人の繊細な技術が光る細かな作りが特徴の伝統工芸品の数々を紹介します。
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中部地方の伝統工芸品一覧
富山県の伝統工芸品 高岡銅器
中部地方には、日本を代表する伝統工芸品として重要無形文化財に指定されている石川県の「輪島塗」、素朴であたたかみのある風合いや肌触りが魅力である福井県の「越前焼」、花瓶や鍋から梵鐘や仏像に至るまで大小様々な姿に生まれ変わる富山県の「高岡銅器」など、日用品や建造物まで幅広いジャンルの伝統工芸品が存在しています。
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近畿地方の伝統工芸品一覧
和歌山県の伝統工芸品 紀州漆器
17品目の伝統的工芸品を有する京都をはじめ、関東に劣らず多くの伝統工芸品が存在する近畿地方。たぬきの置物として日本中で知られる滋賀県の「信楽焼」、まるで絵画のような着物の染め模様が美しい京都府の「京友禅」、髪を傷めないだけでなく、とかすと髪の艶が増すとまで言われる大阪府の「和泉櫛」など、日本の伝統工芸品のイメージと結びつく代表的な伝統工芸品が揃います。
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中国地方の伝統工芸品一覧
山口県の伝統工芸品 萩焼
中国地方には、画筆・毛筆・化粧筆とあらゆる種類の筆でトップのシェアを誇る広島県の「熊野筆」、その硬さから投げても割れないと言われる岡山県の「備前焼」、長年使用することで茶や酒が浸透して色味の変化を楽しめる山口県の「萩焼」など、高い品質が認められて日本全国で広く使用される伝統工芸品が多く存在します。
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四国地方の伝統工芸品一覧
香川県の伝統工芸品 讃岐提灯
4つの県のみで構成される四国地方ですが、ここでも多くの伝統工芸品が生み出されています。1200年の歴史をもつ日本最古の提灯として知られる香川県の「讃岐提灯」、世界でも類を見ない0.03mmという薄さと種類の多さが特徴である高知県の「土佐和紙」、元々は砥石のくずが原料とされる愛媛県の「砥部焼」など、それぞれ優れた特徴を備えた伝統工芸品が揃います。
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九州地方の伝統工芸品一覧
福岡県の伝統工芸品 博多織
九州地方には、元々日本になかった原料がポルトガル船やスペイン船によって輸入されることで誕生した長崎県の「長崎べっ甲」、中国の技術を用い、カラフルな生糸やうるし糸・金・銀箔を織り込んで色鮮やかな模様を作り出す福岡県の「博多織」、軽くて硬い磁器に赤や藍色の明るい絵付けがされた佐賀県の「伊万里焼」「有田焼」など、海外の影響を受けて独自に生み出されたユニークな伝統工芸品が多く存在します。
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沖縄の伝統工芸品一覧
沖縄県の伝統工芸品 壺屋焼
美しい海や美味しい料理が魅力の沖縄ですが、実は16品目もの伝統的工芸品を有しており、東京都、京都府に次いで日本第3位にランクインする伝統工芸品の名産地なんです。沖縄の主な伝統工芸品は織物。沖縄原産の原料や染料を使った「喜如嘉の芭蕉布(きじょかのばしょうふ)」や「久米島紬」が代表的です。
その他にも、アジアから伝わった焼き物を元に作られた「壺屋焼」や、中国の「三弦」という楽器を進化させ、ニシキヘビの皮を貼って作られた「三線」など、他の地域とは異なる個性を持った伝統工芸品が揃います。これらは前身である琉球王国の隣国であった、中国や朝鮮の文化の影響を強くを受けています。
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実際に触れることでさらに感じる伝統工芸品の魅力
あなたのお気に入りの伝統工芸品は見つかったでしょうか。今回紹介したもの以外にも、日本にはまだまだ多くの素敵な伝統工芸品が存在します。
しかし、伝統工芸品の魅力を最大に感じるには、実際に現地で見て触れるのが一番。紹介した伝統工芸品の中には、自分自身の手で作ることができるものや、お土産として購入できるものもあります。ここで見つけた伝統工芸品が、旅の思い出の1ページとなる、あるいは新しい旅の目的地を教えてくれるかもしれません。
日本の伝統文化に触れる体験は、きっとあなたの旅の可能性を広げてくれることでしょう。