入来麓武家屋敷群 鹿児島県の北西部、薩摩川内市(さつませんだいし)に位置する「入来麓武家屋敷群(いりきふもとぶけやしきぐん)」。江戸時代に薩摩藩士が暮らした武家屋敷が残されているエリアです。 薩摩藩は江戸時代に勇猛果敢、鬼の薩摩と呼ばれた強壮な藩。その秘密と言えるのが、独特の外城(とじょう)と呼ばれる制度です。たくさんいる武士を本城に集めず、領地を113もの外城という行政区に分けて武士を配置しました。麓と呼ばれる外城の中心は、玉石の石垣や茅葺門などの保存状態がよく、「知覧(ちらん)」「出水(いずみ)」の武家屋敷群と並んで、重要伝統的建造物群保存地区に選定されています。低い石垣とお茶の木やイヌマキの緑の生け垣がくねくねと伸びて瓦屋根の屋敷をつなぐ様子は、まるで江戸時代のまま。今にも薩摩藩士がのしのしと歩いてきそうな町並みです。