バラ、アジサイ、ひまわりなど、数多くの花の名所をもつ福島県。
この記事では特に「桜」にスポットを当て、2024年のお花見で行きたい桜名所を厳選して紹介します。
有名スポット、穴場、ライトアップで夜も花見が楽しめる場所の、三つの切り口で厳選した16カ所を挙げていくので、ぜひ最後までお読みください。
【福島の桜名所】有名スポット8選
最初に、定番かつ人気の福島の桜名所を8カ所紹介します。福島に桜を見に行くなら、ぜひ足を運びたいスポットを厳選しました。
スポットライトされた夜桜が美しい場所もあるので、ぜひ泊まりがけで花見に出かけてみてはいかがでしょうか。
(三春町)三春滝桜
1922(大正11)年に国の天然記念物に指定され、今日までさまざまな人に愛される「三春滝桜」。
その見事な様子から、一流の芸術家たちが作品の題材にすることもしばしば
たくさんの花をつけた枝が滝のように見えることから、「滝桜」と名付けられたそうです。
いつだれが植えたかは定かではありませんが、樹齢はおそらく1000年を超えると考えられており、「千年桜」と呼ばれることも。
一本桜でありながら、遠目にも抜群の存在感を放つ三春滝桜は、近くで見ればその見事な枝ぶりや花の多さに圧倒されてしまいそう。
見頃の時期にはライトアップされ、昼間とはまた違う姿を見せてくれます
戦国時代から江戸時代にかけ、城下町として整備された三春町は、国内屈指のしだれ桜の名所として有名です。
春を代表する花(桜・梅・桃)の「三つの花が同時に咲いて一度に三つの春が来る」ことから名が付いた三春町。
まだ訪れたことがないという方も、すでに滝桜をみたことがあるという方も、ぜひ満開のしだれ桜の下、三春町で2024年の春を感じてみてはいかがでしょうか。
【三春滝桜】
⚫︎住所:福島県田村郡三春町大字滝字桜久保296
⚫︎公式サイト:Find!三春【みはる観光協会〜福島県三春町】
⚫アクセス:
磐越自動車道[郡山東IC]または[船引三春IC]から15分程度
JR[三春駅]からバスおよびタクシーで20分
(福島市)花見山公園
春には山全体を覆うようにウメ・ソメイヨシノ・ハナモモなどの花が咲き競い、毎年多くの人が足を運ぶ花見山公園。
ウサギの形に見える雪形と花見山(写真:[一社]福島市観光コンベンション協会)
紫綬褒章を受章した、写真家の故・秋山庄太郎が「福島に桃源郷あり」と評し、毎年訪れていたことでも有名です。
実は個人所有の山である花見山。花き農家の故・阿部一郎さんが中心となって雑木林を開墾し、現在のような花であふれる花見山公園の姿をつくり上げてきました。
春の花見山公園の風景(写真:[一社]福島市観光コンベンション協会)
現在は4代目の阿部晃治さんが園主を務め、毎年見頃を迎える公園を無料開放しています。
代々、丁寧な仕事で受け継がれてきた花見山公園の桜。2024年の開花も、大切に見守っていきたいですね。
【花見山】
⚫︎住所:福島県福島市渡利原17
⚫︎公式サイト:花見山特設サイト|福島に桃源郷あり
⚫アクセス:
東北自動車道道[福島西IC][福島飯坂IC][福島大笹生IC]から約25分
JR[福島駅]東口からバスおよびタクシーで約15分
(会津若松市)鶴ヶ城公園
今なお語り継がれる、少年軍隊「白虎隊」の悲劇譚で有名な、会津若松市のシンボル「鶴ヶ城」。
約6万9000坪もの広さをもつ公園内では、春になるとソメイヨシノを中心に1000本以上の桜が花を咲かせます。
復元された、幕末当時の赤瓦が印象的。「桜の名所100選」に選出(写真:[公財]福島県観光物産交流協会)
桜を見るのにおすすめなのは、椿坂を登って鶴ヶ城本丸に至るルート。道の両側を埋めつくす椿坂の桜並木を通り抜けた先には、周囲を桜に囲まれた本丸が待っています。
例年4月上旬〜5月上旬にかけ開催される「鶴ヶ城さくらまつり」もお見逃しなく。東日本最大級規模とうたわれるライトアップで、夜桜を楽しむことができます。特に堀の水面に映る夜桜は一見の価値あり。
ライトアップされた桜と夜の鶴ヶ城公園内(写真:[公財]福島県観光物産交流協会)
【鶴ヶ城公園】
⚫︎住所:福島県会津若松市追手町1-1
⚫︎公式サイト:鶴ヶ城(会津若松)トップページ|一社 会津若松観光ビューロー
⚫アクセス:
磐越自動車道[会津若松IC]から約13分
JR[会津若松駅駅]からバスおよびタクシーで約10分
(二本松市)霞ヶ城公園
二本松城跡を中心に整備された公園。春になって桜が咲くと、二本松城がピンク色の霞(かすみ)に包まれたように見えることから、「霞ヶ城」の呼び名で親しまれています。
二本松城跡は日本百名城に数えられ、毎年多くの人が訪れています
ソメイヨシノやヤマザクラなど、約2500本の桜が咲き誇る園内には、至る所に史跡や石碑などが点在。花見とともに、史跡巡りを楽しむのもおすすめです。
特に、箕輪門から山上の本丸跡へ向かう約300mの上り坂は、桜のトンネルになっているため、体力に自信のある方はぜひ足を運んでみてください。
例年4月上旬から5月上旬にかけて、「霞ヶ城公園桜まつり」も開催。木々の間に渡された提灯の明かりが、闇の中で浮かび上がる姿は幻想的です。
ライトアップされた霞ヶ城公園の桜
【霞ヶ城公園】
⚫︎住所:福島県二本松市郭内3丁目内
⚫︎公式サイト:霞ヶ城公園|二本松市観光連盟
⚫アクセス:
東北自動車道[二本松IC]から約5分
JR東北本線[二本松駅]から徒歩約20分
(喜多方市)日中線のしだれ桜
1984(昭和59)年に廃線となった旧国鉄日中線跡地を整備した遊歩道。全長約3kmにわたり、約1000本のしだれ桜が立ち並ぶ光景に、これまで多くの人々が魅了されてきました。
日本最大級のしだれ桜並木
道のなかほどには、当時走っていたSL機関車が展示されており、フォトスポットとして人気を集めています。
天気の良い日には絶好の散歩コースですが、雨に濡れたしだれ桜もまた雰囲気があり、思わず足を止めて写真を撮りたくなるほど。
例年の見頃は4月中旬〜下旬。同じ時期に「きたかた桜まつり」も開催され、各種イベントや夜間ライトアップが行われます。
夜、ライトアップされた 日中線のしだれ桜とSL機関車
【日中線のしだれ桜】
⚫︎住所:福島県喜多方市押切東2丁目ほか
⚫︎公式サイト:日中線しだれ桜プロジェクト
⚫アクセス:
磐越自動車道[会津若松IC]から25分程度
JR磐越西線[喜多方駅]から徒歩5分
(石川町)北須川・今出川の桜並木
石川町中心部を流れる、今出川と北須川沿いの桜並木。谷あいの町の桜ということで、周辺一体は「いしかわ桜谷」とも呼ばれているそう。
2本の川の合流地点にある「あさひ公園」は、川のカーブに沿って広く整備されており、座って桜を眺めることができます。
約2000本の桜が立ち並びます
川面に映る桜を見ながら、ゆったりと散歩をするのも気持ちよさそう。満開を迎える頃には、夜間ライトアップも実施されます。
【北須川・今出川の桜並木】
⚫︎住所:福島県石川町字関根165
⚫︎公式サイト:北須川・今出川の桜|花の王国ふくしま
⚫アクセス:
あぶくま高原道[玉川IC]から20分程度
JR水郡線[磐城石川駅]から徒歩約15分もしくはタクシーで約5分
(いわき市)小川諏訪神社のしだれ桜
小川諏訪神社の御神木であり、市の天然記念物でもある、樹齢500年以上のしだれ桜。直近で見上げれば、地上11.5mの高さから降り注ぐ枝花に圧倒されることうけあいです。
小川諏訪神社名物のしだれ桜
例年の見頃時期は3月下旬~4月上旬頃。開花期間中は、キッチンカーなどが出店する「しだれ桜まつり」が開催されるほか、桜をあしらった特別な御朱印もいただけます。ぜひ足を運んでみてください。
しだれ桜まつりの期間中はライトアップされた桜も楽しめます(写真:[公財]福島県観光物産交流協会)
【小川諏訪神社】
⚫︎住所:福島県いわき市小川町高萩家ノ前140-1
⚫︎公式サイト:小川諏訪神社|いわき市観光サイト
⚫アクセス:
磐越自動車道[いわき中央IC]から17分程度
JR磐越東線[小川郷駅]からタクシーで約3分
【福島の桜名所】穴場スポット3選
ここからは、地元の人からひっそりと人気を集める、知る人ぞ知る穴場な桜名所を紹介します。
名所が多い分、見頃の時期は混雑することもある福島の観桜スポット。ゆっくりと人心地つきながら花見を楽しみたいという方は、ぜひお出かけの参考にしてくださいね。
(福島市)高倉山
福島市の南西部に位置する、標高116mの小高い高倉山。春にはソメイヨシノなど桜のほか、赤・白・紅色のハナモモなど、花々に彩られた花見の穴場です。
高倉山の桜の中には、大正時代から咲く古木も(写真:[公財]福島県観光物産交流協会)
頂上からは四方が見渡せ、東に福島市街地、西に吾妻・安達太良連峰を一望できます。富士山を思わせる美しさで人気の吾妻小富士による、残雪と桜のコントラストが見られるのも高倉山ならでは。
まだ雪が残る吾妻小富士と咲き誇るハナモモ(写真:[公財]福島県観光物産交流協会)
もともと桑畑だった高倉山ですが、近年は地元民の手により「桜の名所」へと生まれ変わっている最中。トイレや遊歩道を設置するなど、山中の整備も進んでいます。2024年のお花見は、ぜひそんな高倉山で。例年の見頃は4月中旬頃。
【高倉山】
⚫︎住所:福島県福島市山田笠松21
⚫︎公式サイト:高倉山
⚫アクセス:
東北道[福島西IC]から車で約7分
JR[福島駅]西口からタクシーで約20分
(郡山市)藤田川ふれあい桜
JR磐越西線[喜久田駅]そばの藤田川に沿って立ち並ぶ桜並木は、「藤田川ふれあい桜」の名前で住民たちから親しまれています。
晴れた日には川面が光って美しい
堀之内橋を中心に、両岸3kmにわたって咲き誇るソメイヨシノ。春の陽気の下、ゆっくりと歩いて散歩をするのにおすすめです。
見頃を迎える4月中旬にはライトアップも施され、夜桜を眺めることもできます。
【藤田川ふれあい桜】
⚫︎住所:福島県郡山市喜久田町堀之内字下河原
⚫︎公式サイト:藤田川ふれあい桜
⚫アクセス:
東北自動車道[郡山IC]から車で約10分
JR[郡山駅]から車で約15分
JR磐越西線[喜久田駅]から徒歩約3分
(郡山市)笹原川千本桜
郡山市と須賀川市の境を流れる笹原川沿いの桜並木「笹原川千本桜」。明神橋付近の上下約2kmにわたって、約1000本のソメイヨシノが立ち並びます。
青空に映える桜並木
洪水を防ぐため1955〜60(昭和30)年代に築かれた堤防に、地元住民が植樹を始めたのがきっかけで、現在の桜名所の姿に。
ライトアップされた夜桜
例年の見頃は4月初旬〜中旬で、同時期には夜間ライトアップも開催されます。ぼんぼりの明かりによって浮かび上がる桜は、昼間とは一味違う顔を見せてくれるはず。
【笹原川千本桜】
⚫︎住所:福島県郡山市三穂田町下守屋地区笹原川
⚫︎公式サイト:笹原川千本桜
⚫アクセス:
東北自動車道[郡山南IC]から約15分
東北自動車道[郡山東IC]から約35分
JR[郡山駅]から車で約35分
【福島の桜名所】ライトアップが美しい桜5選
最後に、数ある福島の桜名所の中でも、特にライトアップされた夜桜が美しいといわれるスポットを紹介します。
カラフルなライトに照らされたファンタジックな桜、ぼんぼりや提灯が浮かび上がらせる幽玄な桜……。好きなテイストの夜桜名所を見つけてくださいね。
(白河市)南湖神社の楽翁桜
国指定の史跡かつ名勝「南湖(なんこ)公園」の中に位置する「南湖神社」。南湖神社はかつての白河藩主・松平定信公(白河楽翁公)をまつった神社で、楽翁桜はその御神木です。
ライトアップされた楽翁桜
推定樹齢200年以上といわれる南湖神社の楽翁桜。幹の太さは250cmを超え、一部の枝は地面に着くほど。
見頃を迎えるのは毎年4月上旬~5月の連休頃で、同時期には「楽翁桜祭」も開催されます。夜間ライトアップや、桜をあしらった限定の御朱印を楽しみましょう。
【南湖神社】
⚫︎住所:福島県白河市菅生館2
⚫︎公式サイト:南湖神社
⚫アクセス:
東北自動車道[白河IC]から車で約10分
(二本松市)合戦場のしだれ桜
平安時代、源義家と安倍貞任・宗任兄弟が戦ったといわれる地に立つ、2本のベニシダレザクラ。
樹齢180年以上の貫禄あるたたずまい
有名な「三春滝桜」の孫桜といわれており、生育具合が良く花の量も多いため、一見すると1本の木のように見えるのがポイントです。例年の見頃は4月中旬で、開花時期には夜間ライトアップも行われます。
【合戦場のしだれ桜】
⚫︎住所:福島県二本松市東新殿字大林142
⚫︎公式サイト:合戦場のしだれ桜
⚫アクセス:
東北自動車道[二本松IC]から車で約30分
JR東北本線[二本松駅]から車で約30分
(猪苗代町)観音寺川の桜
猪苗代町を流れる観音寺川沿いに、ソメイヨシノやシダレザクラの木々が約1km続く桜並木。観音寺からJR[川桁駅]近くまでの間に位置します。
桜祭り期間中のライトアップされた夜桜も絶景
桜の見頃は、例年4月中~下旬。足を運ぶなら、町の重要文化財に指定されている、観音寺山門の特徴的な屋根「唐破風(からはふ)」もチェックを。美しい曲線を描く日本特有の建築様式は、桜と合わさればより風流に感じることうけあいです。
【観音寺川】
⚫︎住所:福島県猪苗代町川桁観音寺川畔
⚫︎公式サイト:観音寺川
⚫アクセス:
磐越自動車道[猪苗代磐梯高原IC]から車で約10分
JR磐越西線[川桁駅]から車で約1分
(小野町)夏井千本桜
1975(昭和50)年、地元の人々がソメイヨシノの苗木1000本を植樹して作り上げた、夏井千本桜。夏井川の両岸5kmにわたって咲き誇る桜並木は、例年4月中〜下旬に見頃を迎えます。
見頃時期を迎えると夜間ライトアップも開催されます
遊歩道も整備されているため、散歩をしながら花見を楽しめる桜名所として、県内外から毎年多くの人が訪れます。
また、磐越自動車道の下り線から一望できる千本桜は絶景。車中から望めるのは一瞬のため、お見逃しなく。
【夏井千本桜】
⚫︎住所:福島県小野町大字夏井・南田原井
⚫︎公式サイト:夏井千本桜
⚫アクセス:
磐越自動車道[小野IC]から約15分
JR[夏井駅]から徒歩約5分
(二本松市)岳温泉桜坂
安達太良山(あだたらやま)の中腹に位置する岳(だけ)温泉街。温泉街の中、鏡ヶ池公園へと至る200mほどの坂道「桜坂」では、道の両側に立ち並ぶ300本のソメイヨシノを目にすることができます。
ぼんぼりの明かりに浮かび上がる桜が幻想的(写真:[公財]福島県観光物産交流協会)
坂の途中には足湯が設置されているため、湯に浸かりながらの花見もおすすめ。また、例年4月中旬には岳温泉桜まつりが開催され、音楽ライブやご当地の名物販売などを楽しめます。
【岳温泉】
⚫︎住所:福島県二本松市岳温泉1-250
⚫︎公式サイト:岳温泉
⚫アクセス:
東北自動車道[二本松IC]から約20分
JR[二本松駅]からバスで約25分
【福島の桜】を見に行こう
人気の桜名所から穴場まで、花見ニーズ別に福島の桜名所を紹介しました。足を運びたいと思う場所はありましたか?
少しずつ時期をずらしながら咲く桜を追いかけて、福島県内を移動するのも良いですね。
2024年のお花見は、ぜひ名木や風光明媚なロケーション豊富な福島で。
Text:Sakura Takahashi
Photo:PIXTA(特記ないもの)
参考文献:
稲田香奈子『大人の桜旅2014』(三栄書房/2014年)
主婦の友社『主婦の友ベストBOOKS 日本 桜の名所100選』(主婦の友社/2010年)
庄子利男『日本の夜桜』(光村推古書院/2005年)
参考:
Find! 三春/花見山特設サイト|福島に桃源郷あり/鶴ヶ城(会津若松)トップページ|一社 会津若松観光ビューロー/二本松市観光連盟/日中線しだれ桜プロジェクト/花の王国ふくしま/いわき市観光サイト/郡山へ行こう!/南湖神社/福島県観光情報サイト|ふくしまの旅/猪苗代観光協会|猪苗代・磐梯/福島県小野町公式ウェブサイト/岳温泉観光協会/コトバンク/福島市観光ノート/【郡山市】混雑しない穴場の桜並木!車で行ってゆったりピクニックしよう|Yahoo!ニュース(2024年1月9日閲覧)